IMFトップにゲオルギエワ氏 東欧出身、10月就任
【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)の次期専務理事に、ブルガリア出身のクリスタリナ・ゲオルギエワ世界銀行最高経営責任者(CEO)が就任することが9日、固まった。ラガルド専務理事の辞任に伴って6日まで後任の立候補を受け付けたが、米国や新興国などから独自候補の擁立はなかった。国際慣例通りに欧州出身者が再びIMFトップに就くことになる。
ゲオルギエワ氏はブルガリア出身のエコノミストで、世銀グループのCEOを務めるなど途上国の開発金融に詳しい。欧州委員会などでも要職を務め、国際機関での経験は豊富だ。IMFトップである専務理事ポストは、欧州出身者が独占しており、今回も慣例通りとなった。理事会の承認を経て、10月初旬に正式就任する。任期は5年。
ラガルド氏は欧州中央銀行(ECB)の次期総裁に指名され、9月12日にIMF専務理事を辞任する。後任は欧州連合(EU)内で人選が進み、オランダのデイセルブルム元財務相らが候補に挙がった。ただ、EU内は南部各国と北部各国で意見が対立し「EUは東欧出身のゲオルギエワ氏の擁立で妥協した」(IMF関係者)。
最大の出資国である米国は、トランプ米大統領が側近のマルパス元財務次官を世銀総裁に送り込んだばかりで、EU主導のIMF人事に注文を付けることはなかった。中国など新興国も独自候補の擁立を見送り、EU内の政治の力学でIMFトップが再び決まった。ラガルド氏に続き、女性がIMFを率いることになる。