出井康博
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出井康博ジャーナリスト

いでい・やすひろ 1965年、岡山県生まれ。早大政経学部卒業。英字紙「THE NIKKEI WEEKLY」記者などを経て、フリー。著書に「移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線」(角川新書)、「ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)など。

<12>困窮ベトナム人を増やす違法賭博 報奨金付き手配書も

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 男らの再逮捕から約1カ月後、NHKは<日本で働くベトナム人技能実習生などをSNSで集め、違法な賭博が各地で行われている実態がある>(12月7日電子版)と、在日ベトナム人の賭博事情を報じた。<新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなったり解雇されたりした技能実習生が「簡単にもうけられる」などとして誘われるケースも多い>のだという。だが、タンさんの見方は違う。

「ベトナム人たちは、何もコロナで仕事がないから博打をしているわけではありません。単に博打好きが多いだけですよ」

 そして「これを見てください」と、在日ベトナム人が利用するSNSコミュニティーのページを開いてみせた。口にたばこをくわえ、ふてくされた表情のベトナム人男性の写真が載っている。ベトナム語の文章が書かれた用紙を両手で持ってのことだ。


 用紙は借用書で、日付に加えて、男性の名前と生年月日、パスポート番号などが記されている。金額は250万円で、「家族にお金が必要で借りました」とある。タンさんによれば、違法賭博でつくった借金なのだという。この男性は借金を踏み倒して姿を消した。そこで胴元が男性を捜し出そうと「10万円」の報奨金で情報を募っているのだ。

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