「返金申請撤回を指示」 ジャパンライフ公判で検察側
磁気健康器具の預託商法を展開した「ジャパンライフ」を巡り、詐欺罪に問われた元会長、山口隆祥被告(79)の初公判が22日、東京地裁(浅香竜太裁判長)であった。検察側は「資金繰りが悪化し、顧客から返金申請が相次いだが、撤回させるよう営業担当らに指示していた」と述べた。
検察側は冒頭陳述で、山口被告は自社の経理状況を毎日把握し、全国各地のマネジャーに勧誘について指示を出すなど、業務全般を取り仕切っていたと主張。同社から毎月350万円の役員報酬を得ていたと指摘した。
商品を購入した顧客が「オーナー」となり、別の顧客に貸し出すことで収入が得られる仕組みをうたったが、オーナーの獲得を優先して資金繰りが逼迫したという。元本保証などが難しいと認識して以降も、「営業担当に奨励金を出し、顧客の返金申請の撤回を推し進めようとした」と言及した。
山口被告は紺のスーツ姿。イヤホン型の補聴器を使い、裁判長の発言を繰り返し聞き直す場面もあった。約5分に及んだ罪状認否では起訴内容を認め、「心からおわび申し上げる」と声を詰まらせる一方、「爆発的に販売個数が増えていた」などと事業の説明に多くの時間を割いた。「創業当初から詐欺商法を目的としていなかった」とも強調した。
起訴状によると、山口被告は2017年、同社の資金繰りが逼迫していることを認識しながら、元本を保証し、いつでも解約できるなどと偽り、顧客から計約1億6500万円をだまし取ったとされる。
警視庁などの合同捜査本部の調べでは、03年から事実上破綻した17年までの間、高齢者ら延べ約1万人から計約2100億円を集めていたという。