なぜ、新型コロナウイルスワクチンは副反応が強いか
ちなみに、従来のワクチンは毒性を排除した抗原を使用してきましたが、新型コロナワクチンで抗原として用いているスパイクタンパク質そのものが「毒素」であるという論文が既に発表されています。そのためにワクチン接種後に強い副反応がひきおこされている可能性があります。
このような「スパイクタンパク質の全体」を抗原とすることにより、ワクチン接種者の中には抗体依存的感染増強(ADE)により重症化するという人が出てくる可能性が考えられます。実際、RNA型ウイルスの「デング熱」では、フィリピンで、200人以上の子供がワクチン接種後、ADEで死亡するという悲劇が起きています。
逆に受容体結合部位(RBD)のみ、いわば「はじっこだけ」を抗原としたワクチン、すなわち「組み換えタンパク質型」のワクチンは副反応が弱く、ADEがおきる可能性が低いものと考えられます。このようなワクチンは安全性が高いため、今後の主流になる可能性が高いと考えます。
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質三量体(提供:村上教授)
他の取り組みもあるが──
他企業でも抗体医薬の研究開発を進めていますが、ヒトから採取した遺伝子を実用化しようとしていることが多く、おそらく薬効が低い上、大量に接種する必要があります。そうなれば、1人あたりのコストが莫大にかかる可能性があるでしょう。また、有機合成で得られる薬は1万分の1くらいの成功確率であり、リポジショニング(他疾患で使われていたものを流用)のアプローチでもあるので、成功確率は低いとも予想されます。
村上康文◎東京理科大学名誉教授。東京大学薬学系研究科薬学専攻。東京大学大学院修了後、米国・ニューヨークスローンケタリング記念癌研究センターにて、3種のウイルス(SV40, アデノウイルス、ポリオーマウイルス)の研究に従事。癌ウイルス2種類の宿主域がDNA複製プロセスにあることを世界で初めて証明する。アルバータアインシュタイン医科大学(ニューヨーク)にてモノクローナル抗体作製法を習得。