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【 0章 … 羅針盤の示す先 】
この記事は、艦これの特徴的な要素の一つである「羅針盤」、それによって示される海域ルートの分岐法則について語る「読み物」です。
しかし、もしあなたが一般的な提督であれば、ここで語られることは艦これの攻略自体に全くと言っていいほど役に立たないでしょう。
時間を大切にするためにも、このページを閉じることをお勧めします。
それでも、羅針盤に興味があり読み進めたい方、ルート分岐の検証に興味がある方、あるいは余りある時間の暇つぶしをしたい方などは読んでいただければ幸いです。
また、分岐検証は他の検証に比べれば数学的ではなく、どちらかと言えば検証者の思考力・予想力によるところが大きいです。そのため、ひとつひとつ内容自体は読めば誰でも理解できるものばかりですが、一方で、単純ながらも複雑な分岐法則を紐解く過程が重要となります。
現実の世界もまた、複雑で様々な問題で溢れていますが、その本質は単純な問題の積み重ねでしか無く、それを紐解く事ができるかが問題解決へのキーとなります。
要は広い目で、様々な視野で物事を観察し、推し量ることこそが真理への近道なのです。
この記事を読むことによってそんな力が鍛えられる、かもしれません。
【 1章 … 航路の行方 】
さて、そろそろですます調も疲れるのでここからはである調にする。
0章の注意を読んだ上でこの1章に入ったあなたは、恐らく羅針盤のルート分岐条件というものがそもそもどういうものなのか知っていると思うが、念の為おさらいしておこう。
下図は通常海域の2-5のマップと出撃地点からA・Bマスへ分岐するルートの分岐法則を示す表である。(引用元:艦これ攻略wiki)
この記事を書き始めたのが4月で、ダラダラ書いていたら通常海域が更新されてしまった
見て分かるように、艦これではマップの航路が分岐する地点において、出撃時の艦隊に対する様々な条件を満たすことで、その行き先の航路が決定される。
また、条件によってはランダム性を含むものも有り、必ずしも望んだ航路へ行けない場合もある。ある意味ではこの理不尽さが艦これの面白さの一因であるとも言えよう。
ちなみにマップによっては「能動分岐」と呼ばれる分岐もある。これは提督が行き先を選択できる形式の分岐であり、一切の条件要素がない。そのためこの記事では以降これを扱わない。
ルートによっては、マスごとに弱い敵、あるいは強い敵が出現し、最終的にはボスとなる終端のマスへ辿り着き勝利することで、このゲームはクリアとなる。そのため、分岐則をきちんと調べ、最も効率のよいルートでボスに辿り着くことこそ、このゲームの大事な勝利要件である。
一般的な提督であれば、例えばWikiの攻略情報に書いてあるこのような分岐法則の表を見るなどして、出撃前に編成を練り、その上で最適な編成だと思う艦隊で出撃し勝利を得るだろう。
しかしながらよくよく考えてみると、そもそもこの分岐法則はどのようにして導くことができるのであろう―――。
一見単純に見える分岐法則は、その裏に多くの試行と思考を隠している。
【 2章 … 可能性の探索 】
ここからはより簡単に話を進めるために、模式的な分岐を例示して話を進めよう。
例えば以下のようなAマスからB・Cマスに分岐するルートがあるとしよう。
そして求めるべくはAマスの分岐条件である。
試しに、軽巡1駆逐2の3隻での編成と、駆逐3の3隻での編成で出撃した所、以下のように進んだ。
ではこのとき、Aマスに設定されている分岐法則としてどのようなものが推測できるかを羅列してみよう。
少なくとも筆者は以下の可能性があると考えた。
・軽巡1以上駆逐2以上でB
・軽巡1駆逐2以上でB
・軽巡1以上駆逐2でB
・軽巡1駆逐2でB
・軽巡1以上駆逐1以上でB
・軽巡1駆逐1以上でB
・軽巡1以上でB
・軽巡1でB
・駆逐2以下でB
・駆逐2でB
・駆逐3以上でC
・駆逐3でC
・軽巡0でC
・索敵不足でB
・索敵不足でC
・ランダムでBorC(五分五分)
・ランダムでBorCだが片方に偏っている
・ランダムではあるが何かの条件によってBあるいはCに偏る
・史実艦が一定以上でB
・史実艦が一定以上でC
・所持装備によってB
・所持装備によってC
このように、たった2編成の違いによって、推測される分岐法則は22種も考えられる。
ちなみに例えば「2以上」と「2」の違いには差はないのではと思う人もいるかも知れないが、これも重要な違いである。1でも3でもダメで、2のときのみ良いといった分岐法則は往々にして有り得るからである。
そしてこの後に必要とされるのが条件の絞り込みである。もちろん上の様に推測しただけでは何の解決にもならないため、追加で編成を変えて出撃し、誤った推測を排除する必要がある。
では実際にこの絞り込みを行ってみよう。
まず簡単なのは索敵値に関する条件である。数年前から導入された索敵値でのルート分岐であるが、基本的には索敵値が低い艦隊の場合、ボスへの最短ルートから「逸れる」方向に向かう(俗に言う索敵逸れ)。また、逆に索敵値が高くボスへの最短ルートへ向かう場合は、羅針盤回転後に索敵機がマップに表示され飛んでいくので(ブーン)、分岐条件に索敵値が関与しているかどうかは比較的見分けやすい。しかしながら、最近のイベント海域であっても索敵値が分岐に関与するマスにおいて索敵機の飛ぶ演出がなされないこともあり、完全に信じることは出来ない。
とはいえ、上の例では軽巡に偵察機を多く積むことや駆逐に電探を積むことで索敵値を大きく上げ、少なくとも逸れるような低索敵でない状態にすることで、条件を見定めることができる。
次に所持装備による条件を見てみよう。現在までのイベで判明した条件からして、装備がルート条件に絡むことは比較的少なく、あったとしてもドラム缶の数などである。上の例示した編成で特殊な装備などを詰んでいない場合、基本的には考えなくて良い条件である。もちろん関与していないとは言い切れないが、消去法的に他の条件が全て消えたときなどに考えるといった程度で十分である。
次に史実艦について考える。そもそも史実艦とは、その海域のモチーフとなった海戦などに現実で参加した(参加するはずだった)艦娘を指す。必ずしも史実と同じ艦が対象となるわけではなく、戦没した艦が対象外になっていたり、あるいは特定の組み合わせでしか有効でなかったりするため、史実艦の特定は非常に困難を要する。この特定については後ほどの章で語ることとしよう。
ただし、分岐が史実艦による固定かどうかを判断するのは簡単である。上の例の編成の艦種はそのままに、史実とは全く関係無さそうな艦娘に変更して出撃し、分岐の方向が同じなら史実艦による固定の可能性は低い。
次にランダムについて考えたいが、これは難しい問題なので9章で述べる。
ここまでの絞り込みはどちらかと言えば特殊な条件の吟味であったが、いよいよ肝心の艦種による条件の絞り込みを行ってゆく。例えば駆逐2で出撃してBに進んだ。
こうなると艦種による分岐条件は以下のようにかなり絞ることができる。
・軽巡1以上駆逐2以上でB
・軽巡1駆逐2以上でB
・軽巡1以上駆逐2でB
・軽巡1駆逐2でB
・軽巡1以上でB
・軽巡1でB
・駆逐2以下でB
・駆逐2でB
・駆逐3以上でC
・駆逐3でC
・軽巡0でC
さて、もう気付き疑問に思っている方もいるかも知れないが、例えば「駆逐2以下でB」と「駆逐3以上でC」は本質的には同じなのではないかという意見があるだろう。
これについて次の章で語っていく。
ちなみに「2以下」か「2(ぴったり)」かを見極める方法は話すまでも無いので省略する。
【 3章 … 北の反対は南か 】
プログラミングをしたことがある人は「IF文」というものを聞いたことがあるだろう。したことが無い人向けに簡単に説明すると、プログラミング内のフローで条件分岐を行う最も基礎的な仕組みである。例えば入力された数字が偶数か奇数か表示したいプログラムであれば下図のようなフローとなり、ひし形の部分がIF文と呼ばれる条件記述である。
さて、よく見てみるとマップの分岐と非常によく似ていることが分かる。
艦これというゲームもまたプログラミングによって作られており、マップ分岐はこのようなIF文によって定義されている可能性が非常に高い。
しかしながら上図のような分岐であれば、「Xを2で割れない?」という条件にした上でYESとNOを入れ替えてもプログラムは正しく動く。
実際、艦これの分岐も同じように条件を真逆に書くこともできる。
では何故この「反転」に関してこだわるかと言えば、これは2つ以上の条件が絡んだ際に非常に厄介な違いが生まれるからである。
以下に、2つの条件が絡む分岐の例を示す。
なおBマスはボスとし、Cマスは逸れマスと考えると分かりやすい。右の図は編成のパターンについてBに行くべきかCに行くべきかの運営の想定した条件をベン図で示したものである。
運営の意図を読み解くなら、強力な戦力となる戦艦を排除しつつ、ボスへの固定となる軽巡を入れないといけないといったところである。
さて、これを先程のようなフロー図で条件を示すと以下のようになる。
さらにWikiなどによくある「言葉」での条件に書き直すと以下のようになる。
Aマス分岐条件(上から優先)
・戦艦を含むとC
・軽巡を含むとB
・その他はC
ここでフロー図の条件文を反対の意味に書き換えた場合を考えると以下のようになる。
同じ様に「言葉」で書き直すと以下のようになる。
Aマス分岐条件(上から優先)
・戦艦を含まず軽巡を含まないとC
・戦艦を含まないとB
・その他はC
両者の「言葉」での分岐条件を比較すると、共に条件を正しく示せてはいるものの、後者の書き方のほうが圧倒的に分かりづらいことが分かる。例えば後者の条件を読む場合、直感的にボス到達のための編成に軽巡が必要であることが分からない。また、「戦艦を含ま(ず・ない)」という同じ意味のワードが2回出てきてしまい冗長である。
恐らく運営のプログラミングしている分岐条件の文も前者のフローであり、なるべく運営の意図した分岐条件を「反転」も含めて予想することが求められる。
基本的には上に例示したフロー図のように、分岐のYESを横に、NOを下に伸ばした上で、条件が縦に連なり続けるように組み合わせると、言葉に直したときも直感的になりやすい。
【 4章 … みつどもえ 】
3章での例をもう一度思い出してみると、分岐文をまとめることで、以下の図のようにも書けるのではないかと気付く。
もちろんこれは正しい。言葉で書いても
・戦艦を含まず軽巡を含めばB
・その他はC
となり簡潔である。時としてこのように条件文をある程度まとめた方がよい場合もあり、これに関しては書き手のセンスに任せられていると言ってもよい。
条件の数は減るが文自体が長くなるため、まとめすぎるのも禁物である。
だが、積極的にまとめた方がいい例もある。例えば3章の例にさらに「ボス到達には駆逐も2隻必要」と運営が付け加えたとしよう。すると以下のようになる。
このように、「軽巡と駆逐2を含む」などの日本語で「と」でつながるような条件は、まとめた方が素直になりやすい。
【 5章 … 神は条件の上に条件を作る 】
3章で当たり前のように出てきた左のベン図であるが、本来は運営がどのように分岐を想定しているかは分からないため、この図を予想することこそが羅針盤解明そのものである。
さて、2章の最後でやったように、推定できたいくつかの条件候補に対して、追加で出撃を行うことでその絞り込みを行い、条件を一つに絞り込むことは可能である。
しかしながら、一つの分岐マスに対して複数の条件が組み込まれていることは珍しくない。1章で例として出した2-5分岐は7つの条件によって制御されている。
もちろんここで疑問となるのは、例えば条件①②が判明したとして、それらを同時に満たした時はどうなるのかという問題である。
これを調べるには、両条件を満たした編成で出撃して確かめる他ない。出撃した結果、必ずどちらかの条件の結果が反映され、条件の優先順位を調べることができる。この優先順位こそ、先のフロー図の分岐の順番そのものとなる。
このとき、いくつかの条件の優先順位を考えた結果、フロー図が完成しなかったり矛盾したりすることがある。これは推測した条件が間違っているか、条件の反転を間違えている可能性が高い。あるいは最悪のパターンとしてランダムである可能性もある。
なお条件の内容によっては同時に満たせないことも多いが、この場合でも他の条件などとの兼ね合いで優先順位が相対的に決まることが多い。
なお、分岐条件の検証において、この優先順位は非常に重要である。折角ひとつひとつの条件を正しく見つけられても、優先順位を間違ってしまえば全く価値のない情報となってしまう。そもそも分岐は、敵に対して強すぎる編成をはじくという機能の他に、サービスとして一定条件下で強い編成を通すという目的も隠されている。もし分岐の検証者が「強い編成をはじく条件 > サービス用の条件」と誤って優先順位を推測してしまうと、折角強い編成で行けるはずのルートを仕方なく皆弱い編成で行くこととなってしまう。
よくある例として、以下のように優先順位が設定されていることが多い。
・特殊な条件下でボス
・重い編成で逸れ
・軽い編成かつ一定の条件でボス
・その他逸れ
すなわちボス方向と逸れがミルフィーユ状になる事が多い。
【 6章 … アンリミテッドフォーメーションワークス(無限の編成) 】
さて、冷静に考えると分岐条件というものはかなりのパターンがあるのではということに気付くだろう。例えば軽巡と駆逐艦による分岐文の候補を羅列するだけでも100では済まないかもしれない。実際には艦これには十数種類の艦種があり、これらの組み合わせはまさに無限大である。
元も子もないことを言えば、ルート分岐を完璧に推測することは「不可能」だ。例えば「高速戦艦3以下かつ航巡1以上かつ水上機母艦1以上かつ雷巡2以下かつ軽巡+駆逐+海防艦が2以上」という条件があったとしてそれを見つけられるだろうか?さらに言えば、長くても一ヶ月ほどしか無いイベント海域などではなおさら難しい。
しかしながら我々は考える生き物であり、過去の海域の分岐の経験やカンから、完璧とは言えないまでも、その条件を絞り込むことが可能である。
さらに運営もまた神ではなく人なので、我々はある程度その行動を予測できる。ゲームマスターがマップに仕込んだ思惑をすくい上げることで、羅針盤も解明しやすくなる。
このように言うとオカルトのように聞こえるかもしれないが、あながち冗談ではない。例えば分岐のうち、ボスに行く方に重い編成を、逸れる方に軽い編成をとなるような条件は組めても組まれるはずがない。これだけでも無限にある条件の半分を削ることができる。
あるいは制空を取らせたくないような海域で空母を弾いたり、潜水がデコイとなりやすそうな海域で潜水を弾いたり、ゲームマスター視点でマップを見れば自ずと条件は透けてくるものである。
それでも見つけることが難しい分岐として、サービスとしての特殊条件がある。これは史実艦固定だったり特殊な艦での固定だったりする事が多い。史実艦であればある程度見当もつくが、例えば秋津洲やあきつ丸や大鯨などの艦が固定になっている場合、非常に見つけづらい。イベントでは札もあるため、全海域でチェックするのはほぼ不可能である。さらに言えば大抵の場合は「秋津洲さえいれば何でも良い」ではなく「秋津洲+駆逐2」など付随の条件があるため、全く情報がない状態で見つけるのは困難を極める。おそらく今までのイベント海域でも、誰も見つけられなかった分岐条件は山のようにあるのだろう。
【 7章 … 急がば回れ 】
ではまたしても2章の例に戻ろう。軽巡1駆逐2と駆逐3の出撃結果によって、少なくとも艦種だけによる条件の分岐法則の推測一覧は以下のようになる。(再掲)
・軽巡1以上駆逐2以上でB
・軽巡1駆逐2以上でB
・軽巡1以上駆逐2でB
・軽巡1駆逐2でB
・軽巡1以上駆逐1以上でB
・軽巡1駆逐1以上でB
・軽巡1以上でB
・軽巡1でB
・駆逐2以下でB
・駆逐2でB
・駆逐3以上でC
・駆逐3でC
・軽巡0でC
さてここで軽巡の影響を調べるために重巡1駆逐2で出撃してBに行った。この場合、上記の一覧を減らせると思うだろうが、実際はそうではなく以下のように候補が変わるだけである。
・(軽巡or重巡)1以上駆逐2以上でB
・(軽巡or重巡)1駆逐2以上でB
・(軽巡or重巡)1以上駆逐2でB
・(軽巡or重巡)1駆逐2でB
・(軽巡or重巡)1以上駆逐1以上でB
・(軽巡or重巡)1駆逐1以上でB
・(軽巡or重巡)1以上でB
・(軽巡or重巡)1でB
・駆逐2以下でB
・駆逐2でB
・駆逐3以上でC
・駆逐3でC
・(軽巡or重巡)0でC
そう、分岐条件を絞り込む過程において、差分となる編成を作る時は「何かを足したり」「他の艦種に変更したり」することは基本的に禁物である。新たに加わった艦種あるいは、加わった艦種が既に編成済みであっても、艦数が増加することによって条件の候補は減るどころか増える可能性すらある。
そのため基本的に分岐検証は、基準となる編成から艦を減算して出撃することで行う。下の画像のように、戦力が殆ど無い編成で試行する必要のあることも多い。(余談だが、分岐検証はこの都合上、反復出撃ごとにほぼ全員中破以上で帰投ということも多く、バケツの消費が非常に激しいので覚悟する必要がある。)
ただしこの場合注意しなくてはいけないのは低索敵による逸れである。また、極稀に艦隊全体の艦数を条件に組み込んでいる時があるため、これも注意する必要がある。
【 8章 … 大戦の艦を模したものが艦娘であるからして 】
艦これでは「史実艦」と呼ばれる分類が行われることがある。マップの元となった海戦に関係ある艦娘が、分岐条件や特効艦などに影響することがある。この史実艦が誰に当たるかと言うのは基本的に運営から一切発表されないため、ユーザーが調べる必要がある。ここではその特定の仕方について語っていく。
そもそも史実関係の分岐を推定するにあたり、不明となるのは「誰が史実艦か」と「何隻史実艦がいれば分岐するか」の2要素である。このどちらかでも推定を誤ってしまうと、もう片方もつられて違う推定になってしまうので、慎重にかつ同時に条件を絞り込んでいく必要がある。
まず前提として、「史実艦X隻以上でボス方向」という条件が設定されていることが多いため、調査も最初はこれに沿って行うのが現状効率が良い。
以下の表は、史実艦候補を大文字アルファベット、ほぼ絶対史実艦でなさそうな艦を小文字アルファベットで示した調査例である(なお表の縦列ごとに艦種は同じに揃え、艦種条件の変化が他に起こらないようにする必要がある)。
このように、1隻づつ変更することで、史実艦の必要数と、史実艦であるかどうかを同時にチェックできる。
もちろん前提とした「史実艦X隻以上でボス方向」という条件が間違っていると上記の推定が使えないのは言うまでもない。
例えば「赤城と加賀を含む」か「飛龍と蒼龍を含む」のような組み合わせたときのみ有効な条件だった場合、探すのはかなり困難になる。
ちなみに史実艦によるルート分岐は難しそうに見えるが、通常の艦種による分岐より実は推定しやすい。史実の海戦を調べれば、ある程度どの艦が該当するのか推定できる分、ヒントがあると言えるからである(艦種の分岐はヒントは0に等しい)。なおIF作戦と呼ばれる史実では起こらなかった海戦を模したイベントはこの限りではない。
【 9章…神はサイコロを振らない 】
さてこれまでの羅針盤の検証は、実はたった一つの条件で覆ることがある。
それが「ランダム」である。
分岐にランダムがあると判明してしまった場合、困るのは他の分岐条件の推定(絞り込み)が非常に困難になる点である。全ての条件候補において「ランダムで変化してるだけかもしれない」という疑惑が付き纏うため、例えばイベント海域などの検証時間が限られた海域では事実上の特定は不可能になると言って良い。
まずランダムなことを証明するには同じ編成で何度も出撃し、どちらにも行くことを確認できればよい。
逆にランダムで無いことを証明するには同じように何度も出撃し、片方にしか行かないことを確認できれば良い。ただし、本来ランダムで無いことを証明するのは悪魔の証明であり不可能に近い。そのため、ランダムが極端に偏った設定値でないと仮定して、数十回程度試行すればランダムが存在するなら1回はどちらかに行くだろうと考えるしか無い。
さて問題は一言にランダムといえど、さまざまな種類がある。
・編成よらず五分五分でランダム
・編成よらず偏りのあるランダム
・何かの条件下で五分五分でランダム
・何かの条件下で偏りのあるランダム
これら全ての可能性を考慮した上で、今まで説明してきたような条件の絞り込みを、編成の種類ごとに百~千回のように繰り返さなければ、統計的にランダムの条件を知ることはできない。これがいかに困難なことかは想像するにたやすい。
厄介なのは、人間というものは偏りに対してバイアスを強くかけて見てしまう傾向がある。
例えばとある編成で5/5回ボスまで最短ルートで行ければ、それを固定編成だと思うだろう。
しかしコインを5回振って表が5回出ることもあるように、それがランダムの偏りによる可能性もある。
一方で、本来五分五分のランダムの場所でも、特定の編成で7:3でボスに行きやすくなるというような条件もあり得る。しかしながら、たかだか十回程度の出撃では偏りが出てしまうため、結局のところ条件を見破るのは非常に困難である。
唯一この条件を打破する方法は、データベースによって数千件単位の出撃データを収集し、ビッグデータとしてその傾向からランダムの偏りを見つけることのみである。
最近ではこのような手法も徐々に取られつつあるが、まだメジャーな手段ではない。
【 10章…見果てぬ先へ 】
さて、長かった羅針盤の旅もここで終わりである。
羅針盤の見せる夢に興味を持った方は、是非分岐検証に積極的に参加して欲しい。
まだ誰も知らぬ白いマスを初めて踏むのは、次はあなたかもしれない。
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