「周遊ルートなくなる」
射水市は海王丸パーク=同市=と富山地鉄富山港線(旧富山ライトレール)の岩瀬浜駅=富山市=を結ぶコミュニティバス「海王丸パーク・ライトレール接続線」を26日で廃止する。富山湾岸の「目玉観光地」同士を結び、周遊観光の促進を狙っていたが、近年利用が伸び悩み、コロナ禍でさらに落ち込んだ。市域を越えた公共交通連携を担う路線の廃止を受け、惜しむ声が上がっている。
海王丸パーク・ライトレール接続線は2006年度の実証期間を経て、07年4月に本格運行を開始した。土、日、祝日に1日4往復運行し、運賃500円。同接続線に加え、岩瀬浜から富山駅まではLRT(次世代型路面電車システム)、富山駅から高岡駅まではあいの風とやま鉄道、高岡駅から海王丸パークまでは万葉線と、公共交通による「高岡―射水―富山の回遊ルート」を形成している。
路面電車や射水市コミュニティバスなどを対象とする「とやま1日乗り放題きっぷ」販売が始まった14年度は宣伝効果もあり、年間利用者が4270人まで伸びたが、翌年以降は1300~1600人台で推移し、20年度はコロナ禍で984人まで落ち込んだ。
射水市生活安全課によると、利用者の少なさに加え、富山県の補助を受けて富山駅―ひみ番屋街(氷見市)を往復する富山地鉄の「ぶりかにバス」が海王丸パークを経由するため、役割が重複しているとして、廃止が決まった。10月からは「ぶりかにバス」を平日、休日ともに増便して対応するとしている。
一方、交通関係者からは「ぶりかにバスは岩瀬を通らず、岩瀬と海王丸を巡る周遊ルートの役割は果たせない」との声も出ている。
PR不足の面あった
公共交通再生アドバイザーの善光孝さん(高岡市)はPR不足の面があったとし「岩瀬と海王丸パーク、近くの新湊・内川地区も含め、知名度の上がってきた観光地を結ぶ路線がなくなるのは残念だ」と話した。