ジャパンライフ元会長、起訴内容認める 東京地裁初公判
磁気健康器具の預託商法を展開した「ジャパンライフ」の巨額詐欺事件で、顧客から計約1億6500万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた元会長、山口隆祥被告(79)の初公判が22日、東京地裁(浅香竜太裁判長)であった。山口被告は罪状認否で起訴内容について「全て認める」と述べた。
山口被告は「創立当初から詐欺商法を目的としていなかった」と主張。債務超過に陥っても「顧客に説明せずに事業を続けたことが事件の原因だ」と振り返り、「心からおわび申し上げる」と語った。
検察側は冒頭陳述で「資金繰りが悪化した後、顧客から返金申請が相次いだが、山口被告は撤回させるよう営業担当らに指示した」と指摘した。
同社は2003年ごろ、磁石を埋めたネックレスなどの販売預託商法を始めた。商法は顧客が購入した商品を同社に預けて別の顧客に貸し出すことで「レンタル料」を支払うなどとする内容だった。警視庁などの合同捜査本部によると、事実上破綻した17年までの間、44都道府県の高齢者ら延べ約1万人から計約2100億円を集めたとされる。
事件は、販売預託商法に対する消費者対策が議論されるきっかけの一つとなった。今年6月には、同商法を原則禁じる改正預託法が成立。規制対象の契約については民事上で無効とする制度も創設された。
起訴状によると、山口被告は17年、同社の資金繰りが逼迫していることを認識しながら、元本を保証しいつでも解約できるなどと偽り、顧客から計約1億6500万円をだまし取ったとされる。
事件を巡っては、娘で元社長の山口ひろみ被告(49)など元幹部ら12人も出資法違反罪で起訴された。ひろみ被告は7月の初公判で「(預託事業について)具体的な内容を知らなかった」と無罪を主張した。一部の元幹部らは有罪判決が確定している。
▼ジャパンライフ 1975年に群馬県伊勢崎市で設立。磁気治療器や寝具を販売し、購入商品をレンタルすれば収入が得られるとする預託商法を、高齢者を主な対象に展開した。2010年には債務超過に陥ったが自転車操業を続け、17年12月に事実上倒産。消費者庁は特定商取引法違反などで、同月までの1年間に計4回の一部業務停止命令を出した。〔共同〕