こうして父親の借金から解放されたAさん。しかし、それですべてが解決したわけではありませんでした。父親が住んでいた町の町内会の代表から突然、「ゴミ屋敷を片付けてくれ」と、連絡が来たのです。
相続放棄をしたにもかかわらず、どうしてAさんは実家を片付けなければならないのでしょうか。
実は相続放棄をしたからといって、空き屋を含む相続財産の「管理責任」まで免れられるわけではありません。しかも今回のケースのように相続人が一人の場合、相続放棄によって空き屋を相続する必要がなくなっても、民法上、相続財産の管理責任が残ってしまうのです。
「わたしも薄々、あのまま放置するのはよくないと思っていました。でも、わざわざ京都まで帰るのも面倒だし、放っておいたのです。最初に手紙が来た時は無視しようかと思ったのですが、電話までかかってきて仕方なく対応することにしました」(Aさん)
Aさんは知人に紹介された弁護士に相談しました。弁護士によると、相続財産が全体としてプラス(財産が負債より多い)になりそうであれば、速やかに家庭裁判所に「相続財産管理人」を選任して、その人に相続財産の管理を引き継ぐという対応もあるというのがわかりました。
ところが、先にも言ったように父には方々に借金があるようだし、家の中もゴミだらけでめぼしい財産は何もなかったので、これは選択できません。そもそも、この相続財産管理人の選任には、ゴミ処分にかかる実費を上回る予納金を収めないといけない見通しでもあり、とても現実的な選択肢にはなりそうもないのです。
ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/