水俣病を世界に伝えたアメリカの写真家、ユージン・スミスを描いた映画『ＭＩＮＡＭＡＴＡ』が２３日から全国で公開されます。
これに先立ち先週、水俣市で先行上映会が開かれました。その模様と出演者などの
作品への思いをお伝えします。
【ユージンの元妻、アイリーン・美緒子・スミスさん】
「この映画は実話が土台となっているので映画を見て実際の（水俣病の）人たちのことをもっと知ってもらいたい」
９月１８日、水俣市で開かれた先行上映会。
患者や地元の有志などでつくる実行委員会が企画したもので午前と午後の２回にあわせて約１０００人が来場しました。
映画『ＭＩＮＡＭＡＴＡ』はアメリカの写真家、ユージン・スミスと元妻のアイリーンさんが出版した写真集を基にした作品。
２人が水俣に滞在し、患者の生活や原因企業チッソとの補償をめぐる闘争を撮影した様子が描かれています。
ハリウッド俳優のジョニー・デップさんが主人公のユージン役を、真田広之さんが
患者運動のリーダー、川本輝夫さんをモデルにした人物を熱演。
浅野忠信さんや國村　隼さんらも出演しています。
上映後、会場ではユージンの元妻、アイリーンさんが舞台あいさつを行いました。
【アイリーン・美緒子・スミスさん】
「当時の患者さんが苦しみながらも立ち上がって、救済の土台を作りました。その功績は本当に大きいと思います」
そのうえで「功績が世界中に発信され、公害で苦しむ人たちの力になれば」と話しました。
また、会場ではジョニー・デップさんのビデオメッセージも披露されました。
【ジョニー・デップさん】
「この作品に刺激を受けて感動してもらえればうれしいです。ありがとう」
【鑑賞した人の感想】
「非常に良かった。感動した。『自然を大切に』というメッセージが世界に発信されればいいなと」「小さい時から水俣病のことを学習してきていて、改めて映画で見るとこんな病気だったということを感じることができました」「水俣病患者の人たちの気持ちが伝わってきました」
【鑑賞した木村副知事】
「映画として本当に素晴らしかったのでぜひ多くの人にご覧にいただきたい。水俣病の闘いの意義などを分かっていただきたい」
この日、ボランティアで運営を手伝った西原村在住の中村　圭さんです。
【中村　圭さん】
「セリフを渡されて読んでみたら『熊本弁がうまいね』ということで急遽、出演が決まった」
海外で行われた映画のロケにエキストラとして参加した中村さん、患者側を支援する役に抜擢されジョニー・デップさんと共演しました。
【中村　圭さん】
「ユージン・スミスさんを含め水俣の方の命を懸けて伝えたかった思いなどを感じてもらえればいいなと思うのでぜひ見てもらいたい」
【故・川本輝夫氏の長男、　川本　愛一郎さん】
「大きな被害を受けた患者さんたちが勇気を振り絞って声を上げることで世界が変わっていく、そういう勇気が映画の大きなテーマになっている。困っている人が声を上げるときの後押しになれば」
川本さんの父親をモデルにした患者運動のリーダーを演じた真田広之さんも映画への思いを次のように話しています。
【真田広之氏インタビュー】
「（映画をきっかけに）実際に起きた出来事やフッテージ（映像）などを見る機会につながって学び直していただけるようなことになれば素晴らしいですし、未来に生かしていただけるとなによりもうれしい」
映画『ＭＩＮＡＭＡＴＡ』はあす２３日から全国公開、県内ではＴＯＨＯシネマズ
熊本サクラマチや光の森、熊本ピカデリーなど６つの映画館で上映されます。