著名なテレビタレントで作家やYouTuberとしても活躍していることで知られる「メンタリスト」のDaiGo氏が、8月中旬に大炎上した。自身のYouTube番組中に、生活保護受給者やホームレスに対する排他的・差別的な言動を発したことがその炎上のきっかけであった。
リスナーから「人生の苦境やめぐり合わせの悪さ(ハンディキャップ)をどうしたらよいか」についての相談を受けていたときだ。DaiGo氏は、リスナーからの悩みに答えながら「自分の人生に言い訳して生きていっても、最終的には日本には生活保護があるから」と話した直後、急になにかのスイッチが入ったかのように、持論を猛烈な早口でもって展開しはじめた。
実に「あっけらかん」とした調子で、自身の能力主義的な観点に基づく持論を展開するその姿には戦慄してしまう。
DaiGo氏の発言には「優生思想だ」などの非難が相次ぎ、多くの著名人や有識者も連帯して次々と声を挙げた。
たしかにDaiGo氏の発言には差別的で侮蔑的なニュアンスが多分に含まれており、擁護できるものではない。差別や排除を正当化するものであり、非難に値するものであることは言うまでもない。
しかしながら、一方で氏の発言について「彼の発言は『優生思想』であり、私や私たちが属する社会の基本的な価値観とは一切相容れないものである」と切断処理するかのような非難の論調に対しても、語弊をおそれず正直に言えば、鼻白む思いがした。
DaiGo氏が開陳したような「素朴」で「残酷」な感情を、あたかも自分たちとはまったく無縁なものであるかのように切り離す「社会正義」の言辞はかえって、同様の主張を勢いづかせかねない。DaiGo氏は「あっけらかん」と口に出したからこそ激しい批判を受けた。しかしながら、私たちはだれもが、多かれ少なかれ、氏が主張するような感覚や価値観を内面化した社会で生きているからだ。
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