マイクロ特許事務所

弁理士 博士 小池誠; 日本弁理士会役職;常議員(R1, R2)、日本知的財産仲裁センター(調停人・仲裁人・判定人候補者)、広報センター会誌編集部、知的財産支援センター、関東会相談室運営委員会;日本弁理士協同組合総代 所属学会;日本工業所有権法学会、デザインと法学会、日本被害者学会;電子情報通信学会、情報処理学会、人工知能学会、日本認知科学会、日本神経回路学会、日本神経科学学会;日本生理学会、日本比較生理生化学会、日本社会精神医学会、日本化学会; 03-3428-0757、午前9時30分から午後5時30分、土日祝日休み

03-3428-0757
午前9時30分から午後5時30分
月曜日から金曜日まで
土日祝日は休業


こいけ   まこと
小池 誠

年齢 57才

弁理士登録番号 第20464号

 

学 歴   
東京大学工学部合成化学科卒業(昭和61年)

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校化学科学大学院博士号取得(平成3年)

職 歴   
東名国際特許事務所(平成3年)、ユアサハラ法律特許事務所(平成8年)、阿部・井窪・片山法律事務所(平成12年)、正林国際特許商標事務所(平成13年)及び浅村特許事務所(平成16年)を経て、独立開業(平成19年)。廃業後(平成23年)、再独立(平成27年)。


登録歴   
初登録第10926号;再登録第20464号


役員歴   
関東支部幹事(平成28年度、平成29年度)

常議員(令和元年度、令和2年度)

日本弁理士協同組合 総代(令和2年度~現在)

日本化学会 代議員(令和3年度)


委員歴   
研修所運営委員(平成10年度)、研修所運営部長(平成11年度)
国際活動委員会委員(平成12年度)

情報企画委員会委員(平成14年度)、情報企画委員会副委員長(平成15年度)

バイオ・ライフサイエンス委員会委員(平成16年度)

中央知的財産研究所運営委員(平成29年度~令和2年度)

広報センター会誌編集部運営委員(平成29年度~現在)

関東支部海外支援委員会委員(平成30年度)

関東会相談室運営委員会委員(令和元年度~現在)

知的財産支援センター運営委員(令和2年度~現在)

日本知的財産仲裁センター調停人・仲裁人・判定人候補者(令和元年10月~現在)


所 属   
日本工業所有権法学会、デザインと法学会、日本被害者学会、日本化学会、日本生理学会、電子情報通信学会、情報処理学会、人工知能学会、日本神経科学学会、日本社会精神医学会、日本神経回路学会、日本比較生理生化学会、アジア太平洋機械翻訳協会、日本認知科学会、日本版AAS設立準備委員会、American Association for the Advancement of Science

 

副会長立候補にあたって

昨年に引き続き、日本弁理士会副会長選挙に立候補いたしました「小池誠」です。立候補にあたりご挨拶申し上げますが、長文になりますので、下記のように目次をまとめました。

 

内容

1.序   

2.DX

3.ポストコロナ

4.弁理士再登録

5.弁理士報酬

6.知財総合支援窓口事業

7.結語

 

1.序


情報通信、人工知能などが急速かつ革新的に進化したことに伴って、日本社会は変革期を迎えており、サイバー空間とフィジカル空間が融合したSociety5.0が到来しつつあります。即ち、サイバー空間にフィジカル空間のデジタルツインが再生されるという未来社会が実現するのです。これに伴って、デジタルトランスフォーメーション、略称DXが進行しているのですが、日本弁理士会もDXに対応することが求められます。

 

2.DX


日本弁理士会のDXという具体的な施策としては、会誌「パテント」の一層のデジタル化が挙げられます。現状といたしましては、会誌「パテント」は紙媒体で毎月、会員に配布されるとともに、会誌「パテント」に掲載された記事はデジタル化されて日本弁理士会ウェブサイトにアップロードされており、誰であってもインターネットでアクセスできます。

しかし、デジタルデータにアクセスできるのは紙媒体を発行してから約2か月後に設定されています。そこで、紙媒体の発行と同時にインターネットでデジタルデータにアクセスできるように改善したく存じます。


ちなみに、DXという観点では、知的財産支援センターが年に10回、発行する「知的財産支援活動だより」が最先端になっており、そのデジタル版は、毎月、日本弁理士会ウェブサイトで公表されています。


ところで、「知的財産支援活動だより」が掲載されているウェブページと会誌「パテント」が掲載されているウェブページは全く異なっているのですが、このあたりに改善の余地があるかと存じます。


また、日本弁理士会ウェブサイトに関しては、日本語ウェブページは完成度が大変、高いのですが、英語ウェブページになると、若干の疑問があり、例えば、日本語ウェブページに対応する英語ウェブページが欠落していることがあります。英語ウェブページについて拡充することができたらと存じます。

 

3.ポストコロナ


令和2年度及び令和3年度の日本弁理士会の会務を振り返りますと、新型コロナウィルスの蔓延に大きな影響を受けました。例えば、日本弁理士会に設置されている委員会などは対面からオンラインに移行し、旅費交通費が大幅に低減することになりました。


それでは、令和4年度の日本弁理士会の会務はどうなるのかと予想いたしますと、東京、大阪など19都道府県で令和3930日まで緊急事態宣言が発令されているのですが、令和39月中旬におけるマスコミ報道によると、この緊急事態宣言が解除する方向で検討されています。そうすると、令和4年度になると、新型コロナの流行が終焉していることが十分に想定されるようになってまいりました。

そこで、ポストコロナ時代の日本弁理士会に相応しい施策を実行し、会員の皆様の期待に応えたく存じます。

 

4.弁理士再登録

 

私事になりますが、弁理士登録を抹消し、再登録をしています。この点について、気になさる会員がいることも十分に想定されますので、弁理士を廃業していた時代のことを補足いたします。

 

米国特許の発見

独立開業してしばらく経過した時期、まだ弁理士登録を抹消する前のことになるのですが、ある日、偶然に米国特許6587729号、米国特許6470214号、米国特許3951134号などを発見して人生が変わりました。今となっては正確な日付は覚えていないのですが、平成20年、平成21年のことになります。


米国特許6587729号も米国特許6470214号も人間の頭部に電波を照射して、頭部に直接、音声を伝える無線通信方式を開示しています。特許権者は米国空軍ですから、軍事無線通信について機密を解除しているということになります。この米国特許は不可能と直感したのですが、念のため、通信方式の原理、即ち、電波が聞こえる現象について調査したところ、マイクロ波聴覚効果という物理現象を発見いたしました。


マイクロ波聴覚効果


電波は聞こえないという社会常識がありますが、実はこの社会常識が間違っていて、マイクロ波は一定の条件で音として聴こえ、この現象はマイクロ波聴覚効果と命名されています。簡単に述べると、頭部に照射したマイクロ波が音波に変換し、この音波が頭部組織を伝搬し、内耳の蝸牛に到達し、骨伝導で聞こえます。


大多数は、マイクロ波が音波に変換する原理、その条件などを知らないだけに過ぎないのです。即ち、マイクロ波が音波に変換する原理は水の熱膨張であり、この音波は専門用語で熱弾性波に分類されます。マイクロ波が連続波のときには熱弾性波は発生せず、音として聞こえないのに対して、マイクロ波がパルス波のときには水の熱膨張により熱弾性波が発生して、音として聞こえます。


熱弾性波の発生は、マイクロ波パルスだけでなく、光パルスでも観察されます。太陽や照明器具が放射する可視光は聞こえませんが、雷では雷光という光パルスを見ることができ、雷鳴という音を聞くこともできます。可視光が連続波のときには熱弾性波が発生しませんが、雷では巨大な電流が空気を急激に加熱することに伴って、空気が急激に熱膨張して、熱弾性波、即ち、音が発生します。

熱弾性波という物理現象が分かれば、米国空軍特許で開示された通信方式が物理法則に違反しないことは明らかであり、本件発明は米国特許法101条に抵触しないことも明らかということになります。

 

研究の日々


弁理士を廃業していた時代も弁理士登録を復活した後であっても、マイクロ波聴覚効果を無線通信に応用するというテーマ及び統合失調症の原因はマイクロ波聴覚効果を応用した無線通信という仮説について研究しています。その当時、弁理士業務をすることなく、研究に没頭していたのですから、毎月の弁理士登録費を支払うこともないと考えていました。


平成27年夏に弁理士登録を復活させたのですが、不思議なことに、その後、順調に研究発表ができるようになりました。平成28年4月以降、マイクロ波聴覚効果やマイクロ波聴覚効果を応用した無線通信などの研究成果について、電子情報通信学会、情報処理学会、日本化学会、日本生理学会などで発表しています。


精神医学系学会は、マイクロ波聴覚効果に関する研究発表のハードルが格別に高く、演題を何度、応募しても採択が拒否されていたのですが、令和3年3月になってようやく日本社会精神医学会という精神医学に関連する学会で、マイクロ波聴覚効果に鑑みて、電波妄想は疑似科学という演題を発表することができました。


5.弁理士報酬


昨年、副会長に立候補したときに弁理士報酬増額という公約が好評を博しましたので、今年もこの公約を掲げるとともに昨年の文章に若干の加筆修正をいたします。

 

課題


米国に留学し、大学院生だった時代のことですが、頻繫に友人と一緒にピザを食べに行きました。人数が多いときには大きなピザを注文し、人数が少ないときには小さなピザを注文しました。


さて、米国から帰国後、弁理士試験を受験して、1996年11月に合格しましたが、その当時、弁理士総数は4000人前後でした。その後、25年の歳月が過ぎましたが、2021年6月30日現在、弁理士総数は1万1513人であり、約3倍になっています。

弁理士総数が3倍になったからといって、出願件数が3倍になったかというと、そのようなことはなく、おおむね横ばいのままになります。それでは、弁理士の人数が3倍になったからといって、1件当たりの単価が3倍になったかというと、そのようなことは全くありません。弁理士業界の売上全体は弁理士の数と比例しておらず、弁理士一人あたりの平均売上は、当時と比べて減少しています。更に、商標登録出願などでは情報通信及び人工知能 AI の進展に伴って、出願の機械化、自動化が一部で進行しており、これに伴って、出願手数料に下落圧力がかかっています。


ところで、弁理士業界の売上全体は、ピザのようなものです。知的財産市場において、多くの特許業務法人、特許事務所、弁理士が互いに切磋琢磨しているのですが、ピザの取り分を競っているような面があります。特定の特許業務法人、特許事務所、弁理士は取り分が大きく、別の特許業務法人、特許事務所ないし弁理士は取り分が小さくなります。


ここで、ピザのサイズを拡大する問題とピザをどのように配分するかという問題を分けて考えます。ピザの配分については、個々の特許業務法人、特許事務所の経営努力に委ねる一方、ピザのサイズを拡大する問題は、個々の特許業務法人、特許事務所の経営努力を超えています。やはり、日本弁理士会のような知的財産に関する運命共同体において、ピザのサイズを拡大するという課題に取り組むことが所望されます。


従来、このような課題を解決するために弁理士の職域を拡大する方向が採用されており、その結果、弁理士法が改正され、著作権法、種苗法などの相談業務が弁理士に認められるという成功をしています。


そこで、ここでは新たな方向として、特許業務法人、弁理士法人、特許事務所の売上を拡大し、弁理士業界全体の売上高を拡大するというアプローチを提案いたしますが、まずは課題の分析から述べます。

 

課題の分析


上述した弁理士業界の課題について、経済学という観点から分析いたします。経済学では、需要曲線と供給曲線が交わった均衡点で需要量と供給量が一致するとされており、均衡点における価格は均衡価格といいます。価格、数量などが均衡価格より若干、逸脱しても、市場力学が作用して、均衡点に回帰するとされています。


さて、弁理士市場では、出願件数などの需要がほぼ一定であり、弁理士の人数という供給が3倍に増加しました。供給が3倍に増加すれば、均衡価格は当然、下落いたします。このように経済学で課題を分析する利点は、経済学に課題を解決する手段が発見できる点にあります。


このような経済学上の理論は現実の現場感覚と合致しています。即ち、年間出願件数が千件を超えるような大企業は、複数の特許業務法人、特許事務所に特許庁に対する出願業務などを依頼しているのですが、このような現状では顧客である大企業に価格決定権があり、弁理士報酬は下落しやすくなります。

 

課題の解決


ところで、独占禁止法、即ち、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)は、不公正な取引方法として不当廉売を禁止しています(同法第2条第9項第3号)。不当廉売の禁止とは要するに安売り禁止です。

また、不当廉売に関する法定要件を満たさない取引方法であっても、不当に商品又は役務を低い対価で供給し,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあることも、不公正な取引方法として禁止されています(同法第6項)。


さて、酒類の安売りによる競争激化のため、小規模な酒屋さんが企業存続の危機となっていることから、2016年5月27日に酒税法、並びに、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の改正案が可決、成立し、2016年6月3日に公布され、2017年6月1日から施行されました。要するに、酒類の過剰な安売りは禁止されるに至りました。

法の建前としては、財務大臣は酒類販売業者などに公正な取引の基準を定め(酒類業組合法86条の3)、公示するとともに、公正な取引の基準を遵守しない業者は指導を受けるということになります。


ところで、弁理士業界は、酒小売業と同様に、体力のある大手特許業務法人、大手特許事務所もあれば、零細な特許事務所も併存しているわけであり、このような業界の構造は共通しています。


そこで、知的財産に関する法律サービスを提供するときに、過剰な安売りは禁止することが所望されます。

 

経済状況の相違


ちなみに、過去を振り返ると、平成13年1月6日に平成12年全面改正弁理士法が施行されたことに伴って、弁理士報酬額表が廃止されました。ところが、平成13年前後の経済状況と令和2年の経済状況は全く異なります。


令和2年4月から6月までの四半期で日本の GDP は年率換算で27.8%減少し、リーマンショックがあったときの17.8%を超え、過去最悪の数字となりました。リーマンショックがあった翌年は通常より弁理士登録抹消が増加したのですが、同様に、令和3年度は、通常より弁理士登録抹消の割合が増加することが予想されます。新型コロナウィルスのような巨大な経済変動があったときには、個々の弁理士の研鑽とか、特許事務所の経営努力を超える事態が発生することも十分に予見することができます。


また、特許異議申立制度は平成15年特許法改正で廃止されましたが、平成26年特許法改正で復活しています。このように一度、廃止された制度が復活することは知的財産の世界で先例があります。更に、宅地建物取引業者では未だに報酬額表が維持されています。

 

公共性


電気、ガス、水道、電話のような公共料金はおおむね画一的な料金体系が許容されています。携帯電話では、格安スマホが参入するようになりましたが、それでも大手三社の料金は概ね横並びになっています。


弁理士が提供する知的財産サービスも公共性があるという点では共通しているので、これらの公共料金と同様にほぼ画一的な料金体系が許容されるかと存じます。

 

公共性と全国展開


電気、ガス、水道、電話のような公共サービスは日本全国で提供することが求められています。ところが、平成12年に弁理士法が全面改正された当時、弁理士は首都圏、関西圏など大都市に偏在する一方、地方都市に弁理士が少なく、島根県のように弁理士がほとんどいない県もありました。


これに対して、令和時代では、弁理士がいない地域という状況は大幅に改善され、日本弁理士会も北海道支部から九州支部まで9支部が設立され、日本全国津々浦々に至るまで弁理士が知的財産サービスを提供することができる体制が整備されています。更に、インターネット会議システムが普及している現在であっては、潜在的な顧客が日本のどこにいても弁理士サービスを提供することができるようになっています。


このように日本弁理士会は公共性のある団体として日本全国で弁理士サービスを提供するという責務を果たしているのですから、弁理士の料金体系も公共料金と同様に画一性又はそれに準じる形態が容認されるかと存じます。

 

試算


次のような試算をいたします。弁理士一人の売り上げが、年間1千万円、増加したと仮定いたします。弁理士が10人いる特許業務法人では年間1億円の売り上げが増加するという試算です。2021年6月30日の時点では1万1千人を超える弁理士がいますが、概算で1万人の弁理士として、年間売上が1千億円、増大するという試算です。言い換えますと、特許業務法人、特許事務所の全体としては、年間売り上げが1千億円、増加することになる一方、知的財産権利者の全体としては年間コストが1千億円、増加することになります。


ところで、東証一部に上場している、ある大企業は2020年度の純利益が1.9兆円であり、2021年度の純利益が2.1兆円と予想されています。これだけ巨額の純利益があると、この大企業だけで1千億円のコストを負担することは計算上、可能となります。実際には、一つの法人でなく、千以上、一万以上の法人でコストを分散することになるので、各法人は十分にコストを負担することができます。


また、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学教授が製薬会社に対して、オプジーボ特許のライセンス料として約200億円を請求する訴訟が大阪地方裁判所に提起され、2021年9月の段階で和解が協議されています。一方、この製薬会社は2020年3月期及び2021年3月期に200億円を超える引当金を計上していますが、それでも健全な財務を維持しています。


特許を取得することにより、特許権者は巨額の利益を生み出すことができることを考慮すると、その均衡として知的財産業界もその貢献に対する対価を受領することができるようになってもよいかと存じます。

 

企業弁理士


日本弁理士会の会員には企業に勤務する会社員もいますが、このような会社員は、企業が特許業務法人、特許事務所などに対して支払う金額が増加するのは歓迎しないことは十分に想定されます。


ところで、特許業務法人、特許事務所の年間売り上げが増加したときには、弁理士が顧客に提供する付加価値が全般的に上昇することになるのですが、弁理士の社会的地位が向上することになります。そうすると、その波及効果は、企業に勤務する弁理士にも及び、企業内弁理士の地位も同様に向上することになります。


例えば、弁護士資格がある20代が新入社員として企業に勤務した場合、その待遇は大学又は大学院を卒業した新入社員と同様ではありません。特許業務法人、特許事務所に支払う弁理士報酬が大幅に上昇したときには、企業内弁理士も地位向上という恩恵を享受できるのは明らかです。

 

6.知財総合支援窓口事業


独立行政法人工業所有権情報・研修館、通称、INPITは、知的財産文献を収集していますが、弁理士は日頃からこの業務の恩恵を享受しており、INPITに感謝していることを最初に申し上げます。

 

課題


一方、INPITは、知財総合支援窓口事業を日本全国に展開し、更に、知的財産に関する相談をINPITにするよう宣伝しています。ところで、INPITで知財相談を担当する人材は、企業で永年、知的財産部に勤務した経験がある元会社員であって弁理士資格がないことが多々ありますが、知財総合支援窓口事業で弁理士資格がない人が発明相談などを担当するというのは如何なものでしょうか。


例えば、日本司法支援センターは、法テラスという名称で無料の法律相談を日本全国で展開しているのですが、法律相談の担当者は弁護士資格者に限定されており、無資格者が法律相談を担当するようなことはありません。

 

行政法


ところで、INPITの設立根拠は、独立行政法人工業所有権情報・研修館法(平成十一年法律第二百一号)になります。独立行政法人工業所有権情報・研修館の目的は、発明、実用新案、意匠及び商標に関する公報、審査及び審判に関する文献などを収集、整理及び提供し、工業所有権の保護及び利用の促進を図ることと定められています(同法3条)。


これに伴って、独立行政法人工業所有権情報・研修館法は、業務の範囲として、発明、実用新案、意匠及び商標に関する公報、見本及びひな形を収集し、保管し、及び陳列し、並びにこれらを閲覧させ、又は観覧させることが規定されています(同法11条1号)。繰り返しになりますが、この業務については弁理士として感謝することはあっても問題にするようなことは全くございません。


ところが、独立行政法人工業所有権情報・研修館法は、業務の範囲として、工業所有権に関する相談に関すること(同法11条5号)が明記されているのです。この規定が知財総合支援窓口事業の根拠となりますが、この規定はどうでしょうか。


ちなみに、刑法総則に法令行為は違法性阻却事由である旨が定められているのですが(刑法35条)、独立行政法人工業所有権情報・研修館法11条5号の規定があるので、知財総合支援窓口事業として弁理士資格がない人が発明相談などを担当しても弁理士法に定める非弁行為に当たらないと解されます。


やはり、知財総合支援窓口であっても弁理士が発明相談などを担当するのが、本来、あるべき姿ではないでしょうか。また、知財総合支援窓口事業に公費を支弁して発明相談など知財相談を実施することにより、弁理士業界の職域が侵食され、弁理士が発明相談を担当することにより得られるべき売上及び利益が減少いたします。

 

課題の解決


一方、現実に無料で知財相談をしたいという要望があり、知財総合支援窓口事業がその要望に応えています。そうすると、このような現実を前提として、この状況の打開策を検討いたしますと、工業所有権情報・研修館から知財総合支援窓口事業を切り離し、新たに設立する法人に知財総合支援窓口事業を移管することが所望されます。この新法人では、原則として、弁理士が知的財産に関する無料相談を担当することになりますが、工業所有権情報・研修館から新法人への移行期間に限っては、既存の職員が無料相談を引き続き担当できるという例外を設けます。


この新法人のモデルは、日本司法支援センターになります。20046月に総合法律支援法が制定され、20064月に日本司法支援センターが設立されています。そこで、総合法律支援法と近似する法律として、仮称、知的財産総合支援法を新たに制定するとともに、独立行政法人工業所有権情報・研修館法11条5号を削除することが所望されます。

 

7.結語


副会長の職責は会長を補佐することですので、全力で杉村純子会長を補佐する所存です。多種多様な公約も述べましたが、会長の方針と矛盾しない範囲で公約としているのに過ぎません。


日本弁理士会の更なる発展に微力ながら貢献する所存ですので、何卒、皆様のご支持を賜りますようお願い申し上げます。
 

しばらくライブドアブログを更新していなかったのですが、今日、2021年9月26日、日曜日にライブドアブログにアクセスすると、ブログ上部に表記していた役職が令和2年度のものであり、令和3年度に更新されていないことに気が付きました。

日本弁理士会で常議員という役職に就任したのですが、常議員であったのは令和元年度及び令和2年度の2年間であり、令和3年3月に任期が満了いたしました。これに伴って、今日、9月26日にブログ上部にある「常議員」の表記を訂正し、令和元年度(R1)、令和2年度(R2)である旨を追記いたしました。

 

また、日本弁理士会中央知的財産研究所運営委員は、平成29年度から令和2年度までの4年間、就任していました。令和3年3月で任期が満了したので、中央知的財産研究所という表記は削除いたしました。


日本知的財産仲裁センター(調停人・仲裁人・判定員候補者)、広報センター会誌編集部、知的財産支援センター、関東会相談室運営委員会、日本弁理士協同組合総代については、令和3年度も引き続き就任しています。そこで、これらの表記についてはそのままになっています。

また、10を超える学会、団体の会員になっていますが、上部に表記してあるのはその一部です。マイクロ波聴覚効果という学際領域を探求した結果、多くの学会の会員となっています。

法律系は下記の通り

日本工業所有権法学会
デザインと法学会
日本被害者学会

化学系は下記の通り

日本化学会

ちなみに、化学は博士号を取得した学術領域であり、2021年度は日本化学会代議員という役職を拝命しています。

電気、電子、情報関連は下記の通り

電子情報通信学会
情報処理学会
人工知能学会
アジア太平洋機械翻訳協会
日本認知科学会

生命科学は下記の通り

日本生理学会
日本神経科学学会
日本社会精神医学会
日本神経回路学会
日本比較生理生化学会

分野横断
日本版AAAS設立準備委員会
American Association for the Advancement of Science

久しぶりにブログを更新いたします。

明日、2021年9月27日、月曜日、午前中は諸般の事情により不在になります。

9月27日、月曜日、午後は事務所にいますが、午後1時から午後3時まで日本弁理士会のオンライン会議が予定されています。ご連絡は午後3時以降でお願いいたします。

今日、2月5日、金曜日に日本弁理士会令和2年度第3回常議員会がオンライン開催されたので、オンライン出席いたしました。この常議員会には、会長、副会長、執行理事、常議員及び外部常議員がオンライン出席しています。

今年度、外部常議員は、土肥一史一橋大学名誉教授、及び、田村善之東大法学部教授ですが、2人ともオンライン出席していました。

議案の全てが可決、承認されています。これらの議案の一部は臨時総会の議案になります。

日本弁理士会の機関は国の機関と似ています。即ち、国の機関は、三権分立のもと、立法機関、行政機関、司法機関に分かれています。

常議員会は立法機関、即ち、国会に対応し、日本弁理士会の規則を制定する権限があります。より正確には総会と常議員会が立法機関になります。

会長、副会長、執行理事からなる執行部は行政機関、即ち、内閣に対応します。企業ですと、取締役に対応します。

監事会は司法機関、即ち、裁判所に対応し、執行部の職務などをチェックしています。企業ですと、監査役に対応します。

昨日、2021125日、月曜日に日本弁理士会中央知的財産研究所にオンライン出席いたしました。

 

特許法に関する高度な講義を受けて、ある裁判例の存在を知った。この裁判例は大変に興味深いのだが、第三者に紹介してもよいのだろうか。著作権法としては、裁判所の判決は著作物として保護されないので、著作権法上の問題はないのだが… 

 

この講演者は、この裁判例を紹介したという点で貢献している。私がこの判決を第三者に紹介したり、この判決に関する原稿を執筆したときには、講演者の氏名を明記して、謝辞を述べればよいのかな。

著作権法13条抜粋

 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。

三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの

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