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2020年12月15日(火)

デジタル庁どうなる? “日本のインターネットの父”に聞く

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なぜ行政のデジタル化は遅れたのか?デジタル庁はそれを変えられるのか?

2021年9月の発足を目指すデジタル庁。創設のきっかけは、新型コロナウイルスへの対応でした。給付金の申請などを巡り自治体の窓口が混乱するなど、デジタル化の遅れによる弊害が浮き彫りになりました。デジタル庁のあり方などを議論する政府のワーキンググループの座長で、「日本のインターネットの父」とも言われている、慶應義塾大学の村井純教授にねらいを聞きました。

省庁・自治体の縦割りシステムを調整 クラウド化進める

【報告:経済部 楠谷遼記者】
なぜ行政のデジタル化は遅れてしまったのか。村井教授は「ひと言で言うと『縦割り』。行政は縦割りの仕組みの中で動いていて、デジタル社会の機能は横に流通することでその力を発揮する。このズレが大きな課題になった」と断じました。

従来、省庁や自治体はそれぞれが個別にシステムを構築するケースがほとんどでした。その結果、異なる仕様のシステムが乱立。データ形式や業務手順などがバラバラなため連携がうまくいかず、自治体によっては手続きが遅れるところが出てきました。

そこでデジタル庁が調整役となってシステムの仕様を標準化し、クラウド化を進めることで、国と自治体間でスムーズに連携できるようにし、システムの維持管理費用も大幅に抑えようというのです。

縦割り打破へ 仕組みづくり重要

デジタル庁が機能を発揮するためには、縦割りを打破し、組織自体をどう直していくべきなのでしょうか。村井教授は「いちばん重要なのは(組織の)デザイン。どういう仕組みをつくっておけば、今まで情報システムが連結しなかった部分がちゃんと解決するのか」だと指摘。「その協力の体制をつくっていくためには(デジタル庁が)かなり強い司令塔、あるいは権限を持つ必要がある」との考えを示しました。

プロパー人材の確保がカギに

また村井教授は、デジタル庁が実行力を持つためには、国や自治体にすでにいる人材の専門性を伸ばし、長く活躍できる仕組みが必要だと言います。現状は「デジタル関係の人は各省庁(の中)にバラバラにいる。この人たちは(異動などで)ローテーションでまわっていくタイプの人たち。したがって(デジタルの)専門家は一定期間以上根づかない」と課題を指摘。デジタル庁が発足し「デジタル庁の“プロパー”、つまりデジタル庁にいる人たちが片道切符で来て、そのままずっとそこにいることになれば、ものすごい大きなインパクト」があると強調しました。

そのうえで、デジタル庁が行おうとしている改革が、社会全体へ波及していくことが重要だと言います。「デジタルテクノロジーっていうのは、縦を横につないで情報を流通させて、われわれがいろいろなサービスを受けやすくするためのもの」とし、「コストをかけずに新しいものをどんどんつくり出せる、社会のアーキテクチャー(構造)をつくるのが今の使命だと思う」と話しました。

私も岸さんも非デジタル人材ですが、企業の中においても、デジタル人材がどんどん育つ一方、決定権者が非デジタル人材だと時間がかかってしまう。そういった構造を変えていく必要があるというのは、確かにそうだなあと思います。

問題はデジタル庁だけのものではなく、民間企業も含めて仕組みづくりが重要ですね。記憶に新しいですが、給付金の支給が遅れるようなことは避けなければなりません。そのためにも、どれだけスピーディーに改革を進められるかが問われています。

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