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掃除の極意
私の両親は物凄く綺麗好きな人たちで、家の隅々まで掃除するのはもちろんのこと、家具の配置まで徹底的に拘っていました。
リモコンはここ、消毒液はここ、ティッシュはここ、クッションはここ……、といったように、すべての物の位置が決められているのです。決められている場所と違うところに家具を置いてしまうと、すぐに注意されます。注意といっても、「次からはここに置いてね」ぐらいの軽いものがほとんどでしたが。
ここまでくると、整理整頓というよりかは、お片付けという名を借りた、ただの趣味ではないか、と子供の頃の私は思いました。
つまり、生きていくのに必要な掃除は整理整頓の範疇に入りますが、それ以上のことは自己満足でしょう?という理屈です。
どんな趣味を楽しむのも、その人の勝手ではあるけれど、他人に趣味を押し付けないでほしい、と当時の私はぷんぷんしていましたね。
いま思い返すと、掃除をするのが面倒なので、それを強制されることに腹が立っていただけな気がしますが。
現在、私は一人暮らしをしており、両親にグチグチ言われることはありませんが、部屋が散らかり始めると、言いようのない危機感が湧いてきて、体が勝手に掃除を開始します。
おそらく、心の奥に、清掃をしないことに対する恐怖が刻まれているのでしょうね。一種の洗脳と言っていいと思います。
そんな私が、掃除において特に重要かなと思うのは、「できるだけ掃除をせずに済むようにする」という考え方です。
昔から、私が掃除するときに最も邪魔になったものは、掃除めんどい、という自らの感情でした。
掃除しないとなぁ、とは思うのですが、掃除めんどいなぁ、という気持ちに負けてしまうんですよね。
ですので、この怠惰をどうにかして抑え込む必要があります。
方法としては、必要のない物を買わない、床に物を置かない、使った物は仕舞う、といったことを習慣にするのが良いでしょう。なんだか当たり前のことを言っている気がしますが、気にしません。
掃除するときに、片付けなければいけない物が減るので、多少面倒くささが軽減されます。
それと、最近私が試しているのが、本の収納の改革です。
通常の本棚だと、棚のひとつひとつに埃が溜まってしまいますし、その裏側に関しては、本棚を動かさないと掃除できないので、相当めんどうな仕様となっております。
そこで私が考えたのが、キャスター付き収納ケースに本を入れてしまおう、というもの。
キャスター付き収納ケースとは、プラスチックの箱に車輪がついたボックスのことです。
これならば、埃が溜まっても蓋の上を雑巾で拭き取るだけで良いうえに、移動が容易なので裏側を掃除しやすいです。
ただひとつ欠点として、本を取り出すのがちょっと面倒になります。蓋を開けて、目的の本を探して、手に持って、蓋を閉じて……、と……。まぁ、清掃のお手軽さとの等価交換ですね。
こういった新しい掃除のやり方を思いつくと、しばらくは精力的に清掃をすることができるのですが……、少しすると飽きてしまい、また掃除が面倒になってしまいます。
これは、勉強でもそうでしたね。革命的な勉強法を思いつくと、しばらくは優等生の如く勉学に励むことができるのですが、3日後にはダラけています。
我儘で飽き性な自分を、なんとか騙し騙し働かせて、これまで生きてきました。
たぶん、死ぬまでこれが続くでしょうね。
やりがいのある人生ですよ。
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