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【追悼】さいとう・たかをさん「私の頭の中にだけ眠る『最終回のアイデア』」最後に語った“ゴルゴのプロ意識”

「文藝春秋」9月号「巻頭随筆」より

 日本の漫画界を牽引し、7月には『ゴルゴ13』が世界最長の漫画シリーズとしてギネス記録に登録された、さいとう・たかをさんが9月24日、膵臓がんのため84歳で亡くなりました。ギネス登録直後に行われたさいとうさん本人へのインタビュー記事を公開します。(初出:「文藝春秋」2021年9月号、「文藝春秋digital」8月27日公開。記事中の肩書・年齢等は掲載時のまま)

さいとう・たかをさん ©文藝春秋

「俺は俺の考えで動く」

 世の中に世界最長の漫画シリーズ記録があることは知っていましたが、この7月に『ゴルゴ13』201巻が発売されると、ギネスレコードに認定されて取材依頼が殺到。それで初めて、大した記録なのだなと実感しました。

 連載をはじめたのは1968年ですから、もう半世紀以上も経ちます。「ゴルゴ」はなぜ、こんなにも長く親しまれているのか、とよう聞かれます。「ゴルゴ」は約束をしたことは必ず守り、自分の仕事に対しては、全て自身が責任を負い、筋を通す生き方を貫いている。こういうタイプは、今の日本には非常に少ない。だからこそ、日本人は「ゴルゴ」に惹かれるのかもしれません。

「ゴルゴ」は「俺は俺の考えで動く」、と自分の価値観で行動し、周囲にも左右されない。ただし、つねに周りの意見には耳を傾けており、情報を手に入れることは決して怠らない。そのどちらか一方だけでは、プロとは言えません。