情報過多になると、人は判断を誤る
最近広がりつつある「infoxicacion」という新語は、英語の「information(情報)」と「intoxication(中毒、酩酊)」を合わせた造語で情報中毒を意味する。これが現在深刻な問題となっている。
通常我々の頭の中では同時に最多で7つの情報までしか処理できないと言われていて、それ以上の情報が入ってきたときには、判断の誤りを犯す可能性が指摘されている。
現代人が朝起きてまずすること。多くの人が、メールやフェイスブック、ツイッターなど、スマホのアプリのチェックから始めるに違いない。頭の中はすぐにフェイスブックのタイムラインでの話題や、バズっているツイート、気になる知人のリンクトイン(ビジネスに特化したSNS)の更新…などでいっぱいになる。これに加えて、テレビをつければ情報のさらなる“爆撃”が始まる。そして、それらのほとんどが、あってもなくてもいい情報…なんとまあ想像を絶する世界が展開することよ。
ここで過去に遡って考えてみよう。かつて、情報の収集や調査は中毒や依存症的になるような仕事だっただろうか? その道に明るい人に問い合わせる、書籍や新聞を読む、図書館を利用する…。電子メールやSNSがなかった時代──をもう誰も思い出せないかもしれないが、あの時代は、家族や友人からの手紙にワクワクし、皆が集まってその手紙を読んだものだ。しかしながら今日では、指先一つでそれらの情報が一瞬で手に入る。それがために、新しい情報を探したり、それを受け取る喜びを忘れてしまっている。
この情報過多によって引き起こされる弊害──最も大きなものは、我々の判断力を鈍らせているということである。