卵と麹から生まれた「熟成卵黄」
Vol.3 おいしさへのこだわりは製造現場から
▲(写真左)樋口松之助商店 卵麹開発関係者、(写真右)キユーピーグループ 熟成卵黄製造関係者
※掲載内容は2019年11月時点での情報に基づきます。
「熟成卵黄」は、卵麹で卵黄を熟成させてつくります。
卵麹は樋口松之助商店が、熟成卵黄はキユーピーグループが製造を担っています。
今回は、卵麹、熟成卵黄、それぞれの製造現場についてご紹介します。
卵麹の開発・製造を手がける麹菌メーカー「樋口松之助商店」
熟成卵黄を作るには、まず「卵麹」が必要です。
卵麹は大阪の麹菌メーカー「樋口松之助商店」で作られています。
江戸時代に開業した同店では、現在、清酒用、焼酎用、味噌用、醤油用、大きく分けて4用途の麹菌の菌株を50種類以上販売し、ストックも含めると、さらにその20倍ほどの麹菌を保有しています。
▲卵麹
卵麹の製造工程は、まず、麹菌を生育させるのに適した水分を卵原料に散布することから始まります。卵原料に均等に水分が行き渡ったら蒸し器にかけ、加熱・殺菌します。
▲卵原料を蒸し器にかけ、加熱・殺菌を行う
その後、蒸し器から取り出して冷ました卵原料に麹菌を撒き、培養します。
培養に使うのは「麹室」と呼ばれる部屋。
熟成卵黄のおいしさを引き出すのは、卵麹の酵素です。麹菌がたくさん酵素を作るためには、一定の培養温度と湿度を保つことが肝心です。
▲麹菌を培養するための麹室
「タンパク質を分解しアミノ酸に変えるのは酵素です。そのため、開発にあたっては、酵素の多い麹をめざしました。培養条件や菌株の種類を変えて試作を繰り返し、ようやく良い麹ができました。それを安定して作れるよう、日々麹と向き合っています」(樋口松之助商店 研究室 中川さん)
「麹は水分や外気温の少しの変化で、すぐに生育の様子が変わります。卵麹を開発していた時も毎回結果に一喜一憂させられましたね。こうして無事製造でき、麹の可能性を広げられて、とても嬉しく思っています」(樋口松之助商店 取締役研究室長 山下さん)
熟成卵黄の要「熟成」工程を担う、キユーピーグループの施設
熟成卵黄を製造しているのは、キユーピーのグループ会社です。
▲熟成卵黄
熟成卵黄の製造は、樋口松之助商店で製造された卵麹を粉砕することからはじまります。
その後、タンクの中に卵黄と粉砕した卵麹を投入し、均等になるようかき混ぜます。
▲銀色のタンク内で、卵黄と卵麹が混ぜられる
卵黄と麹菌が混ざったら、一定の温度の中、数日間寝かせ、熟成卵黄が完成します。
▲温度管理された設備
「卵黄に混ぜ込むための卵麹の粉砕は、工場にとっても初めての作業。適切な形に粉砕するためにはどうすればいいか、最適な方法を模索していきました。さらにそれを連続的に大量に製造するのは、とても難しいことでした。
お話しをいただいた当初は、はじめての素材で日々手探り状態でしたが、熟成卵黄を使った商品が発売され、お客様に新しいおいしさを届けられることに、やりがいを感じています」(キユーピーグループ会社 製造部門 小島さん)
今日も、「卵麹」「熟成卵黄」ふたつの製造現場では、たくさんのスタッフが、日々真摯に「おいしさ」と向き合っています。