フレキシブル性に優れた
国産木材による組立和室「くみたて2020」

北海道大学大学院工学研究院 小澤丈夫教授らの研究グループは、海野建設および内田洋行との共同研究により、国産木材を活用した組立式和室「くみたて2020」を開発した。

「くみたて2020」は、高度な技術がなくても、誰でもどこでも1台あたり約15分で設置することができる、フレキシブル性に優れた置き型の2畳サイズの和室である。

構造体は基本フレームに畳と軒を組み合わせてシンプルに構成され、自由なレイアウトで建具パネルをはめ込むだけで完成させることができる。

建具パネルは、障子戸、板戸、床の間、付書院、違棚、躙口、縁側など、ユーザーの好みや目的に応じた多様な建具パネルを用意。

床部には木造日本建築に用いられる軸組工法の技術、建具パネルには伝統的な建具職人の技術を使い、柱・梁の接合部や建具・軒パネルには金物を採用するなど、木材と金物の最適な組み合わせで構成されている。

さらに、本体フレームどうしを連結させることで、,直列の連結や雁行配置、坪庭を設けるなど、広がりをもった多彩な配置と新たな空間作りができるなど、利用シーンに応じた可変性を備えているのが特徴だ。

また、各パーツは人手で持ち上げられる重量とし、引掛式金物による部材の組合せと六角レンチのみの使用で作ることができる。今回は小型のバンや軽トラックでの運搬を想定し、建具パネルの基本モジュールを880mm x 880mmに小型化・軽量化した。

使用シーンは、イベントや休憩、飲食,文化・芸術活動、学び、インフォメーションや各種PRでの活用などを想定。日本の伝統建築が誇る建具職人の高度な技術を継承し、和の空間の伝統と心地よさを広めることを目指している。End

ARで伝統的な職人技を復活させる
建築プロジェクト「2021: A Steam Odyssey」

英ロンドンを拠点とするデザインスタジオ SoomeenHahm Designが手がけた「2021: A Steam Odyssey」は、ARを活用することにより、伝統的な職人技によるものづくりを復活させることを目指したプロジェクトである。

100%自動化されたロボット駆動による製造プロセスと、人間の手作業が求められる高度な職人技をつなぐために、精密かつ形状の自由度が高いデジタルモデリングを使いながら、手を使って素材にアプローチするスキルを拡張させることがねらいだ。

2021年7~8月に行われた展示で披露した「2021: A Steam Odyssey」は、蒸気を使って曲げた硬材でできた構造物で、素朴なハンドツールを使用し、さらには精確なホログラフィックガイドも活用した。

▲クレジット:2021: A Steam Odyssey

最先端のヘッドマウントデバイスによるホログラフのサポートを受けながら、従来の職人技術を使うことで、非常に多様なパーツの製造と組み立てが可能となり、たんにデジタル設計をした構造物とは違った、新たな構造物が実現することになる。

プロジェクトを率いたデザイナーでロボット工学研究者のSoomeen Hahmは、「ARアシストによる製作は、オートメーションやロボット工学の代わりになるものではなく、自動化生産についての認識を深めることを目指すものだと理解することが重要です」と語る。

▲クレジット:2021: A Steam Odyssey

続けて、「私たちは、人間と機械、データのあいだで生じるインタラクションや、コンピューテーショナル・デザインと製造プロセスを通じたこれら相互の関係性を探求する関心があります。『2021: A Steam Odyssey』はこうしたアイデアに基づいています」とコメントしている。End

建築とアートと自然が融合するアートヴィラ
「ONEBIENT 神通峡」が富山市にオープン

富山県富山市のスモールラグジュアリーホテル「リバーリトリート雅樂倶」に隣接・連携する、3棟4室のアートヴィラ「ONEBIENT 神通峡」が2022年10月にオープンする。

同施設は、自然を取り込み、自然に取り込まれる建築とテクノロジーが、環境との新たな一体感をつくる「没⼊型リトリート」。その土地特有の自然現象を用いて、そこでしか体験できない「新しい環境」といえる場を作り出すという。

自然エネルギーを建築の内部に取り込み、たえず室内環境の快適性を維持する宿泊施設で、太陽光発電や薪ボイラーを活用した、電力供給に頼らない完全オフグリッドを目指しており、施設運営の自動化を実現する独自の統合制御システムを導入するそうだ。

▲雲庭 -kumoniwa-

さらに、存在を意識できないほど周囲の環境に溶け込んだカームテクノロジーによる無人サービスを開発し、まったく新しい没入型の宿泊体験を提供するとしている。

▲宿森 -yadomori-

▲川吟 -kawautai-

設計は建築家の浜田晶則とアーティストの穴井佑樹が共同で担当し、建築とアートと自然が融合するイマーシブな空間を日本各地で展開するそうで、今後は滋賀県大津市での開業を予定している。End

▲Trésonnier

▲和彩膳所 樂味

▲hamadaya LABO

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