素材の変化と魅力を引き出す
東レと多摩美術大学の産学協同成果報告展が開催

多摩美術大学は、2021年4月に東京ミッドタウンに新設した「多摩美術大学 TUB」にて、東レとの産学協同プロジェクトの成果報告展「マテリアル・デザイン・クッキング ~東レ株式会社×多摩美術大学 ウルトラスエード®の素材探究~」を8月24日(火)より開催する。

同大学では、2018年度から東レより、インテリアやファッションなどさまざまな領域で活用されている同社の人工皮革素材「ウルトラスエード®」の無償提供を受け、生産デザイン学科の学生の卒業・修了制作に使用している。

今年度は、5~6月に同大学の素材研究室「CMTEL(シムテル)」にて、「ウルトラスエード®」を用いた素材探究のワークショップを実施。今回の企画展は、このワークショップに参加した生産デザイン学科の学生有志たちの成果作品などを展示する。

ワークショップでは、ウルトラスエード®を切ったり貼ったり熱したりして、素材の変化を楽しみながら、その魅力を引き出すための実験的な取り組みとして、クリエイションのプロセスに焦点を当てたという。

展示でも、すぐに作品へつながるようなものや、創作のヒントやアイデアのカケラが垣間見えるようなものが楽しめるそうだ。End

企画展「マテリアル・デザイン・クッキング ~東レ株式会社×多摩美術大学 ウルトラスエード®の素材探求~」

会期
2021年8月24日(火)~8月28日(土)、9月6日(月)~9月18日(土)
時間
11:00~18:00 入場無料(日曜定休)
会場
多摩美術大学 TUB(東京都港区⾚坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ内)
詳細
https://tub.tamabi.ac.jp/exhibitions/1530/

「清水の舞台」の床板が、鍵盤楽器のクラヴィコードに再生
清水寺への奉納を記念し、『silk road - 祈りの道』展 開催

京都市 東山区、清水寺では、2008年から大改修が始まり、国宝である本堂では、屋根の檜皮(ひわだ)の葺き替え、舞台床板の張り替えなどが2020年12月に完了した。

▲張り替え前の清水寺本堂舞台(画像上)と床(画像下)

「清水の舞台」として知られる本堂の舞台には今、木曽ヒノキの新鮮な香りが漂う。舞台の総面積は約190平方メートル、つまり、張り替えで役割を終えた板もほぼ同面積あるということだ。

この夏、その歴史を伝える板が、14世紀ヨーロッパに起源を持つ鍵盤楽器クラヴィコードとして生まれ代り、清水寺に奉納された。清水寺 経堂ではこの奉納を記念した展覧会『silk road – 祈りの道』を開催する。

「人々の祈りが込められ、役割を終えた木材を何らかのかたちで伝えていけないか」。

『silk road – 祈りの道』展は、そんな思いと、音楽家で調律師、クラヴィコードの製作を手がける内田輝(うちだ あきら)氏との出会いによって生まれた。祈りの場とジャンルを超えた表現活動をつなぐことで、未来の仏教寺院のあり方を模索する清水寺のプロジェクト<FEEL KIYOMIZUDERA>の新たなプロジェクトだ。

▲クラヴィコードを製作する内田輝さん

寺院の鐘や、僧侶たちの唱えるお経の響き…、仏教における「音に対する意識の高さ」を感じたという内田さんは、かつての舞台板に音と関わる別の役割を与えようと、繊細な手仕事による一点もののクラヴィコードを完成させた。

「14世紀に考案されたクラヴィコードは、人間の声よりも小さい音量です。鐘の音とは対照的ですが、どちらも神仏に纏う気配を感じさせ、聴いた人の感覚を開かせる力は共通していると思います。…」。

▲クラヴィコードの仕上げには京都伝統工芸の力添えがあった。鍵盤の拭き漆は「西村圭功漆工房」によるもの。ほか、彫られた紋は「京源」、蓋の唐紙は「かみ添え」による。

展示では、内田さんのメイキングのプロセスを記録した映像作品と、奉納されたクラヴィコードを公開。さらに、会場の「清水寺 経堂」は通常、非公開のお堂で、釈迦三尊が安置され天井には墨絵の「円龍」が描かれた空間だ。こうした場の力とクラヴィコードの存在感の関係性も見逃せない一期一会の展示となりそうだ。(文/田代かおる)End

▲展覧会会場となる「清水寺 経堂」

▲Akira Uchida/内田 輝
サックス奏者として活動後、ピアノ調律を吉田哲氏に師事。音の調律から観る様々な音との対話方法を伝える『音のワークショップ』を開催。楽器製作家、安達正浩氏の教えのもと、14世紀に考案されたクラヴィコード(鍵盤楽器)を製作。自ら楽器を作り、音を調律し、音を奏でる、この流れを基に活動する。
<FEEL KIYOMIZUDERA>では、本クラヴィコードを奏でる内田輝とミュージシャン、坂本美雨による奉納コンサートの映像を9月に公開予定。

silk road – 祈りの道

会期
2021/8/9(月)〜8/16(月)
開場時間
10時~17時
14(土)〜16(月)は、10時〜21時
会場
音羽山清水寺 経堂
京都市東山区清水1丁目294
入場料
無料(本堂拝観は有料)
詳細
https://feel.kiyomizudera.or.jp/project/1032
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