トヨタ「カローラ」再び王者狙う準備が整った理由

SUVカローラクロス追加の「合わせ技」が始動

トヨタ「カローラ」再び王者狙う準備が整った理由
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  • 初代カローラ
    (写真:トヨタグローバルニュースルーム)

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会社勤めの多くの市民がまだ自家用車を持てていなかった当時、すでにサニーとカローラは、単なる実用としての大衆車というだけでなく、より運転を楽しむことを目指したクーペを車種構成に追加したことは印象深い。

日産が、サニークーペを加えたのに対し、トヨタは同様のクーペでありながらスプリンターという名を別に与え、特別な車種である印象をもたらした。それもプラスアルファの一つといえるだろう。また、ややふくよかな造形で登場したスプリンターは美しい外観で魅了した。ダッシュボードに柔らかなパッドを与え、鉄板にメーターが並ぶだけの合理性とは違った上級さがあった。フロントフェンダーの防弾型と呼ばれたミラーも、スポーティーさを強く印象付けた。

大衆車との言葉で格付けされる車種ではあっても、どこかに華やかさを覚えさせたのがカローラだった。当時、中学生だった筆者の記憶にも、初代カローラスプリンターが街に止まっていると、ときめいた思いは、55年を経たいまなお強く残っている。

2代目では、DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)エンジンを搭載したカローラ・レビンが登場する。また、カローラとスプリンターは、兄弟車的な位置づけとなり、スプリンターのほうはトレノと名乗った。レビンが通常のフロントグリルであったのに対し、トレノはリトラクタブル式ヘッドライトを採用していた。リトラクタブル式ヘッドライトとは、通常はヘッドライトがボンネットフード内に隠れており、点灯するときに回転しながら起き上がり、ボンネットフード上にライトが出てくる仕組みだ。のちに、マツダRX‐7などにも採用される。

クルマ好きを狂喜させた「レビン/トレノ」

根本的には多くの一般市民のための小型車として位置づけられるカローラに、レースで採用されるようなエンジンと、より幅の広いタイヤを装着するためのオーバーフェンダーを装備したレビン/トレノの誕生は、クルマ好きを狂喜させた。

3代目では、リフトバックと呼ぶ車種が登場する。これは2ドアハッチバックの形状で、後ろのゲートは大きく傾斜し、ステーションワゴンとは一線を画した造形だ。欧州の富裕層が狩りに出かける際に使うシューティングブレークを印象付け、カローラに新しい価値をもたらした。

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