ほかでもない私たちが、私たち自身の「快適な暮らし」のためにそうしている。私たちは自分たちの快適さのために「疎外者」を生み出している。頭の悪い人、能力の低い人、魅力に劣る人、カネを持ってない人、精神的に安定していない人、コミュ力の低い人、キモい人――そうした人びとの居場所をどんどん奪うことによって「ただしくて、自由で、快適で、安全で、平和で、めんどうな他人に煩わされない社会」を実現している。DaiGo氏のように、それをあえて誇らしげに口に出さないだけだ。
私たちは、社会全体でやんわりと、それとなく行使してきた差別や疎外から目を逸らしている。そして、この「疎外の論理」をあえて口に出した者が出てきたときにだけ、「社会正義」を堂々と語り、徹底的に糾弾する。その姿に、私はもううんざりしている。
自分自身がこうした疎外や排除や差別の加担者であることを棚にあげ、「よかった、私たちの社会はまだまだ捨てたもんじゃない、正常なんだ!」などと相互確認する営みに、心から嫌気が差している。
DaiGo氏の言動を、「自分や自分たちの暮らす社会とはまったく相容れない、異常な思想の発露だ」と切断処理を繰り返しているかぎり――たとえ今回首尾よくDaiGo氏を社会的に制裁し、その口を金輪際封じることができたとしても――今後、彼と同じことを言う者は必ず現れるだろう。そして、その者はおそらく彼以上に大きな支持を獲得する。
ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/