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登山で学ぶ1人の楽しさ
季節が合っていて、天気が良く、やらなければいけないことがなくて、非常に低い確率で気が向いたとき、私は登山をします。
登山といっても、あまり難しい山には登りません。よく登るのは、千葉県にある鋸山という山。難易度的にも距離的にも都合がよろしくて助かります。
山の麓に車を停めて、後部座席から荷物を引っ張り出し、準備運動をしてからアタック開始。
人気のある山なので、連休でなくとも登山客がチラホラいます。
しばらく舗装された道が続くので、近所を散歩しているような錯覚に陥り退屈になりますが、それは最初だけのこと。
地面が土と岩になるとテンションが上がります。
大汗をかきながら黙々と歩き、少し疲れたら無理せず休憩。
山は水が豊富な場所なので、風が涼しくて気持ちいいです。
濡れた岩の急斜面を、設置された鎖を頼りに進んでいくと、見晴らしのいい場所に到着しました。
そこからは、豆粒ほどの小さな民家、樹木で覆われモコモコした山、うっすらとした富士山が見えました。
ぼんやりと景色を眺めていると、ここまで自力で登ってきたんだなぁ……と、じわじわと満足感が湧いてきて、来てよかったな、と思えます。
ここまで、登山の良いところばかり書きましたが、当然、負の側面もあります。
たとえば、ふだん激しい運動をしない私のような人は、登山をした次の日、筋肉痛でまともに動けなくなります。
また、他人に合わせて行動をしなければいけない、という点も私からするとマイナスです。
たとえば、上る人と下る人が、いっぺんに通ることのできない狭い登山道もありますので、そういうときは、どちらかが譲らなければいけません。
ほかには、私の前を歩く人がスローペースな人だったり、後ろを歩く人が速かったりすると、道を譲ったり待ったりしなければいけません。
……自分の極端な短気さについては、痛いほど自覚しております。
私がいつも独りでいる原因のひとつとして、この短気さがあるのかな、と思います。
自分のペースを維持できないと、それが気になって気になって、もう全然楽しめなくなってしまいます。
しかし、それは、自分のペースで楽しめる趣味が、本当に楽しいことの裏返しでもあります。
どうしても、1人の楽しさと比べてしまうのです。
生きづらいタイプの人間だなぁ、とつくづく思います。
私のような人は、近々絶滅するでしょうね。
自然淘汰により、着実に数を減らしているはずです。
もしかしたら、私が同類の最後の1人かもしれない、と思うと少し面白いですね。
もうちょっと生きてみよう、と思えないこともないです。
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