日本でも厚労省が
医療用大麻の解禁を検討

 日本でも厚生労働省が医療用大麻の解禁を含む大麻取締法の改正を検討し始めたことは先述したが、そのきっかけとなったのは2019年4月に行われた参議院の国会質疑である。

 そこで、医師でもある秋野公造議員(公明党)が大麻由来のてんかん治療薬「エピディオレックス」の日本での使用の可能性について質問したのに対し、厚労省の担当者が「研究者である医師が厚労大臣の許可を受けて輸入した薬を治験の対象とされる薬物として患者に用いることは可能だ」との見解を示したのである。

 イギリスの製薬会社「GWファーマシューティカルズ」によって開発されたエピディオレックスは韓国や米国など世界30カ国以上で承認されている。

 日本の大麻取締法は大麻由来の医薬品の使用や輸入、治験を禁止しているため、この治験を行うには法改正が必要となる。このようななかで、せっかく法改正を行うのであれば、医療用大麻の全面的な解禁を検討してほしいという声が患者や医療関係者などから出ている。これまでのところ、厚労省はエピディオレックス以外の医薬品を認めるかどうかについてはっきりさせていない。

 先述した韓国ではサティベックスやマリノールなども認めているが、日本はどうするのか。また、医療用大麻を合法化した47カ国の多くが認めている乾燥大麻の使用を認めるのかどうかも焦点となるだろう。

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 医療用大麻はさまざまな病気の治療に効果的とされているが、患者(あるいは病気)によっては乾燥大麻でないと効果を得られないというケースも少なくない。だから、多くの国で医薬品とともに乾燥大麻も認めているのである。

 大麻取締法改正のもう一つの柱は、すでに禁止されている所持や栽培に加え、使用そのものを規制する「使用罪」の創設である。

 これについては、「大麻解禁が進む世界の流れに逆行する」「使用罪を加えることで乱用を抑制できるという法的根拠が乏しい」「大麻に対する社会的スティグマを助長する」などの反対意見が多く出ている。

 また、仮に使用罪が創設されると、精神活性作用のあるTHC入りの医薬品や乾燥大麻の使用を認めるのが難しくなり、医療用大麻の合法化が限定的になってしまう可能性が高くなる。

 厚労省には人々の病気の治療や健康増進に役立つような政策を進めてほしいが、まずは、来年の通常国会に提出される予定の大麻取締法の改正案がどういう中身になるのか、注視していく必要がある。

(ジャーナリスト 矢部 武)