ネット検索の最初の役割は、学校現場の先生方に気づきを与えること
なぜネット検索をするのか、色々な意味が考えられると思います。三重県教育委員会としては学校現場に検索の結果レポートを示すことで、現場の先生方に気づきを持ってもらうことが、事業開始当初の目的の一つでした。定量的に説明するのは難しいのですが、効果は大きかったと考えているところです。
他県では「ネットパトロール」の語感からか、子どもたちの問題書き込みをとにかく見つけ出して、それをやめさせるという、ある意味ではキリがない、または対処療法的な作業だと思われているところもあるようです。しかし、そこで終わったのでは教育委員会が関わっている意味が無く、日常的な生徒指導の中にインターネット利用が引き起こす問題への対処を、どう組み込んでいくのかを考えなければいけません。
当初は、そもそもインターネットのことは得意ではなく、総論としては理解しても自分の学校でも問題が起きているのだという実感が持てないという現場の先生が多数を占めました。そこで、網羅的にネット検索をして学校ごとにまとめた情報を先生方に見てもらい、学校ごとの事実・実状を知らせるわけです。困っている子どもが居る、現実の問題、自分の職場の問題だということに一度気づいてもらえれば、元々先生たちは子どもや学校を愛していますから、本気になって動いてくれます。
先生向けには、子どもたちのインターネット利用問題全般に関する研修らしい研修というのは、実はそれほど頻繁には実施していません。しかし、児童生徒向けの指導のポイントや削除依頼の進め方のような、トラブル対処の具体的な方法については、手引き書を作成して全教員に配布しています。ネットパトロールの結果を提供して気づきを与えたことで、それを見ながらでも熱心に取り組んでもらえるようになりました。もし途中で何か分からないことがあれば県教委の方に問い合わせが来ますから、一緒に、一件ずつ問題を解決してゆく、この3年間ほどはそんな形で取り組んでいます。