彼女がミニマリストだという話をすると、なぜか「じゃあ料理もしないの?」と聞かれることがある。
何人かに言われたことがある質問なので、ミニマリスト=自炊しないというイメージを持っている人は多いのかもしれない。
おそらく自炊をしていれば、それなりに必要な調理器具を揃えなければいけないことからくる理由だろう。ところが、意に反して彼女は料理が好きだ。
夜に2人で会う時は、7:3の割合で外食よりも彼女の手料理を食べることの方が多い。
とはいえ、実際に彼女のキッチンを見てもなお「やっぱり料理しないのでは?!」と思う人は多いだろう。
なぜなら彼女のキッチンには、一切何も表に見えて置かれている物がないからだ。
普通は、食器洗い洗剤・スポンジ・水切りカゴ・調味料・キッチンペーパー・おたまやフライ返し・菜箸・ボウルなどが出してあるのは当たり前に見る光景だろう。
ほとんど料理をしない僕の家でさえ、コンロの上に常にフライパンがむき出しで置いてある。
ところが彼女のキッチンでは、それらの全てを備え付けのキッチン収納にしまって隠してある。
使う時に出して、使い終わったらすぐに片付けるのだ。食器洗い洗剤とハンドソープでさえ、使わない時にはしまってある。
初めてそんな彼女のキッチンを見た時には、モデルルームかと思った。いや、モデルルームですら何かしらの物が置いてある。
炊飯器までもご飯を炊く時にだけキッチン下から出すスタイルなので、出しっぱなしの調理家電はオーブンレンジとコーヒーメーカーだけだ。
では、ミニマリストの彼女が保有する調理器具にはどのようなものがあるのだろうか。
こっそりリサーチしてみたので、ここで紹介したい。
まずフライパンは1つだ。大きさ違いで複数持つことはしない。
鍋はミルク鍋が1つ。彼女の家には電気ケトルがないので、このミルク鍋で湯を沸かす。
大きい鍋はない。なぜならカレーも煮物もフライパンで作るからだ。大家族ではないので、充分フライパンで溢れることはない。
ただし圧力鍋は持っている。圧力鍋は彼女がどうしても断捨離できなかったものの一つらしい。
この圧力鍋のおかげで、仕事から帰ってきてものの30分以内で手の込んだ美味しい料理を作ってくれる。(パスタを茹でる時も、パスタを半分に折って圧力鍋を使っている)
ちなみに料理上手な彼女だが、家で揚げ物をすることは断捨離したらしい。
したがって揚げ物用の鍋はないし、油を処理するための道具も必要ない。近所の商店街に揚げたての美味しい揚げ物を販売しているお肉屋さんがあるので、外注できる料理は家で頑張らないことに決めたらしい。
調理道具に関しては一通り揃っている。
おたま・フライ返し・しゃもじ・菜箸・包丁・キッチンばさみ・まな板・ボウル・ざる・ピーラー・おろし金・軽量カップ・キッチンスケール・・・などの類い。(キッチンタイマーはスマホがあるので断捨離したらしい)
ただしどれもマックス1個ずつ。とことん使い倒して、いよいよになったら新品と交換する。
当然、キッチンペーパーやラップ類も冷蔵庫に引っかけておいたりせずに、全て引き出しに収められている。
と、ここまでキッチン用品を絞れるようになったのは、ごく最近のことだと彼女は言う。
彼女にとって「便利だな。欲しいなあ。」と心が最もブレやすいのが、キッチン雑貨だったそうだ。(今でも家電量販店では新しい調理器具を食い入るように見ている)
なので、本当はブレンダーも保温調理器もタコ焼き器もホットサンドメーカーも持っていた。
以前は菓子作りにハマっていたこともあったが、忙しくなった今はなかなかする機会を持てずに妹に一式譲ったらしい。
※唯一パウンドケーキを作る時の型だけを残していて、たまにその型でミートローフやケークサレを作ってくれる!実際に彼女が使っているのが下の型。安いけどくっつきにくくて、コスパ最強の型らしいっす。
放っておけば増えていく一方の便利器具に見かねて、「年に何回使うんだろう?なければどうするだろう?」をとことん追求するようにしたらしい。
その結果、「ないと困る!」という精鋭器具だけが彼女のもとに残った。手放した中にはホットプレートもあった。(焼肉やお好み焼きを食べたい時は外食にしている)
これだけ調理道具を厳選しているので、キッチン収納には充分な余裕がある。
だから彼女の家には食器棚がなくても、備え付けのキッチン収納の中に全ての食器をしまうことができているのだ。
彼女が料理している姿を見ていると気持ちが良い。作ったそばから汚れた道具を洗い、おかずが出来上がる頃にはシンクもすっかり片付いているからだ。
そういえば僕と付き合い始めてから、彼女が増やした調理器具がある。
それは2人で鍋をする時のための土鍋と卓上ガスコンロだ。当然僕は「物を増やしちゃっていいの?」と何度も念を押して聞いた。鍋をやりたいなら僕の家でやればいいし。
でも彼女は「絶対に欲しいの!」と言って、無印良品に僕を引っ張って行った。
彼女とこれからもずっと鍋を囲んでいたい。それが僕の切なる願いだ。