[連載]悪女の履歴書

「秋田連続児童殺害」――マスコミが報じなかった“鬼畜の母”畠山鈴香の実像

2013/10/27 19:00
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Photo by omoon from Flickr

世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第17回]
秋田連続児童殺害事件

 2006年4月9日午後6時45分。秋田県藤琴川に架かる橋の欄干に2人の人影があった。2人はしばらく何か話していたが、小さな影が欄干に乗り、それを大きな影が支えていた。瞬間、大きな影の腕が動いたかと思うと、小さな影が欄干から川に落下していった。「お母ちゃん」。そんな声が微かにこだまする。大きな影は振り返ることなく、傍らにあった車に乗り込み走り去っていった。

 それから15分後の午後7時頃、川近くの藤里町朝日ケ丘団地では、1人の母親が「小学4年生の娘が帰ってこない」と訴えて近所を訪ね歩いていた。7時45分、母親は能代署に110番通報する。所轄、消防署、学校関係など90人が捜索に当たるが娘の姿は見つからない。翌10日午後1時35分、藤琴川の中洲に変わり果てた娘が発見された。畠山彩香ちゃん、当時9歳だ。警察はこれを「事故」と判断したが、近隣住人でそれを信じるものはいなかった。それは母親である畠山鈴香(当時33歳)も同様だった。納得しない鈴香は警察で暴れたり、マスコミに接触、また娘の生前情報を求めるビラを配った。しかし周囲はそれを「娘を亡くした気の毒な母親」とは見ていなかった。それまでの鈴香の振る舞い、親子関係などから「奇異で不審な行動で“怪しい”」とさえ感じていたのだ。

 それからおよそ1カ月後の5月17日、鈴香の家から2軒隣の米山家の次男・豪憲くん(当時7歳)が学校からの帰宅途中に忽然と姿を消した。自宅までわずか70~80メートルのところで同級生と別れたが、自宅に帰ってこないのだ。豪憲くんの父親は自宅に駆けつけた刑事に「もし鈴香の家を調べるなら床下も捜索してください。豪憲が監禁されているかもしれない」と伝えている。だが翌日午後3時頃、豪憲くんの遺体が川の土手で発見された。死因は首を絞められたことによる窒息死だった。

 周囲は不穏な空気に包まれた。同じ団地内から児童が2人も行方不明という異常な事態。すでに近隣から「犯人」と目された鈴香の家には刑事が上がりこみ、長時間の尋問が続いた。その後実家に戻った鈴香だったが、そこにも警察車両が24時間態勢で監視がついた。それを追うように、マスコミもまた鈴香の実家を取り巻く。その数は時に100人以上となり、ワイドショーでも連日のようにこの事件を伝えていった。鈴香は時に取材に応じ、時に苛立ったようにテレビカメラを睨みつけた。6月4日、鈴香は豪憲くん死体遺棄で逮捕される。鈴香は豪憲くんの殺害と共に、娘・彩香の殺害も自供した。

『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか? 窃盗癖という病』
「鬼畜の母」ではないから闇が濃い
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