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明治のシンガー
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大正二年のジャイアンっぽい台詞
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明治の大泥棒による逃げきるための一三箇条
明治時代、邯鄲返しの山辺音槌(やまべおとつち)という大泥棒が存在しました。こういう顔の人です。
当時はかなりの有名人で、小説が書かれたり、寺田寅彦が言及したりしています。優秀な人で、泥棒にならず社会のために働いていれば、どんなに活躍できたかと、その運命を惜しむ人もわりといたみたいです。
その山辺音槌が後輩の泥棒のために作った『逃げきるための一三箇条』というのがあったので紹介します。
原文は文語と口語の真ん中くらいな文体で読みにくかったり、現代の感覚では理解できない部分があったり、さらには音槌さんの行動を知らなければ意味が分からなかったりするところがあるので、私が適当に現代人向けに翻訳しました。
- 警察官や刑事に声をかけられて、驚いたり逃げたりするようでは、とうてい大泥棒にはなれない
- 弟子入りしたり弟子を取ったりするのは命取り、悪運を縮めてしまう
- 死ぬ程に惚れた女であろうとも、本名と秘密は絶対に語ってはならない
- 基本は単独行動、仕方なしに仲間と仕事する場合には、報酬を自分よりも多く与える
- 探偵や警察官を警戒するだけでは不十分、無関係の一般市民も危ないので気を付ける
- 非常手段としての強盗や強奪は仕方ないが、いずれ捕まるから何度もするものではない
- 空き巣や家屋を破壊しての盗みは、労力のわりに利益が少ない
- 素性を隠すために、旅先の方言に注意を払い、話せるようにしておく
- 自分が訪れた土地の話は絶対にしない
- 鷹揚な態度で行動し怪しまれないこと
- 女に対し涙する。これに限らず女に惚れられる術を学んでおく
- 真っ先に逃げ道を確保しておく
- 急いては事をし損じる
一応、以下に原文も掲載しておきます。
- 巡査にもあれ刑事にもあれ、途中で突然に声を掛けられて悸驚としたり、逸足立ちて逃げ出すようでは到底大賊となるべき資格なきこと。
- 親分を取ったり子分を拵えたりするのは自分の身で自分の悪運を縮めるのと同様なること。
- 喩ひ自分が生命ほど惚れた女たりとも、本名と秘密は一切語るまじきこと。
- 萬止むを得ざる事情の為に、共謀者の一人二人はあるとするも分配は自分以上に與えること。
- 悪事の發覚は探偵、巡査、其他の役人向きに対する時の注意よりも却って無意識なる素人の方に気を置くべきこと。
- 強盗傷人等は一時の非常手段としては大事為し得べきも決して永遠の悪運を増長するに足らざること。
- 空巣狙い、家尻乃至土蔵破等は、苦心と労力の割合に収入の少なきこと。
- 自分の素性を隠す為には行先々の国訛に注意して自在に変化すること。
- 我が経過し来る土地風俗の談話は一切禁物のこと。
- 極めて鷹揚なること。
- 女に対しては涙もろきこと。
- 真っ先に逃げ道を定め置くこと。
- 急いてはことを仕損じること。
泥棒にならない人も学ぶべき点があるような気がしないでもないような感じですね。ちなみに山辺音槌さんは何度も脱獄し逃亡しまくっていますが、最終的には逮捕され刑務所でその一生を終えました。犯罪は止めましょう。
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