維持費を含めると2080年までに1450億豪ドル(約11兆6000億円)の負担が必要になると見積もられた。この金額は、国防費の3倍以上にもなる。
さらに建造開始が遅れ、このままではコリンズ級がすべて退役し、潜水艦が1隻もない状況になるという問題が浮上。フランスが受注した要因のひとつである現地生産による地元雇用も進んでいない。結局、三重苦に見舞われ、今年1月には豪州メディアが「政府がフランスとの契約キャンセルを検討している」と報道した。
今回、豪州が米国の技術供与による原潜建造を決めたことでフランスとの契約は破棄される。
ロイター通信によると、ルドリアン仏外相はラジオ番組に出演し、「これは一方的で、予測不能なひどい決定だ。トランプ前米大統領のやり方を思わせる。信義に反するもので非常に腹立たしい」と語ったという。
価格を急上昇させたうえ、受注時の条件をあやふやにしておきながら、何を今更という感がなくもないが、フランスにとって今世紀最大のもうけ話が消えたのだから怒るのも無理はない。
豪州は新造が予定されたアタック級潜水艦の戦闘システムや魚雷などの武器類について米国製とすることを決めていた。受注を狙っていたのは世界最大の米軍需産業ロッキード・マーチンや米大手のレイセオンだ。
米政府は潜水艦に搭載する最新鋭の戦闘システムがフランスの潜水艦に搭載されることに懸念を抱いていたとされ、今回の原潜技術の供与につながった可能性がある。潜水艦の本体ごと米国が受注すれば、秘密漏洩の不安は消えるからだ。
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