米国は南シナ海の環礁を埋め立てて軍事基地化を進める中国に対して、米海軍の艦艇を差し向ける「航行の自由作戦」を展開している。中国軍から自国艦艇を守り、中国海軍のSSBNを追尾する必要性から、常に南シナ海の海中に攻撃原潜を潜ませている。
豪州が自国の原潜を運用するようになれば、役割を分け合うことになり米国の負担は軽減される。この点も原潜技術の供与の背景にあるのだろう。
豪州と中国との関係は、昨年4月、豪州が新型コロナウイルスの発生源を巡って中国での国際調査を求めたことから悪化した。対抗措置として中国は、豪州産大麦に制裁関税をかけたのを皮切りに石炭などの輸入を制限して事実上の制裁を科した。
すると豪州は昨年11月インド洋であった中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に水を指す狙いの日米印3カ国の共同訓練「マラバール」に初めて参加し、中国と対抗する姿勢を鮮明にした。
海上自衛隊は護衛艦2隻から3隻による「インド太平洋方面派遣訓練部隊」を毎年編成し、2カ月前後わたって南シナ海とインド洋に送り込んでいる。空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群をインド太平洋へ派遣中の英国は、駆逐艦2隻の常時派遣を表明、域内国や域外国による中国包囲網が築かれつつある。
豪州の原潜保有により、もっとも影響を受けるのは、海洋における行動の自由を制約される中国であることは間違いない。
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