スマニュー大規模調達で考えた、J-Startup の未来
今週の話題(9月11日〜9月17日):スマートニュース、シリーズFで2.3億米ドルを調達——時価総額は、単独ニュースアプリで最高の20億米ドルに
2018年、時の安倍政権が中心となって「J-Startup」というプログラムが立ち上がりました。経産省、JETRO(日本貿易振興機構)、NEDO(新エネルギー・産業技術綜合開発機構)が中心となり、日本からユニコーンを生み出すこと、グローバルに認知されるスタートアップを生み出すことを目標に、そのロールモデルとなる100社を選ぶというものでした。プログラム開始から3年以上が経過し、採択されたスタートアップは130社を超えました。
どこからどこまでをスタートアップと定義するかについては、編集部でも時々議論を呼ぶテーマですが、J-Startup には上場会社も少なからず含まれていたので、J-Startup のスタートアップの定義について、経産省の担当者に尋ねたことがあります。日本企業は上場しても時価総額で言えば、アメリカのシリーズ B ラウンドのステージのスタートアップに及んでいないケースもあり、上場していてもまだまだスタートアップだ、というのが答でした。非上場の方が資金にアクセスしやすい、とする解釈さえあります。
そんな中、非上場ながらも日本の国内外で2桁〜3桁億円の調達事案が出てきたことは、非常に頼もしい状況だと思います。NASDAQ に上場するケースも近い将来出てくるでしょう。主戦場は国内であるにもかかわらず、より大きな資金調達の機会を求めて、中国のスタートアップ各社が NYSE や NASDAQ に上場してきました。米中両政府が規制を強めたことで中国企業が鳴りを潜めつつある分、アメリカでも日本のスタートアップへの注目は今後高まるでしょう。スマニューに続く勇者の挑戦に期待です。
Image credit: SmartNews
いかに情報を発信するか
- のちに Yahoo の CEO を務めた Marissa Mayer 氏(現在はコンタクトアプリの「Sunshine」経営)が Google の VP of User Experience として日本を訪れたときに、「日本にはスタートアップコミュニティは無いのか」と発言したという話があります。英語圏の人々にとって、英語で情報が入手できないことは存在が無に等しいということを痛感し、弱小ながらも BRIDGE に英語版を備えるキッカケになりました。スタートアップが世界から資金を集めるには、情報も世界へ発信する必要があります。
投資家を失望させない努力とガバナンス
- アメリカに上場した中国企業が次々と撤退を余儀なくされたのは、米中両政府の介入もさることながら、Luckin Coffee(瑞幸咖啡)をはじめとする不正会計問題がキッカケでした。もはや事件を起こした企業にとどまらず、アメリカで上場する全ての中国企業に投資家から疑惑の目が向けられることになったのは、読者の皆さんもご存知の通りです。世界から資金調達する日本のスタートアップが、常に投資家からの期待を裏切らなければ、後進のスタートアップもその恩恵を受けられることになります。
グローバルなプレーヤーを目指す
- 世界から資金を調達するなら、プロダクトもグローバルなものであると好都合です。むしろ、これは発想が逆で、グローバルなプレーヤーになるために、世界から資金を調達するのだ、と考えた方が自然かもしれません。例えば、Y Combinator のデモデイに出てくるスタートアップを見ていても、昨今は、インドはもとより、韓国、台湾、中国、東南アジア出身の起業家の躍進が目立っています。こうした世界的に注目を集める機会に、日本の駆け出し起業家が名を連ねるようになるのも、そう遠い日のことではないと思います。
PayPalのPaidy買収で、日本にもBNPLの波到来か
今週の話題(9月4日〜9月10日):PayPal、Paidyを27億米ドルで買収——BNPL(後払い)ソリューションの世界ポートフォリオを強化
PayPal が、日本のフィンテック・ユニコーン Paidy(ペイディ)を買収しました。今年3月に実施したシリーズ D ラウンドの時点での時価総額は13.2億米ドルでしたが、今回、PayPal は27億米ドルで買収しましたので、半年と経たない間に時価総額は倍増したことになります。それでも、世界的フィンテック大手が BNPL サービスの戦いに名乗りを上げる中で、世界第3位の e コマース規模を持つ日本市場の参入において、非常にお得なお買い物だったのではないかと思います。
Square が先月、オーストラリアの BNPL スタートアップ Afterpay を290億米ドルで買収したのと比べると10分の1にも満たない買収額です。オーストラリアは人口で日本の5分の1、e コマース市場は世界第10位の規模で日本の6分の1です。Afterpay の時価総額がなぜこんなに高いかと言うと、むしろ、オーストラリアのみならず、アメリカやイギリスに進出していることが大きいでしょう。Paidy の創業者はアメリカ人ですが、日本という閉じた市場に特化していることが、この時価総額の違いに出たわけです。
MZ 世代の購買意欲をいかに高められるか
- 世界的な BNPL ブームとは裏腹に、日本の BNPL プロバイダ、特に BNPL 専業のスタートアップはあまり多く見かけません。おそらく、クレジットカードや割賦会社などがそういった需要を満たせてきたのでしょうが、BNPL がターゲットとしているのは、クレジットヒストリー(信用履歴)が充実していないミレニアルや Z世代といった若年層。アメリカでは BNPL の Affirm が e コマースプラットフォームの Shopify と連携したことで、Shopify を使うオンライン店舗の売上は平均50%となっています。
e コマースプラットフォームと連携がカギ
- Shopify は Affirm 株式の1割弱を保有していて、今年初めに Affirm が IPO した時に最も恩恵に預かったのは Shopify だと言われています。中小店舗が Shopify、BASE、STORES といったインスタントな e コマースプラットフォームを使って、モールに入居するのではなく自前オンライン店舗を作るのがブームとなっている今、こういったプラットフォームも BNPL との連携が必須になってくるでしょう。Shopify とSTORES はすでに Paidy との連携に対応しているようでした。
従来金融サービス会社と一線を画す与信の仕組み
- これまで後払いやそれに近いサービスを提供してきた、クレジット会社やノンバンクの多くは、信用情報のデータベースに接続し、そこに独自条件を掛け合わせることで、どの人物にどれくらいまでなら金をかせるか、代金を肩代わりできるか、という観点で審査を行ってきました。対照的に、BNPL スタートアップ各社は、AI を使って独自に与信アルゴリズムを開発しているところが多いです。費用対効果を加味して、データベース中心またはアルゴリズム中心で行くか。用途に応じて、互いの守備範囲が違ってくるのでしょう。
〝ノーコード化〟を目指す情シス業務
今週の話題(8月30日〜9月3日):ラクスル、コーポレートITをクラウド化・アウトソースできる新事業を発表——その名も「ジョーシス」
奇しくも先週から今週にかけて、〝情シス〟を冠したサービスが2つお目見えしました。一つはラクスルの「ジョーシス」、もう一つはマネーフォワード「マネーフォワード ITクラウド」です。
サービス提供される細かい内容や目指す世界は少し違いますが、解決しようとするペインは非常に似ています。企業の情報システム部門、コーポレート IT 部門の作業軽減と効率化、それにアウトソーシングの促進です。
オフィスワークへのギグワーカー進出の促進
- こんなところでもギグワーカーが働いているんだ、と驚かされるほど、進出する職種は多岐にわたっています。SaaS アカウントの即日発行・停止が可能になれば、企業はオフィスワークでギグワーカーの力を借りる運用がやりやすくなります。
情シスそのものの外出しも可能になる
- 記事中にも書かれていますが、情シスは人の異動が多く、外部の協力会社から人を派遣してもらっているケースも少なくありません。コロナ禍で仕事のやり方が変わる中、会計や法務を外部の会計事務所・法律事務所に業務を依頼するように、情シスも社内に人を置かない体制が増えるかもしれません。
エンジニアに求められるスキルも変わる
- クラウドや DevOps サービスの普及でインフラエンジニアに求められるスキルセットは変化しました。SaaS 管理 SaaS の登場で、情シス業務のノーコード化(非エンジニアでも管理・運用できる環境)が進むのではないでしょうか。エンジニアに求められるスキルはさらに変化していくでしょう。
Tokyo Meetup:INTRO
BRIDGEでは公開収録型イベントTokyo Meetupを不定期で開催しています。ベンチャーキャピタルや起業家の方にお越しいただき、ざつだんしながら読者のみなさんと繋がる時間を提供いたします。メンバーの方にはいち早く開催情報をお届けします。サインアップはこちらから(無料)
前回の Resilire につづいて今回のざつだんゲストは記憶定着支援SaaS「Monoxer(モノグサ)」を開発・提供するモノグサ CFO の細川慧介さんです。塾や予備校を通じた B2B2C モデルでモバイルアプリを展開しています。コロナ禍でリモートでの学習を提供する塾や予備校も増える中、リモートでは把握しづらい生徒の進捗に応じた記憶定着に活用されています。モノグサが革新しようとするオンライン教育学習市場の現状について、WiL の久保田雅也さんと一緒にお届けします。
参加する方々のイメージ
- 教育や学習産業に携わっている
- 副業などでモノグサとお仕事をしたい
- 細川さんに会いたい
注目の数字とトレンド
今月特に注目を集めた数字やキーワードをお伝えします。
オフィス構築における納品ミスや発注ミスは15%程度
- オフィスリニューアル SaaS 開発の Swish の資金調達の記事で出てきた数字。オフィス家具協会、国土交通省のデータをもとに Swish が算出。他業種ならば利益が吹っ飛んでもいいようなコストです。
- 逆説的には、それだけのムダが発生しても、この業種で事業が回っているということは、そのコストが予め上乗せされた形でサービスが売られていることが、業界で慣習化されている現状が推測できます。
- インターネットによる情報の非対称性解消で、さまざまなサービスが薄利多売に追い込まれる一方、ミスを無くすとう究極的な効率向上が、新たな利益を生み出すモデルは面白いと思います。
タイミーのギグワーカー、登録スタッフは全国200万人
- 労働政策研究・研修機構によりますと、日本の「ギグワーカー」を含むフリーランスの労働者は、全国でおよそ170万人。タイミーに登録するギグワーカーは200万人とのことですから、おそらく、本業がある人、自営業の人、学生などがスキマ時間を使ってギグワークしている事例は多いのでしょう。
- アメリカと日本では社会構造や失業率が違うので一概に比べられませんが、アメリカのギグワーカーは労働人口の3分の1とされ、これを参考とするなら、日本のギグワーカーもこれまでの10倍程度まで伸びしろがあるかもです。
- 筆者が学生だった頃は、まだ週に2回ほど発行されるアルバイト情報誌に頼っていました。働きたい会社や店に電話をし、履歴書を書き、面接をに出向くという手順を取っていた時代と比べれば、日銭を稼ぐのに費やす労力は大幅に減りました。
- エントリのハードルが下がった分、問題が起きやすくなる部分も正直なところあるでしょう。雇用主向けに、低コストでギグワーカーをリファレンスチェックができたり、Sesame Credit(芝麻信用)のような第三者評価が得られたりするサービスは、相性が良いかもしれません。
オンライン会議プラットフォームのさらなる隆盛
- Zoom 関連の話題も多くありました。日本からは、Zoom を使った商談を自動書き起こし & CRM 連携する SaaS「amptalk」が正式ローンチを発表しました。
- Zoom は Zoom 連携アプリを開発するスタートアップを増やすべく作った「App Fund」の出資先第1弾を発表。会議だけにとどまらない用途の広狩りを期待できます。
- アメリカではオンライン会議だけでなく、会議に付随するさまざまな必要機能を包括的に提供する「Vowel」がシリーズ A 調達を発表しました。
5日間、1.8億米ドル、7.5ETH
- ソーシャルメディア「Vine」の共同創業者 Dom Hofmann 氏がテキストと NFT(非代替トークン)を使ったファンタジーゲーム「Loot」を立ち上げ、わずか5日間で時価総額1億8,000万米ドルを超える時価総額を記録しました。
- 高額な価格が持続不可能な NFT バブルの最新の兆候だとと懸念を示す人たちもいます。あるプロジェクトの NFT を入手できる最低価格である「フロア価格」は、7.5ETH(約320万円相当)にまで上昇しました。
情シスの平均離職率は21%、〝ひとり情シス〟は38%
- デルが2019年の中堅企業868社を対象に実施した調査では、情報システム部門の離職率は21%。全業種の平均離職率8.5%(厚生労働省「令和2年上半期雇用動向調査結果の概況」)の約2.5倍に相当します。
- 中堅企業の約38%が情報システム担当者1人以下の体制になっています。また外部人材の採用率も高く37%となっています。スタートアップはこれを商機と捉え、社会変革を促せるのではないでしょうか。
BCP と BCM
- Resilire の取材をしたところで、BCM(Business Continuity Management、事業継続マネジメント)という言葉が出てきました。これまで、BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)という言葉はよく耳にしてきましたが、何が違うのでしょう?
- BCM は BCP を活用し、より企業内にどう浸透させるかを考えるマネジメント全般を指します。BCP を定めている企業でも、実際に災害が発生した際にアクションに結びつかない事例が多数見受けられ、BCM がより重視されるようになりました。
今月の調達ニュース
今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。
Image credit: Timee
スマートニュース、シリーズFで2.3億米ドルを調達——時価総額は、単独ニュースアプリで最高の20億米ドルに(9月16日)
- スマートニュースは、シリーズ F ラウンドで2億3,000万米ドルを調達したとを発表した。これにより、同社のこれまでの累計調達額は4億米ドルを超え、時価総額は単独のニュースアプリとしては最高額となる20億ドルに達し、「ダブル・ユニコーン」の地位を確保した。このラウンドに参加したのは、アメリカの Princeville Capital、Woodline Partners、日本の JIC Venture Growth Investments、Green Co-Invest Investment、任天堂創業家のファミリーオフィス「Yamauchi No.10 Family Office」などに加え、既存投資家から ACA Investments、SMBC Venture Capital など。
オフィスリニューアルSaaS開発のSwish、6,100万円をシード調達——mint、福島良典氏、河合聡一郎氏らエンジェルから(9月15日)
- Swish は、シードラウンドで6,100万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、mint のほか、エンジェル投資家として福島良典氏(LayerX CEO)、河合聡一郎氏(ReBoost CEO)、柄沢聡太郎氏(スターフェスティバル CTO)、成田修造氏(クラウドワークス取締役副社長兼 CITO)、竹林史貴氏(LOB CEO)、安倉知弘氏(フリークアウト執行役員米国事業担当)。
バーチャル空間「oVice」運営、シリーズAで18億円を調達【日経報道】(9月15日)
- oVice は、シリーズ A ラウンドで18億円を調達した模様だ。このラウンドは、Eight Roads Ventures Japan がリードインベスターを務め、One Capital、MIRAISE、ジャフコ グループ(東証:8595)、DG インキュベーション、DG ベンチャーズが参加した。
スキマバイト「タイミー」運営、シリーズDで香港のファンド3社などから40億円を調達——コロナ禍、物流需要へのシフトが功を奏す(9月15日)
- タイミーは、シリーズ D ラウンドで40億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、いずれも香港を拠点とするファンドである Keyrock Capital Management、Kadensa Capital、Seiga Asset Management と、シニフィアン(THE FUND)、伊藤忠商事(東証:8001)、KDDI Open Innovation Fund。また、同社は今回のラウンドとあわせ、みずほ銀行を中心とした大手金融機関から13億円のデットファイナンスを行ったことを明らかにした。今回のラウンドを受けて、タイミーの累積調達額は約90億円(デットファイナンスを含む)に達した。
カスタマサクセスプラットフォーム「commmune」、シリーズBで19.3億円を調達——市場奪取に向け、マーケティング強化(9月15日)
- コミューンは、シリーズ B ラウンドで19.3億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、DNX Ventures、UB Ventures(UBV)、Z Venture Capital、ジャフコ グループ(東証:8595)。本ラウンドを受けて、コミューンの累計調達金額は24.3億円に達した。
ウェルネスD2CのTENTIAL、5億円を調達——年内にもメーカー参加型のモールをローンチへ(9月15日)
- TENTIAL は、直近のラウンドで5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、アカツキ(東証:3932)、MTG Ventures、セゾン・ベンチャーズ、マネーフォワードベンチャーパートナーズ(HIRAC FUND)、豊島、南都銀行(東証:8367)がベンチャーラボインベストメントと共同運用する CVC、名前非開示の個人投資家。今回ラウンドを受けて、創業来の累計調達額が11億円に達した。
郵便物受取のクラウド化「atena(アテナ)」運営、プレシリーズAで1億円を調達——千葉道場、Coralから(9月13日)
- N-Technologies(N)は、プレシリーズ A ラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは千葉道場ファンドがリードインベスターを務め、Coral Capital が参加した。今回ラウンドを受けて、N の累積調達額は約1億3,000万円に達した。
米国で糖尿病予防の完全代替食D2C展開Teatis、日本の投資家から70万米ドルをシード調達——管理栄養士PFを月内ローンチへ(9月10日)
- Teatis は10日、シードラウンドで70万米ドルを調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ジェネシア・ベンチャーズ、石塚亮氏(メルカリ共同設立者)、野口卓也氏(バルクオム創業者)ほか、名前非開示の7人のエンジェル投資家。
データを元に都市開発最適化、scheme vergeがプレシリーズAで2.2億円調達(9月10日)
- scheme verge はプレシリーズ A ラウンドで約2.2億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、環境エネルギー投資、山口キャピタル、サムライインキュベート。
人工タンパク質繊維開発のSpiber、カーライルやクールジャパン機構などから344億円を調達——世界的アパレルブランド向けに量産体制確立へ(9月9日)
- Spiber は、カーライル、Fidelity International、Baillie Gifford、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)などからの資金調達で244億円、「事業価値証券化(value securitization)」により100億円を調達したと発表した。
東大発EV充放電システム開発のYanekara、5,500万円をシード調達——東大IPC、DEEPCOREらから
- Yanekara は、シードラウンドで5,500万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、東大 IPC(東京大学協創プラットフォーム開発)、DEEPCORE、名前非開示の個人投資家複数。
家具・家電サブスクのクラス、GCPやモノフルから21億円を調達——2年後のIPOが目標、取扱ジャンルは生活インフラに拡大へ(9月8日)
- クラスは、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)と世界的物流施設大手 GLP 傘下モノフルのグループ会社から約21億円を調達したと発表した。ラウンドステージは明らかにされていないが、実質的にシリーズ B ラウンド相当と見られる。このラウンドを受けて、同社の創業以来の累積調達額は約28億円に達した。
オールインワン接客チャット「チャネルトーク」運営、シリーズCで28億円を調達——世界で6万社が導入、日本国内売上は前年同期比7倍(9月6日)
- Channel Corporation は、シリーズ C ラウンドで28億円を調達したと発表した。このラウンドは韓国の Atinum Investment と KB Investment がリードし、シンガポール政府系投資会社 Temasek Holdings 傘下の Pavilion Capital、そして、韓国の IMM Investment、Bon Angels、Guardian Fund、LAGUNA INVESTMENT が参加した。
Zoom商談の書き起こしとCRM連携で営業効率化「amptalk」、正式ローンチと1億円のシード調達を明らかに(9月6日)
- amptalk は、6月にシードラウンドで約1億円を調達していたことを明らかにした。このラウンドに参加したのはジェネシア・ベンチャーズとモバイル・インターネットキャピタル(MIC)。
サプライチェーンリスク管理プラットフォーム「Resilire」運営、1.5億円を資金調達(9月1日)
- Archetype Ventures、DNX Ventures、DEEPCORE、STRIVE、みずほキャピタル、グロービスファンドから1.5億円を調達したと発表した。
パートナーAIアプリ「PATONA」運営、プレシリーズAで1.3億円を調達——UTEC、EV、Skyland Vから(9月1日)
- Capex(キャペックス)は1日、プレシリーズ A ラウンドで1億3,000万円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、東京大学エッジキャピタル(UTEC)、East Ventures、Skyland Ventures。
ニチレイ、AI献立自動作成アプリ「me:new(ミーニュー)」運営を買収——両社のアプリを統合へ(8月31日)
- ニチレイはミーニューを買収したと発表した。ニチレイはミーニューの全株式を取得する。買収金額は不明。この買収を受けて、ニチレイの献立自動生成アプリ「conomeal kitchen(このみる きっちん)」と、ミーニューのアプリが統合される。
太陽光パネル保守自動化のヒラソル・エナジー、シリーズAで5億円超を調達——東大IPCなどから(8月31日)
- シリーズ A ラウンドで5億円超を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)、関西電力グループの K4 Ventures、東急建設、三井不動産の CVC である 31VENTURES、山梨中央銀行と山梨中銀経営コンサルティングが共同運用する山梨中銀 SDGs ファンド、ANRI。
病院のデータドリブン経営を支援するメダップ、シリーズAで6億円を調達——DNX Venturesらから(8月31日)
- シリーズ A ラウンドで6億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは DNX Ventures がリードインベスターを務め、BEENEXT の ALL STAR SAAS FUNDとモバイル・インターネットキャピタル(MIC)が参加した。
キャリアSNS「YOUTRUST」、シリーズBで4.5億円調達——「人材流動化は経済発展に寄与」と南場氏らが後押し(8月30日)
- シリーズ B ラウンドで4.5億円を調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターはデライト・ベンチャーズで、STRIVE、W ventures、ANRI が参加した。
アジアのニュース
今月のアジアのニュースをお届けします。
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ソフトバンク、中国の配膳ロボット開発Keenon(擎朗)のシリーズDにリード出資(9月17日)
- 中国の配膳ロボットメーカーである Keenon Robotics(擎朗)は、今回復帰した投資家であるソフトバンクがリードしたシリーズ D ラウンドで2億米ドルの資金調達を受けたことを発表した。Keenon によると、これはサービスロボット分野では過去最大の資金調達だという。
Alibaba(阿里巴巴)が中秋節を前にNFT月餅を販売など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(9月16日)
- 中国のテック大手 Alibaba(阿里巴巴)は、中秋節を前に、自社 e コマースプラットフォーム「Taobao(淘宝)」で、1個1人民元の NFT 月餅50個を販売したと、中国メディアが9月10日に報じた。同社のブロックチェーンプラットフォーム「AntChain(螞蟻鏈)」によって作られたものだ。
モバイルで洗濯が頼める「LaundryGo」が47億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(9月14日)
- 非対面モバイルランドリーサービス「LaundryGo(런드리고)」を運営する Lifegoeson(의식주컴퍼니=衣食住カンパニー)が500億ウォン(約47億円)を調達。韓国産業銀行が300億ウォン(約28億円)を投入。アメリカ洗濯スマートファクトリ EPC 企業 A + Machinery を買収、世界初の顧客別自動出庫システムの開発に成功。
インドの中古車売買ユニコーン「Cars24」、シリーズFで2億5,860万米ドルを調達(9月14日)
- インドのグルグラム(旧称:グルガオン)の拠点を置く中古車マーケットプレイス「Cars24」が、シリーズ F ラウンドで2億5,860万米ドルを調達した。DST Asia、Alpha Wave Incubation、Tencent(騰訊)がそれぞれ7,500万米ドル、Moore Strategic Partners が2,270万米ドル、Exor Seeds が830万米ドル、HPS Investment Partners の CEO Scott Kapnick 氏が220万米ドル、Sen Investment Partners が47.2万米ドルを出資した。
インドの電子機器&ライフスタイルD2C「boAt」、2022年のIPOに向け時価総額14億米ドルを目指す(9月13日)
- インドの電子機器&ライフスタイル D2C ブランド「boAt」は、来年3月から6月に予定される IPO に先立ち、時価総額約14億米ドルを目指しているとのことだ。同社は今年1月、ニューヨークに本社を置くプライベートエクイティ会社 Warburg Pincus の子会社からシリーズ B ラウンドで1億米ドルを調達した。今年4月時点での時価総額は、約2億8,000万米ドルに達したとされる。
ドイツ・中国スタートアップのAgile Robots、シリーズCでソフトバンクらから2.2億米ドルを調達しユニコーンに(9月10日)
- ドイツと中国のスタートアップ Agile Robots(思灵机器人)は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2を中心とした投資家から2億2,000万ドルを調達し、生産と販売の拡大に投資すると発表した。このラウンドを受けて、ミュンヘンと北京に2つの本社を持つ Agile Robots の時価総額は10億米ドル以上となり、いわゆるユニコーンの地位を獲得した。
Geely(吉利汽車)の配車サービス部門Caocao(曹操出行)、シリーズBで646億円を調達(9月10日)
- Caocao Mobility(曹操出行)は、国有企業グループが率いる投資家から38億人民元(約646億円)を調達したと発表した。:今回の資金調達により、Caocao の累積調達金額は約50億人民元(約850億円)となった。主な投資家には、蘇州市襄城区政府が保有する投資会社である蘇州市相城金融控股集団のほか、蘇州高鉄新城集団のほか、3つの国有企業が含まれる。
ウォン・カーウァイやハイヤー・ブラザーズがNFT作品を発表など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(9月8日)
- 香港の映画監督(王家衛)氏は、初の NFT 作品を発表した。この NFT は、10月9日に開催されるサザビーズ香港の秋のオークションで販売される。タイトルは「In the Mood for Love: A Moment」で、この NFT 作品は1分半の長さで、ウォン監督の代表作である「In the Mood for Love(花様年華)」の最初の撮影日の未公開映像が含まれている。
「GRAN SAGA」開発元が95億円調達、ゲーム界最短でユニコーンに——韓国スタートアップシーン週間振り返り(9月4日)
- 「GRAN SAGA」を開発したゲーム会社 Npixel(엔픽셀)が、1,000億ウォン(約95億円)を調達、ゲーム業界で最も短時間でユニコーンとなった。今回の調達でグローバル市場攻略を強化する予定で、年内に GRAN SAGA を日本市場に投入する計画。次回作「CHRONO ODYSSEY」も開発中。
シンガポールのテックメディア創設者、Binance(弊安)の1億米ドルDeFiファンドの責任者に就任(9月3日)
- Gwendolyn Regina 氏は、Binance(弊安)に投資ディレクターとして入社し、1億米ドル規模の新しいファンド「Binance Smart Chain(BMC)」の責任者に就任した。テックメディアのスタートアップ SSGEntrepreneurs を立ち上げ、後に Tech in Asia に売却した。また、Mashable のアジア進出の陣頭指揮を執った。
The9(第九城市)がNFTに参入、デジタル人民元で初のB2B取引が実施など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(9月2日)
- 上海の暗号マイニング企業 The9(第九城市)が NFT(非代替トークン)市場に参入する。中国の国有エネルギー企業 China Energy(国家能源集団)は20日、国内初の B2B デジタル人民元取引を完了した。
ハイブランド品価格比較サイト「Catch Fashion」が約20億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(8月31日)
- オンライン名品専門プラットフォーム「Catch Fashion」を運営する Smile Ventures が210億ウォン(約19.8億円)を調達。オーダーメード型サービス、カテゴリ拡張を実施の予定。