閉館は惜しい、「京急油壺マリンパーク」の存在感

三浦半島のレジャーの"定番"、53年の歴史に幕

かつては油壺を経て三崎港付近まで京急線の延伸計画があったが、用地取得が困難だったなどの理由から1970年7月に油壺(仮称)―三崎間の免許が取り下げに。1973年10月に三浦海岸―油壺間で着工したものの、三崎口駅まで“部分開業”したまま延伸は凍結され現在に至る。過去には「電車の行き先に幻の『三崎』の方向幕が入っている車両があった」(京急の広報担当者)という。

遠足や修学旅行で訪れた人は多い

三浦半島への集客に大きな期待を背負って、かつての海軍潜水学校、戦後の県立三崎水産高校の跡地に建設された京急油壺マリンパーク。魚を単に展示するだけでなく、習性をショー形式で紹介する手法は当時画期的だったという。1970年には年間88万人の来園を記録した。1981年10月には、いるか・あしかパフォーマンスの会場となる「屋内大海洋劇場ファンタジアム」がオープンした。

東京ディズニーランド(1983年)や横浜・八景島シーパラダイス(1993年)などの大型レジャー施設がオープンする前のことで、群馬・栃木といった北関東の「海なし県」の学校から修学旅行の訪問先に選ばれることも多かった。幼いころに連れてきてもらった人が、今度は自分の子供を連れて動物たちを見に来る、といった老舗ならではの楽しみ方もみられた。

最近では2018年に50周年を迎えて記念イベントを実施。京急電鉄が通勤用の1500形車両を使い、車内でカワウソやペンギンたちに触れ合える貸し切り列車を運行して話題になった。だが、レジャーの多様化などを背景に来館者の減少傾向は変わらず、2021年5月、ついに老朽化を理由としてマリンパークの閉館が発表された。

京急油壷マリンパーク
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  • 魚の国のエントランス
    (記者撮影)

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