『へんたつ』とは、irodoriによるアニメーション作品。たつきのTwitterアカウントにて公開された「web版」と、2019年にCM枠として地上波放送された「TV版」の二種類がある。
概要 
主に「鬼」と「猫」という2人のキャラクターによる雑談を描いたアニメーション作品。
『へんたつ』(web版) 
2018年1月31日から7月31日にかけて、8作品が月末にたつきのTwitterアカウントに投稿された。
また、それらの動画を1本にまとめ、台詞やカットを追加したものが、8月7日にYouTubeに『へんたつweb版・全話フル(2018年)』として、8月8日にニコニコ動画に『へんたつ フル版』
として投稿された。
それより約1年が経過した2019年8月3日には「夏の息抜きアニメ」、9月13日には「晩夏の息抜きアニメ」
として、2本の新規動画をTwitterにて投稿している。
『へんたつ』(TV版) 
2019年12月28日には、翌年1月4日の23時56分より何らかの動きがあることをほのめかす動画を投稿していた。
- 2020年1月より放送のアニプレックス作品である『Fate/Grand Order絶対魔獣戦線バビロニア』と『マギアレコード 魔法少女まどか マギカ外伝』の合間にあるCM枠で、事前告知の類が一切ない状態で『へんたつ』(TV版)として12話がされた。*1
CM枠という概念について 
- 上記二作品の合間にあるCMということを受けWikipediaでは「アニプレックスのアニメのCM枠」とされているが、実際には所謂スポットCM
の時間であり、番組内のCM(タイムCM
)で流された訳ではない。
- ただし、音響制作と販売には実際にアニプレックスが関わっており、へんたつ劇中でも「七体倒せば枠が貰える」というセリフがある事から何らかの契約があった可能性はある。
- なお作中で倒せたのは一話の「A」と12話の「X」の二体のみである
- 新作制作開始と書かれた立方体に同じく書かれていた「???????」はよくみると「AaAaaaA」のように?のサイズが変えられているため新作のタイトルではないかと言われている。
ANIPLEX?へんたつの1クール版?知らない。- エンドロールに「音 アニプレックス」というテロップがあった為「アニプレックスが音響に協力している」と言われているが、一話のモンスターの声(「アアアア」というア音の連呼)が「アニプレックスの企業コール(アニプレックス作品の冒頭に流れる「アーニープーレックス」という音声)を加工したものであり、「音 アニプレックス」はキャストという意味である」という説がある。
- なお、件のテロップはキャスト表の一部である。
- エンドロールに「音 アニプレックス」というテロップがあった為「アニプレックスが音響に協力している」と言われているが、一話のモンスターの声(「アアアア」というア音の連呼)が「アニプレックスの企業コール(アニプレックス作品の冒頭に流れる「アーニープーレックス」という音声)を加工したものであり、「音 アニプレックス」はキャストという意味である」という説がある。
アニプレックスとの関係性 
たつきとアニプレックスの接点をさかのぼると『ケムリクサ』(テレビアニメ)とのコラボレーショングッズを企画した『邪神ちゃんドロップキック』に由来する。『邪神ちゃん」の制作総指揮である夏目公一郎氏はアニプレックスの代表取締役を務めた経歴を持っている。
また、福原慶匡のTwitterアカウントでも『邪神ちゃん』の宣伝を、自身が手掛けたアニメ以外で唯一行っており、さらにその後、『邪神ちゃん』のコラボレーションシャツをプロデュースして、正式に関わりを持つようになっている。夏目と福原の二人が、たつきとアニプレックスとののちの関係に繋がったとも考えられる。
CM枠の短編アニメーションであったこともあり、新聞の番組欄には記載がなく、アニメ雑誌などにも放送スケジュールや事前情報が掲載されないなど、完全なサプライズ放送となった。唯一、KADOKAWA系列の『ニュータイプ』誌上で放送開始後から放送スケジュールが掲載されたが、その中では12話が「最終話」と記載されており、のちに公開されたサプライズ放送「12.5話」には触れられていない。KFPアンチ内では「KADOKAWAを虚仮にするため、意図的に情報をリークした」ともっぱらの評判である。もしもそれが事実であった場合、たつき側の陰湿さと非常識が証明される訳だが、KFPアンチがその不都合な真実に触れることはない。なお、アニプレックスにとってKADOKAWAは「Fate」シリーズや「ソードアート・オンライン」シリーズなど多くのアニメで提携している「お得意様」でもある。
なお、その後ヤオヨロズは一言も発しないまま2020年3月に解散している。
内容 
「世界初のエッセイアニメ」という主張 
『へんたつ』にはたつきの実体験や回顧録の一面が反映されていることから、たつきファンの間では「世界初のエッセイアニメ」と見なされ、その根拠としては「たつき本人がそう言っている」があげられる。
(コミティアの話する深夜アニメって初めてなのでは。というか見ようによっては初のエッセイアニメかも) #へんたつ
午後11:59 · 2020年1月25日·Twitter Web App
しかし、『へんたつ』内のエピソードがどれだけ実際の出来事に基づいているのかは不明である。
これらの意見は、既に世間一般に広く知られているエッセイの映像化作品である、さくらももこ『ちびまる子ちゃん』や、西原理恵子『毎日かあさん』の存在を無視しているため、『へんたつ』は「世界初のエッセイアニメ」ではない。
「死んだ猫」の表現 
2018年7月31日にTwitterに投稿されたweb版8話 *3 で問題となった表現。フルバージョンの動画では、再生時間の9:22から確認できる。
この動画ではたつきが以前実家で飼育していた猫 *4 について触れた内容となっているが、劇中で猫に関するエピソードを話す際に「リテイク」などのアニメ業界における表現や「契約」「話が違う」などの表現が用いられ、動画の最後では「筆折ってもおかしくないレベルで、いろいろあった」とする近況報告が述べられた。
以上のことから、公開当時は多くの視聴者および界隈内外からも「たつきが降板騒動について語っている」と認識された。これ以降、発言中の「猫」は「サーバル」、すなわち「けものフレンズ」のことを暗に指しているとされ、KFPアンチから「死んだ猫」と揶揄されるようになった。
なお、このエピソードは後の『へんたつ』(TV版)では削除された上で放送されている。
- 以下、一部書き起こしの上、引用。
猫 (犬と)*5猫も飼ってたんですよね。
鬼 どっちも死んだけどなー。
猫 あの、猫の場合、途中で、スッ、となるじゃないですか。
鬼 あるよなー。「撫ぜてやー」*6みたいな感じの、あのモードで来て。
猫 うん。
鬼 「何や、撫ぜて欲しいんか?」ってやっとると、ガッ、って噛んでくる。
猫 そう、ガジガジガジ、足で、蹴ってくるやつね。
鬼 犬飼った後に、猫触ると、あの一貫性の無さに最初恐怖を覚える。
猫 (笑い)
鬼 なんでや。
猫 なぜー(笑)
鬼 そう、お前のオーダーに従ってこっちが動いたー、にもかかわらず「何故今俺はふしょく*7されようとしている」(笑)
猫 話、約束がー、違うー(笑)
鬼 そう、約束。そういう約束だったじゃないすかー、そういう契約で作業インしたじゃないですかー(笑)
猫 (笑い)
鬼 何でここでリテイクが出ますん。
猫 リテイク、リテイク(笑)
鬼 酷い(笑)
猫 酷い(笑)
鬼 ガッ、て噛まれるわ蹴られるわ、何やったら向こう行くわで、どういうことですのん。弊社が触りたがったみたいになってるやん。御社が触られたがったんですやん。
猫 (笑い)
鬼 その点、犬はいいですよ。
猫 犬。
鬼 最後まで一貫性を持って。
猫 そうですね。
鬼 「ああー、嬉しいですー」(笑)
猫 嬉しい(笑)
鬼 「大変光栄ですー」(笑)
猫 ひひひ(笑)
鬼 最後、「もう終わりですかー? 次回お待ちしております―」(笑)
猫 ひひひひ(笑)
鬼 ふふふふ(笑)
(暗転)
猫 どうですか、具合は。
鬼 おかげさまで、だいぶ調子戻ってきたなー。
猫 筆折っても、おかしくないレベルで、いろいろありましたからね。
鬼 ほんまやで。ほな、スタジオ戻ろか。
猫 はいー。
鬼 なんか、次また短いやつ作りたなってきたな。線路がこう、光ったり、段ボール落ちてきたりで。
猫 まず、ケムリクサからですよ(笑)
なお、たつきは削除した一連の表現について、Twitterでこう語っている。
(そういえばweb版猫話で稀に、何かの暗喩では?的なコメありましたがそこは100パー無いです、純粋に動物たのしいあるある話。へんたつはシンプルなアホアニメなのでお気軽に) #へんたつ
午後11:59 · 2020年2月8日·Twitter Web App
仮にたつきが「暗喩など一切ない、ただの飼っていた猫に関する思い出話」であるならば、わざわざ犬と比較して悪しざまな表現に終始する必要はないはずである。また「近づいてきたのに触ろうとすると嫌がる」猫の習性をアニメ業界用語を用いて茶化すことは一般的な比喩の範囲内であるにしても、そのあとの「リテイク」の表現は、実際の猫に対する何の比喩なのか不明である(同じようなことを繰り返してくる、といった意味なら通らなくもないが)。
また、上記の猫の話の直後に「筆折ってもおかしくないレベルで、いろいろあった」という近況報告を持ってくることも、何らかの意図があってのことと考えられる。「筆折っても」の表現について、日本国語大辞典では次のように説明している。
ふでをおる【筆を折る】 文筆活動をやめる。筆を絶つ。※星座(1922)〈有島武郎〉「筆を折って世と共に濁波を挙げて笑ひ且つ生きんとしたること」
アニメ監督であるたつきにとって「筆を折る」とは、すなわち「創作活動をやめる」ということにほかならない。この動画の公開当時は『ケムリクサ』(テレビアニメ)の制作期間中であり、完成した第1話を白紙にしてまるまる作り直していた時期であった。*8
クリエイターとしての「産みの苦しみ」は当然あるにしても、既に公開が決まっているアニメ作品の制作に行き詰っていることを「筆を折る」などとして表現することは、「休みの日まで好きでアニメを作っている」はずのたつきにとってはまずありえないことだろう。これまでの期間でたつきが『ケムリクサ』制作での困難以外に直面したであろう事柄を考えると、プライベートなこと*9を除けば、昨年の監督降板事件をおいて他にはないと考えるのが妥当である。
そもそも、「へんたつはシンプルなアホアニメ」ならば、リアルタイムの話ではなく面白くもない「筆折ってもおかしくない」話を削除するのは娯楽作品として当然だとしても、「純粋に動物たのしいあるある話」まで省いて放送する必要はないはずである。以上から「猫」と「筆折ってもおかしくない」の話は互いに関連付けられた上で制作されたという事実は間違いないであろう。これらの話が『へんたつ』(TV版)で流されなかった理由について、この放送がアニプレックスからの協力を受けて放送されている以上、過去の炎上を想起させるようなデリケートな話題は出せなかったのだろうと考えられる。
「ネズミに喰われたケムリ」 
2019年8月3日公開の「夏の息抜きアニメ」(TV版では第8話)中の表現。「ネズミに喰われたケムリ」「ネズミに仕事を急かされた」というセリフがある。その後、twitter内で「へんたつ8話でネズミに喰われたケムリの話」を5回(1回目
)に渡って繰り返していた。たつきアンチおよびKFP擁護派では「『ケムリクサ』(テレビアニメ)の制作における何かの恨み言を暗示したのではないか」と話題になった。
- 『ケムリクサ』関係でirodori代表であるたつきに「仕事を急か」していることから、「ネズミ」とは直接の雇用酒であるヤオヨロズ関係者、なかんづくプロデューサーである福原慶匡か、代表取締役を務める寺井禎浩ではないかと推測されている。