リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec「フルディスクリートFMラジオ・キット」の設計を少しだけ進めました.今回はFM復調回路の部分を新しく設計しなおしました.定番の "1N60" に頼らなくても音が出たので安心です. ちょっと前に設計したオペアンプ型のスピーカ・アンプと組み合わせて使っています. ※音が出ますメディアを再生できません。再読み込み午前9:52 · 2021年7月22日·Twitter Web App31 件のリツイート164 件のいいね
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日返信先: @linear_tecさん今回作ったFM復調回路はおなじみ(?)の「レシオ検波回路」です. 中間周波数の10.5 MHz(部品定数の都合で10.7 MHzになりませんでした)を扱うので,念のためベタ基板に実装しました.奥のトランジスタはプリアンプ用なので復調回路とは関係ありません. やはり高周波アナログが一番楽しい...1112
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日回路図です. もともと使っていた "1N60" は「点接触型ゲルマニウム・ダイオード」なので,半導体デバイスとしては「ショットキ・バリア・ダイオード」に分類されます. 今回は「シリコンのショットキ・バリア・ダイオード」である"BAT43" (暫定)を使ってみました.後で何種類か試そうと思います.215
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日オーディオ・アンプのほうは復調回路 + プリアンプの出力に合わせて,結局200倍のゲインに決定しました.帰還量を減らして安定化させる意味合いもあります. このアンプは何のひねりも無い構成ですが,安心して使えるので気に入っています.ラジオのアンプとしては十分だと思います.19
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日「レシオ検波回路」の核心は「複共振回路」の動作にあります. 次のような状況設定のもとで変成器の1次側および2次側に対して回路方程式を立てると次のようになります.ただし相互インダクタンス "M" は "L1" と比べて十分に小さいものとします.また,"R" は2次側の寄生抵抗を明示したものです.1622
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日変成器の2次側が共振しているとき,2次側の誘導起電力 "j𝜔Mi_L1" と2次側の電流 "i2" は同相になります.また,キャパシタ "C2" の両端に現れる電圧 "V2" は "i2" よりも位相が𝜋/2だけ遅れた状態になります. この様子をベクトル図で整理するとこんな感じになります.126
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日印加される周波数が "𝜔 > 𝜔0" となった場合は2次側のインピーダンスはL性になるので,変成器の誘導起電力 "j𝜔Mi_L1" に対して電流 "i2" は位相が遅れます. 逆に "𝜔 < 𝜔0" となった場合は "i2" の位相が進みます. ベクトル図でまとめて表すとこのようになります.126
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日ここで,変成器の2次側からセンター・タップを引き出し,ここに1次側の信号を印加します.ただし,共振回路のQを劣化させないように注入用の "C3" は小さめに設計します. このとき,変成器の2次側の端子に現れる電圧は次のベクトルで表すことができます.128
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日レシオ検波の動作原理の本質は,このベクトル図に現れています.変成器の2次側端子の電圧(絶対値)は共振状態では等しくなりますが,共振周波数からずれると(FM変調による偏移が生じると)電圧がプラスあるいはマイナスに偏ります.これによってFM信号を復調することができます.125
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日あとはダイオード "D1" および "D2" を取り付けて「包絡線検波」のような形にすれば,図のA点およびB点にはほぼDC信号のみが残ります.これらの電圧の平均値が "Vout" として出力されます. ダイオードの方向や出力の取り出し方の違いによって何種類かの回路が考えられますが,本質はすべて同じです.126
リニア・テック 別府 伸耕@linear_tec·7月22日FM変調による周波数偏移が大きくなると非線形な挙動が現れるかもしれませんが,実際のFM放送の範囲であれば周波数偏移に対する電圧出力はほぼ「線形」であると見なせます.よって復調回路の動作はほぼリニアだと考えてしまうのが一般的です. このあたりは「微分」のセンスと同じです.127