普段何気なく使用しているWi-Fiには、世界的に定められている規格が存在します。快適で安全にWi-Fiを使うためには、この規格について理解していることが大切です。そこで今回は、複数あるWi-Fi規格のうち、主流になっているものを紹介します。

通信速度や特徴などが違うため、会社でWi-Fiを使用する際にも覚えておきたい知識です。Wi-Fi環境を整備することで業務の効率化を図ることができますので、ぜひこの機会にWi-Fi規格について勉強しましょう。

職場のWi-Fi環境整備は進んでいる?

一般的になったWi-Fiですが、職場でのWi-Fi利用はどのくらい進んでいると思いますか?20代から60代の働く人を対象に、調査を実施しました。

【質問】
あなたの職場ではWi-Fi環境は完備されていますか?

【回答結果】
はい:53
いいえ:47

調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 - 29 30 - 39 40 - 49 50 - 59 60 【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年07月11日~2017年07月18日
有効回答数:100サンプル

Wi-Fi環境が完備されている職場は約半数!

調査の結果、Wi-Fi環境が完備されている職場は全体の約半数であることがわかりました。

・フリーデスクのためLANケーブルがない環境です。(40代/正社員/男性)
・他支店からの出張者のノートパソコンに対応できるよう、Wi-Fiの環境が整備されている。(30代/正社員/男性)

Wi-Fi環境が完備されているケースでは、仕事の効率を重視している職場が多いようです。では、Wi-Fi環境が完備されていない職場について見ていきます。

・Wi-Fi環境は完備されていませんがLANがいっぱいありますよ。セキュリティ問題があるから無線はいまいちです。(30代/正社員/男性)

・職場は個人情報がたくさんあるため、特定のブロバイダーでなければ接続できないようになっています。(20代/公務員/女性)
セキュリティ強化の観点から、Wi-Fiを使用していないという回答が多く見受けられました。

Wi-Fiを完備している職場はIT企業が多いので、完備していない職場は情報漏えいの防止が最優先のためと、どちらの回答でも仕事に必要不可欠だからという点では共通しているようです。

Wi-Fiに使われる6つの規格を知ろう!

Wi-Fiで使用される通信規格はIEEE(米国電気電子学会)によって策定されており、IEEE802.11シリーズがそれにあたります。Wi-Fiで使用できる周波数帯域は3種類。2.4GHz帯の規格が11bと11g、5GHz帯の規格が11aと11ac、2.4GHzと5GHzの両方で使用できる規格が11nになっています。最後に、60GHz帯があり、11ad規格で利用します。

2.4GHz帯の主な特徴は屋内と屋外の両方で利用可能な点で、障害物に強いのがポイントです。2.4GHz帯の電化製品は電子レンジやBluetooth、無線キーボードなど種類が多く、同時使用すると電波干渉しやすいというデメリットもあります。

5GHz帯は逆に同じ周波数帯の機器が少ないのが特徴で、その分だけ電波干渉も少なく通信速度の速さがメリットです。ただし、障害物に弱いというデメリットがあり、壁や家具などに遮られると通信が途切れるケースがあります。60GHz帯はその数字の通り高周波数帯であることが大きな特徴で、通信の高速化による大容量のデータ送信が可能です。2017年8月現在では11acの無線LANルーターが主流ですが、今後11ad対応のスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどの登場が期待されます。

性能を比較!通信速度が速いのはどれ?

Wi-Fiの通信速度の速さは、MIMO技術と帯域幅、変調信号の容量で決まります。MIMO技術とは複数のアンテナを使用することで無線通信の高速化を図る技術です。アンテナの本数が多いほど高速化しますが、高速化のためには複雑な技術を要します。帯域幅は情報が通る道の広さに該当し、帯域幅が広いほど情報通信がスムーズになります。変調方式とは通信の搬送方式のことで、変調信号の値が高いほど通信できる情報量も多くなります。

これらを総合すると、通信速度の速いWi-Fi規格とは、一度にたくさんの情報をスムーズ且つ高速に通信できる規格のことを言います。前段で紹介した規格のなかでは60GHz帯の11adが最も通信速度が早く、アンテナ1本で5Gbpsの通信速度を誇ります。11acは最大で6.93Gbpsの通信速度になりますが、アンテナを8本使った場合の通信速度であるため、11adのほうがより簡単に高速通信を実現していることがわかります。ただし、11adの60GHz帯は電波が直進する特徴があり、障害物があると回り込むことができません。そのため、特定エリアの狭い範囲内での使用が想定されます。一般的な利用を考えると11acが一番早く、その次に600Mbpsの11n、54Mbpsの11aと11g、11Mbpsの11bの順になります。

失敗しないWi-Fiルーターの選び方

Wi-Fiルーターを選ぶ際は、通信速度はもちろんのこと、電波の強さやセキュリティ面での安全性を重要視しましょう。2017年8月現在では11ad規格の製品がそこまで発売されていないため、11ac規格の無線Wi-Fiルーターが候補になるでしょう。5GHz帯と2.4GHz帯の両方に対応できる11nは価格が安く大量に出回っていますが、通信速度は11acよりも大きく劣ります。ただし、古い規格の子機を使用している場合は11acでは対応しきれないケースがあるため、11nを選ぶという方法もあります。

前述したとおり、2.4GHz帯の電化製品はBluetoothや電子レンジでも使用されていますので、同じ2.4GHz帯の11aや11gなどは電波干渉の可能性があり使用中に通信が途切れるリスクがあります。もし11acや11adを導入する場合は、使用するパソコンやスマートフォンが11acや11adに対応しているかを確認するようにしてください。対応していなければ11acや11ad規格のルーターを使用することはできません。

Wi-Fiルーターを選んだら、オフィスのレイアウトにも注意を払いたいところです。2.4GHz帯の規格は障害物に強いので、Wi-Fiルーターを設置する場所の自由度は上がりますが、障害物に弱い5GHz帯や直進性が高いために障害物のうしろに回り込むことのできない60GHz帯のルーターは、設置場所に注意が必要です。同時接続が多いと、その分だけ通信が渋滞しやすいため子機の台数にも気を付けましょう。

まとめ

Wi-Fi規格によって通信速度が大きく異なることがわかりました。Wi-Fiの技術が進歩するごとに通信速度や通信容量が向上しており、今後さらなる進化とWi-Fiの普及が期待されます。社内業務やプレゼン、取引先とのやりとりなどで、ますますモバイルデバイスを使用する機会が増えるでしょう。

このようにWi-Fi活用の場はさらに増えることは容易に予想できます。Wi-Fiの規格を把握しておくことで導入の際に役に立ちますので、ぜひ覚えておきましょう。

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