情シスという略称で知られる情報システム部は、企業のシステムに関する業務を担当しています。企業存続や成長にあたりITはなくてはならない技術です。

情シスは企業にとって重要な役割をしていると言えますが、実はここ何年もの間、日本の企業では情シスの存在意義が問われています。 社内業務を行うために必要なはずの情シスが、なぜなくても良いと思われているのでしょうか? 今回は情シスの業務内容を紹介するとともに、その問題点を洗い出していきます。

そもそも情シスとは?

情シスとは情報システム部の略です。情報システム部とは企業が業務で使用するサーバーやネットワーク、 パソコンなどを運用する部署です。また、情報システムとはパソコンやネットワークなどを使用するための システムのことで、大きく2種類にわけられます。

ひとつは基幹システムで企業の根幹をなすシステムです。製造業であれば在庫管理や受注・販売管理などを担い、どの企業にも共通の人事、会計なども基幹システムで管理します。

もうひとつは情報システムで、業務効率を上げるためのメールソフトやグループウェアなどのシステムのことを指します。 古くはこれらのシステムを社内で立案し、構築などを行うのが情シスの主な仕事でした。

社内システムは一度導入すれば終わりというわけではなく、毎日の正しい運用と定期的なメンテナンスが必要です。 これらも情シスの大切な仕事のひとつで、さらにソフトの使い方やトラブル対応などのITサポートデスクの側面も持っています。

IT機器やシステムが浸透している世の中とはいえ、みんながみんなIT機器に強いわけではありません。 特に企業用の情報システムは使い方も異なるため、使い方に迷う社員もいます。 そのようなときに情シスは社内のIT指南役となるわけです。

情シスと他部署の馬が合わない企業も…

よく情シスは経費削減対象になったり必要ないと思われたりしがちですが、 そのほかにも営業部門や他部署から嫌われやすい傾向にあります。システム構築をする際、 SEは専門のプログラミング言語でプログラムを書いていきます。

ひとつのシステムを開発するには長い期間が必要でかなりの労力を要します。しかし、他部署の社員からするとその手間や大変さが理解できないことがあり、そこから情シスとの齟齬が出てくるのです。

たとえば、営業部門は売上達成のためにスピード感を重視します。逆に情シスの作業は時間がかかります。

手間がかかるからこそシステムが必要かどうかの精査は慎重に行わなければなりません。営業部門と情シスの持つスピード感の違いをお互いが理解できなければ、衝突してしまうのも当然です。これらは部署間でのコミュニケーション不足に端を発しています。しかし、そこに気付かずお互い主張ばかりしあっていては、何の解決にもなりません

情シスには変化が求められている

たしかにシステムの開発、運用、保守は情シスにとって重要な仕事です。しかし、IT戦略が企業成長に大きく関わる現代では、情シスの役割も大きく変化を求められています。いくら苦労してシステムを構築しても現場で使えなければ意味がありません。

日本の企業はITガバナンスを重視する傾向にあります。ガバナンスやルールを決めると業務を行いやすいという メリットはありますが、現場の業務とそぐわないというデメリットも生まれます。結果として社内インフラが浸透せず、シャドーITが広まる原因ともなってしまうのです。

これを防ぐには情シスが率先して他部署との連携を図り、現場に必要なシステム開発を行うこと。社内インフラが浸透しない理由を探りながら売上に寄与することが重要です。

情シスでありがちな「ひとり情シス」とは?

ひとり情シスとは、情シスの仕事を1人でこなすこと、情シス担当が1人しかいない状態を指します。これはITリテラシーに理解のない企業に多く、なかには少しパソコンに詳しいからという理由だけで仕事を任される場合もあります。

ひとり情シスの問題点は、担当が休んだときに対応できる人がいなくなること、ITに詳しくない人が担当だとトラブルがあったときの対応ができないこと、企業が求める働きに対して成果が出せないことなど多岐に渡ります。

経営陣にITリテラシーがない故の弊害で、他部署にもその考えが伝播する可能性があり注意が必要です。経費削減も大切ですが、ひとり情シスは効果的な削減とは言い切れず、リスクも多いということを覚えておく必要があるでしょう。

情シスで働く人は何人くらいが普通?

通常情シスで働く人は何人くらいなのか、136名の社会人に聞いてみました。

【質問】あなたの会社の情報システム部門には、何人くらい勤務していますか?およその人数を教えてください。

【回答結果】
3人以下:47
3人~10人:57
10人以上:32


調査地域:全国
調査対象:
【年齢】20 - 29 30 - 39 40 - 49 50 - 59 60
【職業】個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年06月07日~2017年06月14日
有効回答数:136サンプル

★複数人情シス多し!人数が少ないケースも…

アンケートの結果、一番多かったのは「3人~10人」という回答でした。
・システムマーケティング2名。Webデザイナーが4名で構成しています。(30代/男性/正社員)

・8人くらいだが、職員でなく外部の一度もいる(40代/女性/正社員)

平均で5人~6人が多いようですね。
では次に多かった「3人以下」の回答内容を見てみましょう。

・詳しい方が中心となり、外部の会社と連絡を取りながら行っています。メンバーは二名です。(40代/女性/個人事業主・フリーランス)

3人以下だと企業規模が小さいケースが多いようです。最後に「10人以上」の回答を見てみます。

・情報管理室という部署になっています。室長を含め一般社員で構成されています。15名以上在籍しています。(40代/男性/正社員)

10人以上だと企業規模も大きいということがわかりました。

企業の規模によって情シスの人数にもだいぶ差があるようです。3人以下の場合は情シスを設ける人員的余裕がないケースも見受けられ、限られたなかでやりくりをしているようですね。

☆まとめ

少ない経費で最大限の働きを求められる情シスは、失敗をおそれるあまり保守的になりがちな側面があります。 そこが他部署と馬が合わなくなる理由でもありますが、今回取り上げた情シスの問題点は、お互いがコミュニケーションを取ることでだいぶ改善することができます。

基本的な情シスの業務だけではなく、他部署が何を求めているのか、勉強して要望を吸い上げていくことも大切です。情シスとはIT時代になくてはならない部署であることを忘れずにいてください。

この記事に関連するお役立ち資料はこちら

時間もコストも削減したい方必見! 「ひとり情シス」問題その解決策 とは!?

人手不足やエンジニア職の採用コストの増大に伴い、社内の情報システムを一人もしくは数人で支えている「ひとり情シス」が増えています。本資料では、このようなひとり情シス体制が、組織に及ぼすリスクと情シス担当者の業務上の悩みの両面に触れ、その解消案を解説しています。

ダウンロードする

さらに理解を深めたい方にオススメの記事はこちら

関連サービス