先日の記事に対して、数多くのコメントを頂きました。
カードショップ店主が斬る! vol.5 転売批判を完全論破する!
案の定大荒れしましたがw
コメントがいいサンプルになったので、
それを元に、転売批判に対してまとめて、
もう少し突っ込んで分析してみましょう。
またくそ長いですよ。
まず、法律関係を今一度整理しますと、
本文でも述べましたが、
ネットで物を売る場合、法的に関わる可能性があるのは、
「開業届」と「古物商」と「例外商品の販売許可」のみです。
開業届と古物商が、比較的簡単に取れる許可であることは、
理解されたと思うのですが、
どうしても商売はそんなにハードルが低くないことにしたい勢力がありました。
いわば法的に問題があることを、免許や許可を根拠にしたい勢力ですね。
「転売批判派(許可派)」としておきましょうか。
古物商は簡単に取得できるのかもしれないが、
販売には、自治体に出す許可が必要だとか、法務局に出す許可が必要だとか、
販売免許が必要だとか、メーカーと販売契約を結んで販売する必要があるだとか、
ありもしない許可や契約を勝手に捏造する人たちがいました。
起業したことのない人はそう思いがちですが、これらは完全に嘘ですからね。
当然、そんな法律や条例が示されることはありません。
ただ本質はそこではなく、
許可さえあれば転売は問題ないのか?という点です。
「じゃあ古物商(他必要な許可)さえあれば転売は問題ないんですね?」と聞くと、
違う!そうじゃない!と答えられた方が大半だったと思います。
つまり、転売批判は、法律や許可の有無を
根本的な問題にしているのではない、ということになります。
次に、倫理やマナーを持ち出す勢力がいました。
これは、法的には転売は問題があるとは言えないとまでは認める勢力です。
転売は倫理的観点から許されない、という考え方ですね。
私のことを、違法でなければ何をやってもいいと思ってるのか!と断じて、
詰め寄られることが多かったのですが、私は倫理やマナーを否定していません。
本文にも書いた通り、倫理は法律に沿ったものであるべき、との考えです。
つまり、グレーゾーンは倫理に反する可能性がある、と考えています。
この点については、転売批判派の多くと、考え方は同じではないでしょうか?
ここ冷静に考えて頂ければわかると思いますが、
私はそもそも転売をまったく問題のないホワイトゾーンだと考えているという提起ですから、
転売をグレーゾーンと考えている批判派と倫理の点で噛み合わないのは当然です。
転売はどのゾーンであるかを、現在進行形で議論しているのに、
結論を待たずに、私のことを倫理観が欠如している人間だという決め付けはおかしな話です。
(そういう点が、私が転売批判派は結論ありきで展開する=一種の思想ではないか、
という疑いを持つ点です。)
そして私が主張してるのは、転売批判こそが倫理的に問題のある
グレーゾーンに位置するのではないか?という点です。
図にするとこうなります。
私の考え
ブラックゾーン(違法)
--------------------------------------------------------------------------
グレーゾーン(倫理)
転売批判
--------------------------------------------------------------------------
ホワイトゾーン(合法)
コンビニ=スーパー=個人の転売(同列)
転売批判派(倫理派)
ブラックゾーン(違法)
--------------------------------------------------------------------------
グレーゾーン(倫理)
転売
--------------------------------------------------------------------------
ホワイトゾーン(合法)
コンビニ=スーパー
私が転売批判が倫理違反の疑いがあるとする根拠ですが、
まず転売を実行しても法に問われることはないが、
転売批判を実力行使(取り引きの妨害や評判を貶める行為)に移すと
違法となるから、です。
実際に、コメント欄をみて頂ければわかったと思いますが、
多くの人が真面目に議論をしている中、
転売批判派の中に、マナーの悪い書き込みが散見されましたよね?
お前が倫理やマナーを語るのか?みたいなもの。
スターバックスもそうですが、結局謝罪に追い込まれましたよね?
あれは悪かったと思って謝罪したのでしょうか?
転売批判が売り手の批判にも及び、
経営判断として謝罪した方がプラスだと思ってしたのではないでしょうか?
何故なら、売り手は自らルールを決めることで、
「誰に」「いくらで」「いくつ」売るかは
本来市場経済の元で保証される売り手の自由と権利だからです。
転売批判が、転売ヤーに売った店も悪いということに波及すると、
その自由と権利が侵害されます。
それは法的には許される範囲だとは思いますが、だったら倫理的には?
違法でなければ何をやってもいいと思ってるのか!ということになりませんか?
あと、倫理の定義について、
違法か合法かは関係ないという勢力がいました。
転売批判派(倫理定義異端派)
ブラックゾーン(違法) | 倫理的には許される犯罪
--------------------(↑)-------------------------(↓)--------------------
倫理的に許されない行為 | ホワイトゾーン(合法)
転売
私は本文で、こういう4つのカテゴリーに分かれているような人を
テロリストの思考だと断じたんですが、
本気でこういう思考で判断している人がいました。
価値観は本来自由ではありますし、他者に押し付けられるものではありません。
ただこの価値観は法治国家を揺るがしかねない危険な価値観だと考えます。
何故ならこの区分が、完全に個人の主観に委ねられているからです。
人間が必ずしも善良な行動を取るとは限りません。
(この方は、倫理的に許さる犯罪はしても許されるに近い、そのうち合法になるんだから、
倫理的に許されない転売はするな、そのうち違法になるから、
という考えををお持ちのようでした。)
さすがにこれには転売批判派からさえ異論が出ていたようです。
まあ法律の法律である憲法とその国の文化を反映した倫理が
乖離しないように、憲法は文化を研究し定められるべき、って話でもありますが。
ちなみに、転売ヤーは列を横入りしたり、
物を置いて順番を取るというルールを勝手に作ったり、
店の言うことを聞かなかったりする点で許されない、という観点で
転売批判していた方がいましたが、
あくまで転売そのものがマナー違反であるかどうかがテーマですので、
これは脱税と同様、転売自体とは関係ないので、取り扱いません。
ようは、転売目的ではなく列に並んでいる人でも、
こういう行ないはする可能性があるからです。
次に、問題は転売ではなく買い占めにある、という勢力がいました。
これは、転売自体に問題があるとは言えないが、
買い占めるという行為に問題がある、という勢力です。
スターバックス騒動では、
先頭の転売ヤーが108個買い占めたことが問題である、という勢力ですね。
これは、買い占めたのが転売ヤーではなくても問題になる、との考え方です。
これはさらに2種類に別れます。
・転売ヤーが倫理に基いて購入個数に配慮しなかったのが問題
『転売批判派(買い占め倫理派)』
・転売ヤーはルールに従ったまでで悪いとまでは言えない、個数制限をしなかった店が悪い
『転売批判派(売り手批判派)』
買い占め倫理派は、
自分は1個買えれば十分、家族や友人の分を買う人がいたとしてもせいぜい数個だろう、
だからそれを逸脱するのは倫理に反する、という価値観として考えているのだと思いますが、
それはあくまで自分自身の価値観・世界観です。
それぞれ価値観や目的は違うわけで、
他の人にはあなたとは違う目的や、あなたの想像を超えた事情があるかもしれません。
ただそんな個人の事情をいちいち配慮してたらきりがありません。
よってルールがあった方がよいのです。
というより、これは別視点での倫理を被せることによって、
実質的に転売できないように追い込む技巧批判派と言えるかもしれません。
売り手批判派は、
あくまで売り手がルールを定めるべきで、それをしなかった・想定が甘かった店が悪い、と
悪いのは転売ヤーではなく店側である、店を責めるべき、と考える勢力です。
この勢力は、結構数が多かったようです。
私はこれを、買い手の裁量を超えていると批判します。
まず、それぞれに自分の裁量があります。
売り手(店)の裁量:価格設定・何を売るか・1人何個まで売るか・
誰に売るか/それをどういうルールで選ぶか
買い手の裁量:どの店で買うか・何を買うか・いくらなら買うか・
何個まで買うか(制限があるならその中で)・あきらめる
転売ヤーは、買う時は買い手と同じ裁量を持つ
先ほども少し書きましたが、これらは市場経済において、
それぞれ侵されざるべき自由・権利だと考えます。
売り手はルールを整備する権利があるため、
列に並ばせたり、個数制限を守らせる義務も負います。
買い手がそのルールが気に入らなくても、義務を守っている以上は、
希望は言えるが文句までは言えないと考えます。
あとは買い手の裁量内で、今後その店で買わないことを選択する、しかできません。
もし、買い手が転売ヤーや売り手の裁量を侵害してもよいとするなら、
買い手の権利も侵害され、押し売りされてもよい、とかいうことになるわけです。
よって、並んでも買えなかった・買えそうもない、
高騰した金額では買えなかった・買いたくない、
その店・人からは買えなかった・買いたくない、
こういう時は最終的にあきらめなさい、ってことです。
今回のスターバックスの立場もそうだと思いますが、
商売やっていて思うのは、大抵は自分の裁量内で行動し、
売り手の裁量で対処できる転売ヤーより、
自分の裁量外の行動をし、対処できない転売批判の方が、
売り手にとって厄介だし恐れるのです。
時には実力行使にすら出ますしね。
売り手側からは、モラルがないと悪い印象を感じているのは
果たしてどっちかわかったものではない、ってのが実情なのです。
買い占め倫理派も、売り手批判派も、
攻めがたい転売批判を直接せずに、
転売させないような対策を取るべきだと暗に主張する勢力です。
でも本心では転売=悪と考える批判派に属するでしょう。
例えばこう言うとしましょう。
「個数が108個ではなく、1個だったらどうするの?
誰が買っても買い占めになるんだけど?」
もちろんそれは買い占めには当たらないとなるんですが、
「じゃあその1個を転売ヤーが買ってもいいの?」
大半がそれはダメだ、となります。
ではやはり買い占めどうこうじゃなく、
結局転売自体がダメなんだろう、という話に戻ってしまうのです。
次に転売批判派(統制派)の勢力。
転売は本来の価格で本当にほしい人に行き渡らないから問題だ、という、
私の本文で書いた市場経済における価格と流通の概念を
完全に無視した勢力です。
これは逆に、じゃあどう法改正したらいいの?
例えば生産者が価格を決定してそれが強制されるようになったら、
統制経済になるからそれだけで資本主義は崩壊するよ?
こういうとそれだけでだんまりになります。
つまり、この勢力を始め、転売批判派は、
別に法改正や共産主義化を目論んでるわけではないってことです。
そうなると、結局ただ自分が安く買いたいだけだろ、
人の儲けるのが気に入らないんだろ、になってしまいます。
その結果、法律ではなく倫理で対処しよう、とする倫理系の派閥が多くなっているのです。
次に、転売批判派(企業貢献派)の勢力。
スーパーやコンビニなど商社や小売り企業がやってるのは
社会を構成して、広く流通や経済に貢献している行為だけど、
転売ヤーは何もしていない上に害があるから問題である、という勢力。
害があるとは、消費者が高く買わなければいけない点は、
インフレなどには貢献しない、
企業に金が入らないので設備投資にも回らない、という考えのようです。
小売り・卸売企業と転売ヤーの違いを、法律ではどうも根拠がなさそうなので、
貢献度で分けて批判するという考えに出た勢力です。
でもこれじゃダメなんですよ。
一般企業も転売をしていると判断されると叩かれる場合があるんですよ。
希望小売価格がある限定品を、
それ以上のプレミア価格として売ると、
それが法人格を持っている小売り企業だとしても、転売批判されてくっそ叩かれますw
この時は、企業も転売ヤーであると判断されるわけです。
希望小売価格で販売するなら文句なんて言わねえよ、って言う人がいましたが、
希望小売価格にこだわっているのに、
希望小売価格以下で販売するのには文句言わないんですね?
スーパーでもアマゾンでも基本的に希望小売価格以下ですよね?
高いのには文句言うのに、安い方には文句言わないんですね?
高く売る方は社会貢献じゃない?
やっぱりそれ単なる安く買いたいっていう欲じゃないんですか?
消費税増税された時、消費者は何と言いました?
増税分以上値上げしたスーパーを便乗値上げと言って、くっそ叩いたでしょw
いつどんな理由で値上げしても売り手の自由なのに。
そもそも値段上げても希望小売価格以下でしたよ?
希望小売り価格で販売するなら
文句なんて言わないって言ってた人、何か言うことあります?
まあこの件に関しては、スーパー擁護の良識派も結構いましたけどね。
結局数々の転売批判派閥からは、
掘り進めても、安く買いたいだけでしょ?嫌儲でしょ?
って事実が出てくるばっかりだと思うんですけどね。
買い手の欲が否定されることで買い手が優先され、
転売の欲だけが取り上げられて問題であるとされる明確な論拠は、
結局何も出て来てないと思います。
次に容認派の方に行ってみます。
まず、転売容認派(気持ち批判派)。
あなたの言ってることは間違っていない・正論だが、
転売は純粋に不快だ。
あなたは人の気持ちを無視してる。
あなたのことが嫌いだ。
といった、人の気持ちを考えろという、
容認派には属しているけど、あなたは間違っているよ、という勢力。
容認派コメントでは一番多かったと思います。
これはまあ確かにそうですね。
あえて嫌われることを言ったり、
転売批判が多いことをわかっていて、
反感を買うようなことするのは、合理的でもありませんし。
あと、こそこそやれ!って人も多かったです。
でもそんな社会に疑問を持ちませんか?
正しいことなのに、悪いことのようにこそこそするなんて。
世の中正論は通らない、というのは、処世術ではありますが、
間違いは変えて行くのが本来健全な社会なはずです。
気持ちを無視しているのではなく、それを変えていこうってことです。
言いたいことはわかるがやり方が悪いだろこれ、ってご意見も頂きました。
かと言ってまったく別の論をぶつけて、
巧妙に誘導するように工作するのもはばかられます。
転売容認派(全面容認派)
ほぼ全面的に容認できるよ、という方も一定数いました。
内容自体に賛同できたという方、
気にしないしたまに役に立つからいいよという方、
同業者で賛同して頂けた方もいたようですね。
今までもやもやしていたがスッキリした、って方は
何人かいらしたのですが、
否定派から容認派に転向したよ、って人は
残念ながらコメントの中では確認できませんでした。
転売批判派の牙城を崩すのは難しかったようですね。
今回は、特定の行動や勢力を批判したり、擁護するのが目的ではなく、
市場経済とルールをもとにしたフラットな考えを提供するのが目的でした。
それを阻害していた転売批判を論理的に潰していった結果、嫌儲が残り、
その縛りを外せば、転売は直接関係なく、
仕事や収入アップの選択肢広がるよ、
って考えを提供したかったのが目的です。
ビジネスの視点で言うと、ショップを初めてから常に感じますが、
我々は転売批判に怯えて暮らす日々ですよ。
もっとのびのび商売できる社会、
新規参入はしやすい社会になることを願うばかりです。
転売の法規制はあり得ないと思います。
先述の通り、価格や流通を制限すると資本主義が崩壊しかねないので。
あるとするなら、過去の法律の流れから考えると、
個別の商品の販売規制の方が行われる可能性が高いです。
例えば福袋販売に規制をかけるとか、ですね。
あと、コメントでは決して数は多くありませんでしたが、
サイレントマジョリティーを予想すると、一番多そうな勢力。
転売容認派(非常時倫理派)
普段は気にしないが、
希少な薬を何百倍の値段で転売をするとか、
災害時に何百倍で水や食料を転売するとかは絶対禁止という勢力。
そういうことを容認できないので転売批判派、もいるでしょう。
ただこれは倫理や法整備というより、行政が行うべき範疇だと思います。
以下、分析の派閥だけ抜粋してみました。
・転売批判派(許可派)
・転売批判派(倫理派)
・転売批判派(倫理定義異端派)
・転売批判派(買い占め倫理派)
・転売批判派(売り手批判派)
・転売批判派(統制派)
・転売批判派(企業貢献派)
・転売容認派(全面容認派)
・転売容認派(気持ち批判派)
・転売容認派(非常時倫理派)