水俣病問題を広く世界に 米映画「MINAMATA」、地元で先行上映

熊本日日新聞 | 2021年09月18日 21:02

映画「MINAMATA」の先行上映会で、本編終了後のジョニー・デップさんのメッセージを見る来場者=18日、水俣市

 水俣病を世界に伝えた写真家ユージン・スミス(1918-78年)を描いた米映画「MINAMATA」の先行上映会が18日、熊本県の水俣市文化会館であった。市民や胎児性患者ら約千人が鑑賞し、当時の患者の苦悩や補償を巡る闘争に思いをはせた。

 公式確認65年の節目に改めて歴史や教訓を知ってもらおうと、地元有志の実行委員会が主催した。映画は、ユージンが妻として共に行動したアイリーン・美緒子・スミスさん(71)=京都市=と75年に刊行した写真集が原案。ユージンが水俣に滞在した71~74年、患者と家族の生活や原因企業チッソとの補償交渉を撮影した様子が描かれている。

 ユージン役はハリウッド俳優のジョニー・デップさん。劇中、チッソの社長が大金と引き換えにネガを渡すようユージンに持ち掛ける場面や、ユージンらの仕事場が放火される場面など史実にない脚色も含まれるという。

 上映会に参加したアイリーンさんは「史実と違う部分はあるにしても、著名な役者が演じた映画を通して、水俣病の根底にある問題を広く世界に知ってもらうことの意義は大きい」と話した。

 全国公開は23日で、県内は熊本ピカデリー、TOHOシネマズ(桜町、はません、宇城、光の森)、ユナイテッド・シネマ熊本で上映される。(山本文子、堀江利雅)