今月のマネーハックは「ストレス」をお題にしてみたいと思います。社会の変化が激しい現代はストレス時代といわれますが、ここではストレスの生じる心理学的分析や社会学的考察をしようというわけではありません。マネーハックの発想で「お金とストレス」の関係について考えます。
5人に2人はお金のストレスがある
カタログ通販大手の千趣会のシンクタンクであるベルメゾン生活スタイル研究所のアンケート調査によれば、5人に4人が普段からストレスを感じていると答えています。ストレスの要因(複数回答)としては「家族や親戚に関すること」が53.8%、「仕事に関すること」が46.6%と上位に並んでいます。
「お金に関すること」は44.6%で、つまり5人に2人がお金にストレスを感じていることになります。また、今後のストレス要因として拡大傾向にあるものを聞いたところ、「お金に対する不安」が55.2%で、「自分の老後に対する不安」(47.6%)「健康に対する不安」(47.3%)を上回り1位となっています。
「これだけ頑張って働いているのになかなか生活は楽にならない」
「住宅ローン返済や子どもの学費負担が重く、払いきれるか不安」
「老後を暮らしていけるだけのお金がためられるか自信がない」
――など、お金の不安はストレスに直結しています。お金の問題を解消することはストレスの軽減にもつながるわけです。
お金を使ったストレス解消は一瞬
お金とストレスの関係というと、お金を使うとストレス解消になると考える人が多いのではないでしょうか。仕事でイライラしているとき、ファッションブティックで新作を何着か衝動買いしたり、おいしい食事やお酒を出すお店でやけ食いをしたりすれば、確かにストレスは一瞬解消されるかもしれません。
しかしながら、それはストレスの根源を解消するものではありません。ストレスの原因そのものはまったく変わらないからです。従って、仕事でイライラが募ると、すぐまた同じことを繰り返すことになります。
理不尽な取引先、圧力的な上司、責任の重さなど、仕事からくるストレスはたくさんあります。しかし、無制限に散財してストレス解消を繰り返しても、ストレスの根本が解消されない限り、本質的な問題解決には至りません。そして結果的には、家計の無駄遣いが積み重なります。
散財は後悔というストレスを招く
ストレスが爆発寸前のとき、年に数回くらい散財するならまだかわいいものです。しかし、日常的に散財を繰り返すようになり、散財することがストレスになってしまっては本末転倒です。つまり、散財は「後悔」という新たなストレスを生み出していることになるからです。
誰にもストレスはあります。仕事でストレスがない人も家庭内ではストレスがあるかもしれません。また、「ストレスなんてない」と言い張る人も内心はなにがしかの不安を抱えているものです。
ストレス解消のための出費は悪いことばかりではありません。7月31日付コラム「結局は無駄遣い 『快楽出費』の誘惑を断つには」でもお話ししましたが、肝心なのは出費をコントロールすることです。感情にまかせて浪費するのではなく、マネープランの支配下に置くことが大切なのです。
計画支出でストレスをコントロール
私も毎週10冊近く漫画を買っていますが、趣味であると同時にストレス解消を兼ねています。お気に入りのコミックの続刊が出た週などは、それ一冊の満足度で仕事をする元気が3~4日くらい持続します。しかし、無制限に予算化しているわけではなく、他の支出ともバランスを考えながら計画的に趣味の予算(コミック購入費)を捻出しています。
金額や頻度は人それぞれですが、仕事の稼ぎには一定の限界があります。家計の支出にも自ずと予算上の制限があり、ストレス解消は戦略的かつ効率的に行うことが必要です。
そして、計画的に支出を行うことができるようになれば、ストレスもあなたのコントロール下に置けるようになった、ということになります。ストレスにただ押しつぶされるのではなく、ストレスをお金の力で賢くコントロールするなんて、ちょっと痛快ではありませんか。これこそがマネーハックの考え方である逆転の発想ですね。
