
分数の割り算をするときは、割る数をひっくり返してかける(逆数をかける)ことで答えが求まります。

しかし、「分数で割るとはどういうことなのか?」が直感的に理解しにくいせいで、ここでつまずいてしまう小学生も少なくありません。
実際、お子さんに「分数の割り算をするときにひっくり返すのはなんで?」と質問されて、答えにつまる親御さんも多いのではないでしょうか?
そこでこのページでは、分数の割り算で逆数をかける理由を説明する3つの教え方を紹介していきます。
「自分にあった考え方はどれかな?」と考えながら読んでみてください。
①分数の割り算を「分数の分数」に変形する教え方
2÷5=2/5といったように、割り算は分数に変形できるという特徴があります。
これを分数同士の割り算に応用すると、下のような「分数の分数」に変形することができます。

割り算を分数に変形したら、次はこの「分数の分数」をシンプルな形に直すことを考えましょう。
分数をシンプルにするには、分母と分子にそれぞれ『分母の逆数』をかけることで分母を1にするのがコツです。通分や約分と似た作業ですね。
今回は分母が 2/5 なので、2/5 の逆数である 5/2 を分母と分子それぞれにかけていきます。

こう考えてみると、分数同士の割り算が「逆数のかけ算」になることを実感できます。
②シンプルな分数の割り算で、「分ける」で考える教え方
分数の割り算が分かりにくい原因は、「2/3で割る」ことを想像しにくい点にあります。
「5で割る」ならピンと来ても、「2/3で割る」はちょっとピンと来にくいですよね。
そこで、分数の割り算を「1人あたり〇リットルずつに分ける」で考えてみましょう。
たとえば、6÷2=?は
「6リットルの水を1人あたり2リットルずつに分けると、何人に分けられる?」を表す数式でもあります。

これが、6÷2=3です。
今度はこれを、8/3÷2/3=?に当てはめてみましょう。
「8/3リットルの水を1人あたり2/3リットルずつに分けると、何人に分けられる?」

これを表す数式が、8/3÷2/3=4となります。
このように「1人あたり2/3リットルずつに分ける」ことで、「水のℓ数の3/2倍の人数」に分けられるようになるんです。

こう考えると、「分数で割るとはどういうことか?」がイメージしやすくなりますね。
③「コップ1杯あたり」で考える教え方
②の考え方は、答えが整数になるときしか使えません。
答えが分数になる式でも使えるのが、「コップ1杯あたり」という考え方です。
たとえば、6÷2=?は次のように考える事ができます。
「6個のりんごで、コップ2杯分のりんごジュースがつくれる。
このとき、りんごジュースコップ1杯あたり何個のりんごが必要か?」

答えは6÷2=3個ですね。
このように、割り算は「コップ1杯当たり何個の果物がいるのか?」を表す数式と考える事ができます。
今度はこれを、1/3÷2/5=?に当てはめて考えてみましょう。
1/3個のオレンジで、コップ2/5杯分のオレンジジュースがつくれる。
このとき、オレンジジュースコップ1杯あたり何個のオレンジが必要か?

これが、1/3÷2/5=?です。
2/5杯分のジュースを作るのに1/3個のオレンジを使うのですから、1杯分のジュースを作るには1/3個の「5/2」倍のオレンジが必要なはず。
これは、逆数のかけ算をしているのと同じことです。
そのため、「1/3÷2/5=1/3×5/2」となります。
① 2÷5=2/5といったように、割り算は分数に変形できる
⇒ 分数の割り算を「分数の分数」に変形してから、分母が1になるように変形すると、逆数のかけ算になる
② 分数で割るをイメージしたいときは「1人あたり〇ℓずつに分ける」でイメージする
⇒ 8/3÷2/3は「8/3ℓの水を1人あたり2/3ℓずつに分けると、何人に分けられるか?」で考えれば逆数をかける理由がイメージしやすい
③ 割り算は「コップ1杯当たり何個の果物が必要なのか?」を表す数式と考えられる
⇒ コップ1杯当たり何個の果物が必要か考えると、実質的に逆数のかけ算をしているのと同じ
この記事を通じて、「分数の割り算が分かった!」と思っていただけたら嬉しいです。