ある夜のこと、ダルヴィーシュが道を歩いてると、井戸の中から助けを求める声が聞こえた。「どうした?」とダルヴィーシュ( は井戸の底に向かって叫んだ。
「私は() 文法学者( ですが、このあたりの道をよく知らなかったので、不運にもこの深い井戸の中に落ちてしまい、まったく身動きができないのです」
「梯子( と縄を取ってくるから、それにそれに( 掴むんだ」とダルヴィーシュ( は言った。
「ちょっと待ってくれ!」と文法学者( は言った。「あなたの() 言葉遣いは間違ってる。もう一度、正確に喋ってくれ」
「言葉遣いが命よりも大切なら、俺が() 正確に話せるようになるまで、そこに居つづけるがいい」
そう言って、ダルヴィーシュ( は去った。