すみっコ仕事人インタビュー 第1回 サンエックス株式会社

第1回


サンエックス株式会社

すみっコぐらし好きのみなさん、将来の夢はありますか?

なってみたい仕事を見つけた子、何をしようか決めきれていない学生、今の仕事で良いのか迷っている大人。
色々な人がいると思います。

すみっコぐらしにひもづく仕事だけでも、ゲームや映画や本を作ったり、コラボした鉄道やバスを走らせたり……。
クレジットカードやファストフード店にも、すみっコやみにっコが登場しますが、よくよく考えてみると、登場させるまでに誰かが働いているはずです。

ということで、すみっコぐらしに関わる人に、仕事について語ってもらう「すみっコ仕事人」を始めます。
キラキラした話だけでなく、すみっこでひっそり頑張る話もあるはずです。

1回目は、すみっコぐらしといえばの「サンエックス」から。仕事への情熱に加えて、10周年や、その先まで見据えた思いを語ってもらいます。
原作者・よこみぞゆりさんが、今どのように仕事に関わっているかの話も出てきました。
(すみっコぐらし学園認定記者・朝日新聞社 影山遼記者)
影山遼 自己紹介

すみっコ仕事人インタビュー 第1回 サンエックス株式会社
あげっコたちを抱える(左から)笹沢さん、大竹さん、富田さん

――話を聞いたのは3人です。事前の情報をもとに、どんな人かを簡単に紹介します。


デザイナーの笹沢さん:すみっコのデザイナーチームのまとめ役。
自分でもデザインを作りつつ、周りにも助言。デザインの仕上げ時、チェックする役割も。映画作りも参加中。



プランナーの大竹さん:プランナーの中で一番長くすみっコに関わり、世界観を作ったり、デザインに合った商品の企画をしたりしている。
昔の情報は大竹さんに聞けばOK。



事業推進室の富田さん:新しい部署で様々なことにチャレンジ中。
今はすみっコぐらし学園をメインで担当していて「てんてこまい」だそう。10周年企画でも忙しい。



――富田さんの部署の名前が少しとっつきにくいですが、たれぱんだやリラックマなどを担当してきたプランナーが、これまでの経験を生かして新たな仕事を作り出している、と言いかえれば、一気に親しみがわくのではないでしょうか。
可能であれば、仕事内容について詳しく知りたいところです。ということで、まずは普段の働き方について教えてもらいましょう。



デザイナーの笹沢さん(以下、笹沢):私はすみっコチームの全体を把握してまとめる役とデザインをしています。


プランナーの大竹さん(以下、大竹):私のいる商品企画部は、基本的には物作りをしている部署です。
あとは、コラボレーションなどのいただいた仕事に対して、こうしたら「すみっコらしさ」を出せると考えて、提案することもあります。
分かりやすく言うと、アイドルのマネージャーに近いです。アイドルをどうやって売り出していこうか、という感覚に似ています。


事業推進室の富田さん(以下、富田):2020年7月にできたばかりの新しい部署で働いています。
仕事も新しいことばかり。物作りそのものではなく、物作りを応援していく仕事です。
部長含めて6人という少人数で、日々周りに助けてもらいながらやっています。


――どうしても、サンエックスの仕事というと、デザイナーをイメージする人が多そうですが、なぜ他の仕事も必要なのでしょうか。

富田:デザイナー以外は、どちらかというと引き出し役です。
その子の良さを引き出そうとすると、デザイナー1人だけで考えるのに限界が出てくる場合があります。

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――続いては、サンエックス社員の「好きこそ物の上手なれ」が分かる話です。

富田:社員みんながコンテンツの情報を持っているので、すぐ話が入ってきます。
世間の流行が分かるので、私はアニメを見ます。
例えば、かわいいのが流行しているのは癒やしになるから?と思い巡らせることができますよね。
それに合わせて色みを優しくするなど、プロモーション時の参考にすることもあります。


大竹:好きで情報を集めている人が多いです。

笹沢:デザイン室は、それぞれ得意分野の違う人間の集まり。個性豊かです。
何かについて詳しく知りたい時、「あのジャンルなら、あの人が得意だから相談しよう」と、情報を共有してデザインに生かしています。


富田:アイドルが好きな人も、キャンプが好きな人も、コーヒーが好きな人もそれぞれです。
デザインを頼む時にも特徴が出ますよね。「淡い色ならあの人だ」とか。

――すみっコでは、テーマに合わせたデザインが定期的に出てきます。いつごろから動き出して、世の中にテーマを送り出すのでしょうか。

大竹:1年くらい前から、どういうテーマが良いのかチーム内で案を出し始めます。

富田:チームのリーダーがいて、全体の目標を決めています。
年に何回か、このあたりに山を持ってきてテーマを出してくと決めて、実行に移していきます。


大竹:ちなみに、テーマを出した段階ではデザインは決まっていません。
テーマの担当が決まってから、具体的な案を出して、デザインを考えます。こういうテーマなら、こんなイメージかなと。
この段階には、原作者のよこみぞゆりさんも関わってきます。
原案から最終のチェックまで、よこみぞさんとチームで協力して進行します。3カ月ほどかけてデザインを練り、すみっコの新しい世界を作っていきます。


富田:世界を作る、妄想をしている時が楽しいです。

笹沢:デザインとしては、そこが一番大変なんですけれどね笑

大竹:プランナーの仕事だと、かわいさだけでなく、売ることも考えています。
大人向けなのか、子ども向けなのか。テーマにあったグッズを考える時、店頭もかなり見て、売れ筋の情報を追いかけています。
根底にあるのは「すみっコファンが、どんなものを求めているのか?使いたいのか?」という思いです。

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――原作のよこみぞさんはどのように制作に関わっていますか。

笹沢:よこみぞさんの世界観をチームで共有して、チームのデザイナーの意見も大事にしながら全員で話し合い、よこみぞさんの考えと絡めて、デザインを練っていきます。

大竹:デザインがこれで良いのか心配になった時、他の人からの「かわいい」の一言で安心してもらうこともあります。
人とのコミュニケーションって大事ですよね。


富田:すみっコチームができた当時、私はリラックマチームで、外側からすみっコチームを見ていました。
そしたら、すごく楽しそうにやっているんですよ。いいなあって。作り手が楽しいと思うと、周りに伝わっていって、伸びるきっかけになるんだと思いました。

――時節柄、テレワークが進み、雑談の機会が減っている気もします。サンエックスでは、どのような態勢で仕事に臨んでいるんでしょうか。

笹沢:出勤は3日に1回ですね。たしかに雑談の機会は減りました。

富田:物作りの会社なので、雑談が減っちゃったことは寂しいです。

大竹:自社内だけでなく、他の会社の人と話すことで、膨らんでいくことはあります。

笹沢:以前、よこみぞさんとの話の中で「恐竜が好き」と盛り上がり、「すみっコと恐竜の展示会がコラボできたら素敵だね!」と話していて、企画案を少し作って提出していたんです。
それから数年後、国立科学博物館で開かれた「恐竜博 2019」とのコラボが実現して、よこみぞさんと飛んで喜びました。ワクワクしている人と一緒に仕事をするのは、本当に楽しいことです。


富田:2019年は、恐竜博も京急(電鉄とのコラボ)も映画もあって、すごい年だったね。

――「やりたいことを口に出す」ことの大切さが分かるエピソードですね。
それでは最後に、今後、すみっコファンとはどんな風に交流を深めていきたいか教えてください。

大竹:10周年に向けて動き出していて、真っ最中です。
応援してくれるファンの方への感謝を込めたテーマにしたいと思っています。状況が落ち着けば、イベントをやりたいですね。
映画でも、また色々な上映会をしたい。ファンの方との交流をもっとやりたいです。


富田:ファンの方たちの喜んでくれている姿を見ると、こちらもやって良かったなとなります。
今はツイッターなどのSNSで感想を見られるのがうれしいですが、もっともっと知りたいです。
20周年や30周年を願ってくれる人がいると思うので、求められ続けるキャラクターであるために、10周年からどう育てていこうかも考えていきます。
これからも、ファンの方との信頼関係を作っていきたいです。
すみっコは、商品だけれど商品じゃない不思議な存在です。キャラクターは生きているので、世界観を大切に守っていきます。
何であろうと、みんなに寄り添うすみっコという、一番大事な部分は変わりません!


笹沢:よこみぞさんとサンエックスとで、これからもすみっコたちの世界を作っていきます。
私たちも、すみっコたちが大好きで大切に作っているので、温かく見守ってほしいです。


――すみっコを育てている人の、仕事愛が伝わったかと思います。
サンエックスには伝えていませんが、一つのテーマができるまでを実際に取材して記事にすることも、ひそかに目標にしています。
次回から登場する仕事人には、推しキャラクターを聞いていこうと思います、好きになる理由も人それぞれで面白そうで、楽しみにしています。

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