めひろぎおひろぎ

ごしそに&どくすた連絡所 平安時代か平成初期 サイト閉鎖中

いっこうにごし1の第四回がアップされなすぎて、全裸待機していた数人が死んだ
とにかく1の第六回と第八回まではアップしろよ! 延暦寺も法隆寺もまったく出てこなくて笑う
第三回までってメイン4人と辰真の姉ちゃんしか出てなくねぇ!? 栄西はよ!!
よりにもよってマグロのところで止めるのやめて 恥ずかしい 永遠に公開され続ける黒歴史

新規からの感想

>最澄って人敵なんじゃ・・・

せやんぬ(肯定とも否定とも取れない不思議な返答) まあ あやしすぎるよね 明確に
ごしそにシリーズ不動の人気ナンバー1、シリーズ主人公(非公式)ですが?
リメイクでは第六回の最澄に新規立ち絵欲しいですね 何のとは言わないけれども
早く第六回やれ 全裸待機組が死ぬ 原作リメイクはさいちょを推していきますぬ
(肯定とも否定とも取れない不思議な宣言)
ごし1第六話はVS『最澄』、第八話はVS日蓮です

たたかっとる!!!! Eclairゲーでは常に味方です えくれーるげーでは では

gosirakawa426

御仏を欺くおとこだからな!
これもう第四回だから次だよ

e0477260

かわいい 裏切ったりしないよ ほんとだよ さいちょをしんじて(笑) 笑い!!

さいちょにやっ

そもそも裏切らないやつに「邪」の表情差分必要だとおもいますか?
いつもニコニコしているように見えるでしょう よく見て 目全然笑ってないんだ 一切
一度も「御幸に」笑いかけたことなんかない

ミニ3

浄化された後のえくれーる最澄 さいちょは本当に笑う時は目を閉じるぞ 子どもっぽく笑う
浄化されてからの方が男の子っぽい顔をするようになる 原作時点ではまだオトナびている

高遠表情1ミニ

原作最澄と同じタイプの笑い方するやつ 「笑」の表情は「別に笑ってない」タイプ
何千回も言うが私はこの「哀」で笑うタイプの男最高に好き 

栄西表情ミニ2

まったく表裏とかないやつ とてもすなお かわいい

※不謹慎ネタ注意

テレビに小室圭が出る度に混沌のフィナンシェって言うのやめてください!
来月クソほど言われそうなのでもうここで釘刺しとくぞ リアルこの星最後の恋愛を。やめろ!!!
Eclairの乙女ゲーにありがちな「日本?滅べよ!国民!死ね!」グッドエンド>NY弁護士エンド
(捨てられた日本は滅び国民は苦しむ) トゥルーじゃなくてグッドのやーつ
Eclairの乙女ゲの「トゥルーは無理だったけどグッドエンドでした」感 日本は滅ぶ
サークルのテーマ デカダン(破滅主義)を表現しきった素晴らしいグッドエンド感
バーカ日本! 滅べ! 感 Eclairならいいけど現実だとちょっとアレ 

>海の王子と月の王子でキャラかぶってるんだワ……

かぶってないんだワ…
KKは「日本史に時々出てくる人気の悪役」ぽくてすごい
ああいう人、日本史に時々いるよね なんか日本史の登場人物って感じがすごいする
私昭和から令和まで生きて、一番「この人日本史っぽい」と思ったのがKKだわ
同じ時代にリアルタイムで生きてる人間の感じがまったくしない 日本史によくいる人って印象
なんとなく言ってること伝わる? キャラが キャラが立ちすぎている

令和で「ふざけんなふざけんなふざけんな!」ってクソほど叩かれて
500年後あたりにいい感じに盛られて人気キャラになる悪役っぽさがすごすぎる
令和の日本史が乙女ゲだったらメインに近い攻略対象として出てくるやつ
こいつだけでファンディスク出るやつ 日本史乙女ゲの人気キャラ感がすげえ
いくらでも設定盛れそう 

>混沌のフィナンシェ! 混沌のフィナンシェやんけ!

最初に言われた時正直爆笑した すごい角度からブッこんでくるやん
過去に女にモテまくってチャラついてるところがすげえ日本史乙女ゲぽい
典型的な「過去オラつきからの皇室のプリンセスを騙してやろうと思って近づく男」キャラ
そこから「騙すつもりが真実の愛を見つける」ルートと「騙して不幸にした」ルートがあるやつ
500年後見てろよ 絶対設定盛られて人気キャラになってるぞKK

>アメリカで竜を倒してるんだワ

金ねんだワ… なんだろう、このこの星感

>アメリカがちょっぴかぶってるんだワ
記者会見に既視感ありまくりなんだワ 小室文書出すね…


フィナよりはだいぶ頭いいんだワ
Eclairアメリカ好きなんよ いや 記者会見は皇室乙女ゲでは必ずやらなきゃいけないんだよ!
じゃなきゃプリンセス出す意味ある? ってくらいウチ的には重要なんや!
私だったら絶対あの3千万のティアラを床に投げてヴァーン!!するシーンを入れます
「何が草薙の剣だ! 勾玉!? 日本!? 知らねーーーーー!!」 ガーン! で破壊する
それによって日本になにかすごい災いが発生して、KKはそれを封印せねばならないんだと思う
「即位で虹ぃ!? 虹は吉凶どっちに転ぶんだろうねぇ!!」 ドガシャーン する
たぶんあの虹が、なんかこう、日本を本来襲うはずのファンタジー的な何かでKKは
それと戦っている なんか私は皇室を狙う男=ファンタジー生物と戦ってると思っている
私はKKはロースクールという名の「アメリカの法律を守る何か」の養成所にKKがいると思ってる
「勉強」という名の何か たぶん日本を襲う虹の何かと戦っている
たぶんなあ 勉強じゃなくて討伐をしてるんだと思うよ 
日本から来た警護のSPとの友情シーンが欲しい 最初「血税でお前なんかの警護をさせられる
俺の身にもなれ! 穀潰し!」とか言ってモメて最終的に虹と血税で一緒に戦ってほしい(?)

>母はどう説明するんですか

Eclair的にはKKの母は虹にとりつかれている設定だよ とにかく敵は天皇が即位した時に出た虹
NYのロースクール(という名の戦士養成所)で修業して弁護士(という名の戦士)になってから
最後に戦うグッドエンド用のラスボス(KK母/虹の竜アシダハーカ)だと私は踏んでいる
こう、いい感じにグッドエンド用のボスの感じあるでしょ!? 
今KKがNYにいるやん、次に日本に戻る時に戦うラスボス 今はまだ勝てないんや
倒すと日本に天気雨が降る そんで日本は滅ぶ 滅ぶのかよ
「この星最後の恋愛を。2 虹の竜アシダハーカ」やぞ 2の主人公はKK
ちなみに最終的にKKは草薙の剣で戦う 当然だよなあ 皇居から光の柱とか出る ラストバトルで
なんで光の柱が出るかっていうと、それが皇居に出来る最大の守護魔法だからです
憲法とかで皇居は攻撃魔法は出せないんや だから防御の魔法かなって…
Eclairが原作ならそう スーツ+弁護士(戦士)の免許証+草薙の剣+皇居の光の柱
アシダハーカを倒すと、解放された母が「あんたの父ちゃんは……虹に……」って呟いて気絶する
Eclairが原作ならな 1が月の王子で2が海の王子 これでどうですか?

>感動しました

ティアラはアシダハーカを封印していた日本のギミックだったんだなあ……
適当なことを言うEclair

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いや、時事ネタに突っ込むの危ないので普段しないんですがめっちゃ言われるので一応
シンプルに不敬 不謹慎なネタ失礼しました

>プリンセンスの妹が日本最大の防御魔法を放つんだね

そう そう そう! Eclairが原作ならそう
プリンセス本人じゃなくて、ストーリーにちょろちょろ出て来るけど特に見せ場の無かった
妹が、ラストバトルでいきなり「あーあ……ホントに勘弁してよね」って言いながら放つ
「その魔法……! 誰にも扱えないはずじゃ……!」「んー……なんか出来ちゃったんだよね」で。
アシダハーカ(虹の竜)の一撃をそれで防ぐ 一人で 超かっこよい
三種の神器の鏡を受け継いだのはプリンセス本人じゃなくて妹の方だと燃える
まさかのギャル白魔導士でお願いします KKと一緒に戦う黒服のSPの武器は血税で!
攻撃のたびに税金があがる 日本は滅ぶ とにかく日本が滅ぶ どうでしょうか
天気雨だと国民が思ったのは、砕けた虹の竜とその守護魔法の残滓なんだよなあ キラキラしてるう
まあ 今回はグッドエンドのルートなので日本は滅びます Eclairが原作だったらな
アシダハーカは倒せるんだけど、日本は滅ぶ グッドエンドのルートだから!

>虹を見て喜ぶ国民が無残に殺されるやーつ

SNSにアップするために虹の写真をパシャパシャ撮ってた国民がアシダハーカにやられるやーつ
「すごい……虹だ」「きれい……」「なんだ、あれ? 近づいてきてる」「え? 虹が?
……キャアアアアア!! 私の身体が! 私の身体がぁ!」「わああああああ!」ってなるやつ
Eclairは王道を大事にしています… 虹は「溶かす」系とかいいなあ すごい綺麗なドラゴンでよろ
あれがいいな、日本昔話のOPに出て来る竜みたいにすごい長い竜 ひらひらしてるの
なんか室町時代とかに封印されてる竜がいい 室町の理由はまるでないけど
国会議事堂とかでアシダハーカの出現を察知した総理が「アシダハーカ……!」って
議事堂の天井をバッ!! って見上げてほしい このド王道感 いいよね

>議事堂の天井に浮かび上がるアシダハーカ封印の呪文

なぜか議事堂の天井に刻まれているハーカの伝承
三種の神器と対になる感じがいいよね 虹は で、三種の神器で倒されてほしい感じ
途中で勾玉とかが割れて「わあああああ! どうしようどうしよう!」ってなってほしい
でも、割れることが勾玉本来の役割だったとかでよろしく 剣が折れてもええけど
折れた状態が真の状態なんだよね ド王道……!!

アヘ目

さんざん2005年頃の絵を見せてから2021よ
道元ちゃん お前原作と顔違わない?

うちはえくれーるなんでね、最澄とかのイベント絵はないよ
最新の樋口兄弟のエロ絵ラフを食らえ!!!!! 最澄とかのイベント絵はないよ!
ここから12禁 大丈夫 モザイクはない

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CG4差分2

弟の方 てんもえ ラフは裸ですが本番(下ネタじゃないよ)はなぜか服を着ている
こいつすっごい首絞めてくるんすよ うちがアンチ聖属性サークルだからです

CG2差分2

兄の方 くうかいへん ぼくは君が幸せそうで気持ちよさそうならなんでもいいよ
よく見てください 同じ女だ…… なんとこの女、

弟の方(男性向け)では顔が出ていて 兄の方(女性向け)では前髪で目が隠れているのです!!!

いらんわそんな配慮!!!!! 誰向けの配慮なのか!? そして

弟の方(塩対応/寝取られ)ではすっげー適当な服着てて、
兄の方(シュガー対応/純愛?)は気合い入れた服を着ているのです!!!!


ポ ポケットモンスター 樋口兄/樋口弟……!!!!!

>ポケットモンスター 樋口兄(闇)/樋口弟(聖)

VSダークライ!! やっぱ同じこと考えてる人いたーーーーー!!
自分の名前を入力して両方プレイしろ わかりますね?

純愛担当ぽい弟が凌辱 よく首をしめてくる
凌辱担当ぽい兄が純愛 ぜんぜん首しめてこない

>ポケットモンスター 首しめてくる/首絞めてこない

アップデート版は何になるんだよw 首噛んでくる/首舐めてくる
いや、ホーリー/ダークとかにしてくれよ めっちゃゴロがいい>首しめてくる/首しめてこない
そういう対比はいらないんだよ! こう 絵師が同じなのが やばいやろ 対比が! 対比がよ!

>ポケットモンスター シュガー/ソルト

としぴろ/やぴろ 最終的には樋口兄弟じゃなくて最澄と結婚したいので最後は「たいが」
兄弟どんぶりは対比 はじまるぜ! ヘブンリールーレット!!

用語解説:ヘブンリールーレット 兄か弟かどっちの子どもを孕むかわからん恐ろしい状態

ヘルルーレットですよね? 地獄行きの超特急を味わええ!!!!!!!!!!

>大河はみそ

みそ!! 砂糖、塩、みそ!!!!! ポケットモンスター 味噌/醤油

ごし1連載当時(2005)のキャライラスト。なっつかしいいいいいいい!!
栄西1、栄西2(初期)絵師の斎の絵。古参は今のリメイクの絵よりこっちに馴染みがあるはず。

ituki2

御幸 1の主人公(御幸)がギャル男で2の主人公(辰真)がゆとり

masamune2

正宗 原作正宗は革の帽子をかぶっていました(獣耳を隠すためです)

saityou

最澄 今見ても平成で見ても服装がおかしい チャラ男=バンダナというのがわからない

kuukai

空海 なんで首元までかっちり隠してるタートルかというと首元まで焼き印があるからだよ

itukieisai

栄西 絵師が栄西派なのでいつも栄西だけめっちゃかっこよく描く うっすらビジュアル系

sinnrann

親鸞 延暦寺に必要なのは美脚のショタと汚いおっさんだという結論

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最初、四天王を上2人しか考えていなかったので栄西が「俺ぁ~ッスよ」って喋っていた
なんか江戸っ子べらんめぇ口調だった 



2のキャラデザは独り咲きクロッカスのほし氏 男性です
辰真 よく見るとこの星と全然デザインが違う って あっ 158cm!!?
この星で160cm超えてるって書いちゃった!! 158cmぃ!!!?
168!? どっちだ? よくみえない!!



栄西と108人の男達シリーズ なんとこの絵を完全に再現したシリーズだったのだ!
右上にいる「黒栄西」が出て来るのが栄西3(高遠芹は君が好き) なげえよ 20年かかってる!
腐れ女子の描く一遍ってほんといいよね こう 一遍に興味なさそうさが
そして腐れ女子の描く最澄ってほんといいよね なぜか少女漫画で かっこいい

ここから栄西1




つかこの星とかに出て来る朝廷最澄、かなり原作再現がすごいと思うんですよね
原作版↓ 縦に長くてすまん



原作一遍ちゃん キャラ人気ワースト1だったころ 174cmくらいにみえる



原作道元ちゃん こいつめっちゃ内臓出す これまじで一生言い続けたいんですが
延暦寺の制服って本来一色なんですよ なぜか全ての絵師が肩に謎の紫の部分を書く 全部紺だよ!
その紫のオシャレな差し色はなんなんだよ 腐女子すぐ衣装アレンジする!!



原作空海ちゃん なんだそのポーズ あきらかに空海ちゃん(真言宗) 正体がもろばれ



栄西1のキャッチ 本当に信じられないくらいクソほど一遍が嫌われた神ゲー>栄西1
栄西2出して10年経っても「なんでこいつで乙女ゲーを作ろうと思った」って年に30回は
言われる もうゆるしてくれ 素晴らしいだろこのキャッチ お願いだよ、君は君の好きな人と



栄西1の時からなんか知らんが私は一遍が好きで好きでしょうがない 理由はわからん
好きキャラと自分のイメソンを夢はすぐに考えがち ちなみにごし1リメイクで最澄の夢男子が
自分と最澄のイメソンにしていた櫻坂46の「どうして今まで恋をしてこなかったんだろう?」は
とてもとても素晴らしいと思いました わかる… 夢、イメソン作りがち…… わかる…



そして斎は栄西が好きすぎ 栄西だけを丁寧に書きすぎ



原作真魚ちゃん な? 空海は首まで焼き印が入ってるからタートルネックなんや



原作延暦寺制服 紺一色だって言ってんだろ!!!!! 誰も言うこときかねえ!!!!!!!!



原作後白河 腐女子の描く女子ってなんでこう 男子ぽいんだろう それがいい



ごし1最終回の頃
gosirakawa1116

ごし2第2回の頃 絵が! 絵が進化していない!!!!!!!

ria332

清水寺にある阿弖流為モレの碑 ゆるさん ゆるさんぞ朝廷>ごし1



原作御幸と正宗  あぁ……古き良きインターネット黎明期ってかんじ!!!



くっそなつかしい裏ごし御幸  なんと裏ごしは恋愛シミュレーションツクールで作っている



>栄西1の一遍は常時性格が悪そうな顔

コンセプトが私の好きそうな男だからです

原作でやたら出て来る「STM」って単語なんですがこれ、坂上田村麻呂という意味です
SakanouenoTamuraMaro

さかのうえのたむらまろってキーボードで打つとすごい指が絡まるんですよ
口で言ってもなんか難しいし、文字で書いてもわりと長い。
あと、なんか当時みんな坂上田村麻呂のことSTMって呼んでた 主に日本史学科が
読み方は「えすてぃーえむ」。えすてぃーえむで坂上田村麻呂って意味です!!

後醍醐天皇「はろぉ☆ あんたがSTM?」

訳→こんにちは。あなたが坂上田村麻呂ですか? 首をください!

最澄「俺の手の上で踊り狂え! STM!」

訳→俺の手の上で踊り狂ってください、坂上田村麻呂さん

【予告】

第三回まで終わった! 次は第四回! 栄西登場です!
ヤッターーーーー延暦寺キターーーー!!

//朝廷 玉座の間

後白河上皇「……そう……」

自分の他には誰もいない、寒々しい玉座の間。

そこで後白河上皇は、ライターをカチカチと鳴らし
手にした一枚の写真に火を近づけた。

後白河上皇「後醍醐ちゃんでも止められないのね。
      あの男、まさに外道……」

写真に映っている少年は、紺の法衣を着た見覚えのある少年。

……御幸が「最澄」と呼んでいる、茶色の髪の少年だ。

少年は、バンダナをしていない。
少年は、派手なアロハも着ていない。

地味で埃くさい僧衣を着て、……カメラに向かってピースしている。

カメラの向こうの少女に。
まばゆいばかりの笑顔で応えている。

後白河上皇「…………」

チリチリと、写真の隅から燃え広がって
次第に炭に変わっていく光沢紙。

煙草を探し、それから後白河上皇は半ば自棄(やけ)気味に笑う。

後白河上皇「こんな場所で吸うなんて、国の恥かしら……私……」
??『上皇さま……上皇さま……』

ジジッ、ジジ……

玉座の間に備え付けられた、古いスピーカーから音がする。

母礼『上皇さま。こちら母礼です』
後白河上皇「モレちゃん。どうしたの?」
母礼『後醍醐天皇様が征圧(やら)れました。回収(リムーブ)OKですか?』
後白河上皇「ええ。迅速(ラピッド)に頼むわ……」

//仙台松島 海岸線

空海「最澄」
空海「最澄大師、……頬をこちらに」
最澄「……?」

空海の声に、疑いもなく振り返った最澄は
彼がひゅっ、と白い手をあげたのを見た。

……パァンッ!!

手加減無しの平手打ちに、虚を突かれたのだろう。

最澄は赤く腫れてくる頬を、自分の顔を手でなぞった。

最澄「空海……?」
空海「あなたは。あなたは立派ですね」
空海「兄ちゃんは、立派な延暦寺の法師だよ……」
最澄「……俺は、」
空海「なんちゃって~☆ えへへへっ、痛かったぁ?
   ごめんねぇ。力加減間違っちゃった!」
空海「いいんだよぉ。僕達はずーっと!
   ……あやしい二人の琵琶法師だもん……」

//海岸 別の場所

母礼「…………」

牛車。そのすぐそばで、後醍醐天皇と坂上田村麻呂の戦いを
見ていた少年は……そっと自分の首に手を当てた。

朝廷の天皇、後白河上皇より賜ったボロボロの服。

それを一応汚さないように、後醍醐天皇の回収は他の者に任せた。

母礼「あんだけ大層な見栄きっといて、負けてやんの……馬鹿じゃん」
母礼「なにが後醍醐天皇サマだって? ……ぷぷ、ウケんだけど……w」

朝廷の人間なんて、バカばっかりだ。

バカか、クソか、……『ゴミ』。

後醍醐天皇『せいぜい文字通り、馬車馬のよーに働きな! ゴミ』
母礼「ゴミはお前だろw」

するすると撫でた首元に、傷跡がある。

後醍醐天皇が太いと感じたその傷が、少しずつ、少しずつ開いていく。

母礼「まあ……いっちばんゴミなのは」
母礼「母礼と阿弖流為を見殺しにしたあいつ。将軍、STM……」
母礼「あいつだけは許さない。『俺達』を騙して、謀って、都に誘って……。
   天皇に斬首させたあいつだけは、絶対……!!」

ずるり。

傷跡が完全に開くと同時に、少年の首は胴体と切り離され
別の生命体のように空に浮いた。

母礼「首がイタい。イタイ、田村麻呂のせいで斬られた首が……」

宙を移動する首は、斬首され晒し首にされた首。

生まれてから死ぬその日まで、身体にくっついていたはずの頭部。

母礼「…………」

後醍醐天皇の下の血の海、そして少し離れた場所にたむろしている4人の男達。

ギャル男、そしてやたらに身長の高い男、それからバンダナアロハ、オレンジのパーカー。

……彼らの上を、ウミネコにまぎれてぐりぐりと旋回しながら
母礼の首は歯を食いしばる。

母礼「俺、許さないから……。麻呂のことも」
母礼「俺を一人にしたアテルイのことも……」

千切れた首の断面から、血の尾を引き母礼の頭は舞う。

赤い軌跡が翼のようにひるがえり、その雫がぽたぽたと正宗の頭の上に降ってきた。

正宗「んっ……?」

生温かい、ケダモノの血だ。

それは平安。共に斬首された仲間の血。

母礼「……もう、誰も信じない……」

//御幸視点

御幸「ん? どした。雨降ってきた?」
正宗「いえ……何か、髪に当たって……」
御幸「天気雨ってやつかぁ? それか、狐の嫁入り?
   もしくは……あれだ。鳥のフン」
正宗「さすがにそれには気づくと思います……」

琵琶の音と、最澄の歌との影響が抜けた後、
……俺に残ってんのはなんか……。

自分が超かっこよく敵を倒して、
怯える正宗を守ったみたいな記憶だけだった。

正宗『御幸様……御幸様!』

顔面蒼白になった正宗が、敵を怖がってなのか
俺にすっごいしがみついてきてた……ような……?

御幸(ゆーて、アレじゃガチタックルでしかねーんだよな。
   今も、脇腹がヘンな筋肉痛になってっぞ……)

そんなハンデ(正宗のことな)を抱えながらも、
俺は最澄の協力で敵をやっつけた……っぽかった。

御幸(正宗に聞いても、詳細全然教えてくんねーけど……。
   なんもかんもがうまく行った的手ごたえはあんだよなー……)
御幸(正宗とか空海が言ってた副作用みたいなんも無かったし、
   悲しい記憶? とか思い出さないし)

いきなり、宇宙からミラクルな力がみなぎってきて、
戦える、やれるって万能感に満たされて。

御幸(喧嘩がつえーやつのキモチを疑似体験できたってゆーか。
   ちょっぴヒーロー気分だった気がする)

正宗がそん時の俺の話をしてくんないのは、やきもちだろう。

俺も戦えたんですよー! なのに敵を御幸様が全部倒しちゃって
俺の見せ場がありませんでした! ぷん! みたいな。

男のプライドってやつ。いわゆるね、一つの。

それを傷つけられて、不機嫌ってことならば
これ以上掘り返さないのがクールだと思う。

御幸(……とりま、最初の敵は倒せて良かった)

いつか、俺自身の力で今日みたいに敵を倒しまくるにしても。

……一人の犠牲も出さなかった、俺が倒したってーのは
ちょっと……どころじゃなく気分いい。

御幸(最澄にも、倒した敵とか見せてやろーっと)
御幸「で? 倒した敵ってのはどうしたらいいワケ?
   あのまま捨てて旅出るわけいかねっしょ。どーすんの?」
正宗「病院……ですかね。救急車はさっき呼びましたので
   怪我をした彼女を……」

そこまで言って、正宗ははた、と止まった。

正宗「御幸様……大変です」
御幸「ん?」
正宗「敵の姿が消えました」
御幸「どえええええ!? 逃げられてんじゃねーか!!
   せっかく俺が倒したのにさあああああああ!!」

//夜空

……それから、一日後。

//青空

空海「ま~ろ~さま~。麻呂様~!」

ウキウキとスキップを刻みながらやってきた空海に、
俺と正宗はそりゃもうビックリした。

御幸「おおッ!? お前ら、もうとっくに空飛んで京都に
   行ってんのかと思った! まーだトロトロしてんのか!?」
空海「えへへへ~」
最澄「……差し入れ。いらねぇ?」

ひょっこり顔を出した最澄は、
近所のスーパーの袋をこちらに差し出す。

最澄「鶏のセールだったからトリな。
   あと、てきとーに握り飯。スポドリに……お茶。緑茶」
最澄「京都までは約三日。食料ないとフツーに詰むし。
   空から俺らもゴイッショしたいな~?」
御幸「…………」
空海「それにしたってすごいですね。
   仙台松島にはびこる海のヌシ」
空海「王マグロを見事倒したんでしょう?」
正宗「………………」

ビチッ、ビチビチビチッ、ピチピチ。

説明するのを忘れてたけども、
実は、俺達は……3メートルくらいの王マグロ。

まだ新鮮で、うねうねしている本トロのマグロを
海岸線にて素手でとりおさえている状況で大変忙しかった。

後醍醐天皇の襲来を退けてから、
そりゃもうハンパねーことばかりが起こった。

そのへん省略してしまうけど、……現状だけ言うと。

一日がかりで王マグロを捕まえた俺達は
なんつーか……もう、魚の汁まみれだった。

王マグロ「マグマグ~ッ!!」
御幸「おあっ、あ、暴れんなっ、暴れんな!!」

俺は全身でべったりとマグロにのしかかり、
マグロ臭の中で目を閉じる。

御幸「しっかし? 俺の信じてた現実って一体
   なんだったんだろーな……」
御幸「はァ~……空飛んだり、マグロとか……」
最澄「?」
空海「?」

いつの間にやら、勝手に棒アイスを食っている最澄と空海。
そして……俺の分のアイスの袋を開けている正宗。

正宗「つまらないですか?」

その質問に、頭をブンブン横に振って答える。

御幸「いや、ちげーケドさ! おもしれーケド!」
御幸「でも、なんかもう泣きそー……みたいな?」
最澄「泣けば?」


→第四回に続く!

ぶちゅッ、と嫌な音が聞こえた瞬間、コギャルの両眼から
粘り気のある液体が噴き出した。

後醍醐天皇「ぎゃあッッ……! め、目潰しっ……!?」

コギャルがビクンと小さく痙攣し、のけぞったその時に
聞こえてきた音は……真下からの ドッ 。

坂上御幸……ギャル男が石の大剣めがけて足を振り下ろし、
それを天高く舞い上がらせた音だった。

後醍醐天皇「ま、前ッ、見えな……」

ズドン!

後醍醐天皇「……ぁ……、は、……あッ!?」

衝撃は遅れて来る。

胴を真横一文字に凪がれた少女は、察するまでに二秒を要した。

後醍醐天皇「え? 意味わかんな……! ちょ、タンマ、」

とてつもない重い何かが、自分の身体を一閃していた。

皮膚だけじゃない。その中の内臓も、鍛えた筋肉も、
まるごと一刀両断する何かが。

最澄「『最澄必殺☆ ムーブメントステップ』!」
後醍醐天皇(痛い……痛い、痛い……いだいいいいいい!!)

ぐらつく。まともに立っていられない。
琵琶弾きの少年の声がひしゃげる。これは何だ?

後醍醐天皇(あたしは今何をされた!?)

視力が戻って最初に見えたのは、青空だ。

後醍醐天皇(あたしはアテルイを見てたのに、)

ひっくり返されて天を仰いでいる。

御幸「『この剣は斬るものではないよ、アテルイ』」
御幸「『叩き潰すものだ』」

白い。……コギャルは二文字の単語しか思い浮かべられない。
白い、でかい、何か。石の剣、大剣、……エミシュンクル!

ゴッ……!!

後醍醐天皇「ギャアアアアアアッ!? ぎゃあああああっ!! ああああ!!」

10kgでは足りない程度の巨大な大剣が、
少女の顔面を真上から叩き潰す。

御幸「『ははは。蝦夷の頭領ともあろう者が。
    武器というものに、疎いのはいかんぞ?』」
御幸「(愛おしそうに)『本当に、お前は拳と牙ばかり使うから』」
正宗「……っ……」

ビチビチと土に飛び散る鮮血を、何の感情もなく見下ろしたまま
ギャル男は剣を振りかぶる。

手首を傾け、石の大剣の柄を握ったまま。
それを何度も何度も振り下ろす。

後醍醐天皇「……は!? ありえないんだけど、な……、ああああああっ!?」

ゴキャッ、ドギャッ、という鈍い音が……少女の顔面からの出血にまみれ
どちゃっ、ぶちゃっ、と汚い水音に変わっていく。

……誰も。そこにいる誰一人として、反応することができなかった。
声を発することも。その惨状を止めることも。

後醍醐天皇「ひぎゃッ!? お゛っア゛っ、あっ、ああああ゛っ……!?」
正宗(圧倒的な力の差)

なんとか顔をかばおうとして、手をかざせばその腕ごと。

立ち上がろうと転がりかければ、その腹を蹴り飛ばし、
戒めといわんばかりに逃げる背を。

美しい石の大剣は潰す。執拗に、何度も、何度も、骨が砕けても。

後醍醐天皇「タン、マ……タンマ!! 待って! 待って待って!!」
正宗(俺の中で見ているアテルイが、何度も何度も叫ぶ)
正宗(やめてくれ。もう、やめてくれ……)
後醍醐天皇「……は……?」

自らの額から噴き出す鮮血を、細い指で拭い取り……見つめる。

コギャルは目を見開き、……それから反撃を試みた。

後醍醐天皇「くそ野郎……」
後醍醐天皇「クソ野郎っ……クソっ! クソ、クソ、クソ!
      男ごときが……男の分際で! クソぉおおおおお!!」
御幸「『はっはは』……」

素早い蹴りを剣で止めた彼は。
『坂上御幸』は、目を細め……甘く微笑む。

御幸「『そうだそうだ、忘れていた』」
御幸「『エミシュンクルは、二本あるのだったな?
    使こうてみよう。……それで、死ぬかも知れんしな』」
後醍醐天皇「……!」
正宗(初めて見た。STM……まるで無邪気な子ども)
正宗「これが……? これがアテルイが信じた男なのか……?」

//最澄歌唱

最澄「秘められしルーツ 踏みしめろブーツ♪
   手にする刀はそれ2つ♪」

正宗「歌を止めろ、最澄……!!」
御幸「……ま、さむね……」

小さな、小さな声が聞こえた。

それが前方。後醍醐天皇をボコりまくる坂上御幸から。

麻呂「正宗!!」

後方。アテルイの記憶の坂上田村麻呂から。

御幸「まさ、むね。止めてくれ、これ……これ、止めて、くれ」
御幸「俺……俺、女の子、女の子の顔、カラダっ……はは、あはは、はは」
御幸「壊してる……。なあ? こんなん、もうお嫁にいけなくなっちゃうだろ……?
   なあ……っ、こんな、顔からすっげ血が出てんだ、さっき骨何本か折った……」
麻呂「正宗! 制御できていない! 御幸が壊れる!!」
麻呂「琵琶法師に操られている! 俺ではない俺の物語で……!!
   改変された坂上田村麻呂を……あいつに都合のいい坂上田村麻呂を詠われている!
   手が出せない!!」

歌。

最澄の歌に操られるその感覚を、シュムンクル・サンクス・正宗は
一日だって忘れたことはない。

正宗(転生極地。非力なギャル男の器では、受け止めきれない!!)
正宗「御幸様っ、俺が今……!」

後方彼氏面で、離れた場所から。

……安全地帯から人を操り、嬲るあの男。
最澄を止めてみせます。そう言おうとした。

御幸「…………」
御幸「『直、楽になる。慌てるでない』」
正宗「ああっ……!!」
アテルイ「正宗! あの人にもう人を殺させないでくれ!」
正宗「御幸様! 御幸様!」

コギャルにとどめを刺すことを決めた御幸の、
その身体に正宗がタックルを食らわす。

……なのに、たった160cm。
160cmちょっとの身体が、192cmで動かせない!!

正宗(かた……い!)

御幸の服がよれ、正宗の手でいくら引かれても
その威風堂々とし立ち姿はみじろぎもしない。

正宗など見えていないかのように、目の前の少女に
冷たい声で問うだけだ。

御幸「『さて……どこに慈悲が欲しいのか、言うてみよ』」
後醍醐天皇「ひっ……ひぃっ……」
御幸「『どうやって楽にしてほしい』」
後醍醐天皇「く……び、首に……」
後醍醐天皇「(笑い)首、に……お願いしま……す」
正宗「駄目ですってぇ!!」

御幸本人が動かせないなら、もうエミシュンクルを破壊するしかない。

正宗が石の大剣を鷲掴みにすると、ギャル男は不思議そうにきょとんとした。

御幸「なぜ止める?」
正宗「なぜ!? なぜじゃないでしょうっ、あなた、
   あなた……最澄に操られてます!!」
御幸「『こやつらは朝廷。お前と俺を嘲笑い、貶めた敵ぞ?』」
御幸「『アテルイ。俺は思うんだよ。あの時天皇なんて、
   朝廷なんて、』」
御幸「『皆殺しにしてお前達を守れば良かった』……」
御幸「『ごめん……ごめん、ごめんなあ……。ごめん、
    ごめん、ごめん、……ごめん、ごめん……』」
正宗「御幸様ぁ!!」

後醍醐天皇を突き飛ばし、坂上御幸から距離を取らせる。

そうして、そのまま正宗は……御幸がこれ以上剣を振るえないよう、
余計な動きを封じるために、がしっと両腕で抱きしめた。

正宗「もう大丈夫です、もう大丈夫です! 俺達の勝ちです!
   もう戦わなくてもいいんです……!」
正宗「もう戦わなくていいんですよ、御幸様!
   あなたは坂上田村麻呂なんかじゃありません!」
正宗「御幸様です、御幸様なんです……!」
御幸「…………」

つう……、と御幸の頬を一筋の涙が流れた。

けれど、御幸の身体の硬直は長く。
解ける日なんて二度来ないと思えるほどに強く。

御幸「俺、誰も殺したくないよ……正宗……」

二本の足でその場に立ったまま、その目はまだ遠くばかりを眺めている……。

//別の場所

結界が崩れ、後醍醐天皇が地面に倒れてぴくりとも動かなくなった。

……その、あまりに悲惨な初戦の勝利を見届けた後で
やっと。

ようやくと言える時を経て、
最澄を名乗る少年は琵琶の弦をつまびくことをやめた。

最澄「……正義のための戦いだ。そうだろ? 麻呂様」
最澄「奪われたものは全部、取り返しにいこうぜ?」

//御幸正宗

御幸(琵琶の音が、ずっと止まない)

満月の下、アテルイの前で……こうして同じように立ち尽くした日のことを思い出した。

部下『将軍。蝦夷の討伐に成功しました!』

大きな、大きな川に浮かぶ死体、死体、死体、死体、死体。

獣の毛皮をまとった「鬼」達の。
蝦夷の死体がどこまでもどこまでも広がっている。

……京(みやこ)に戻ってからも、いつも、この風景を。
光景を何度も夢に見る。

麻呂『どうして殺した?』
部下『……え?』
麻呂『俺が阿弖流為(アテルイ)、母礼(モレ)と戦っている間。
   どうして他の蝦夷を殺した?』
アテルイ『麻呂。仕方のねぇことだ。俺もたくさんの朝廷軍を殺した』
アテルイ『こんなもんじゃねえよ、もっと殺した。
     もっともっともっと殺した』
麻呂『……』
アテルイ『戦争なんだ。仕方なかった』
麻呂『仕方のない死などないよ……』
麻呂『仕方のない死などない……!』

戦いは、まだ始まったばかりだったんだ。

後醍醐天皇が正宗にやったのはこれ フランケンシュタイナー
ギャル・デ・ギャルソン



0:25秒あたりから これを文字で説明するのがきつい
普通のシュタイナーではなく、首に足を絡ませる→敵ごとジャンプ→落下シュタイナー
当時必殺技名をリアルタイムでものすごい適当に決めていたので
冷静になって後で困ることがよくある 

//結界内 仙台松島海岸線

……ゴッ!!

後醍醐天皇「チッ……!」

千切れ飛んだ空気の欠片を縫い、後醍醐天皇の蹴りを受け止めたのは
……シュムンクル・サンクス・正宗の右手だった。

御幸(目にも止まんないスピードで、正宗が駆け込んできて……)

力任せにコギャルの足首を握りつぶし、
そのままぶんっと女体を遠方に放り投げる。

正宗「……させません。貴女の相手は、俺が致します」
後醍醐天皇「いたっ! イタタタ……!」

コンクリートの道路に投げ出され、尻もちをついたコギャルは
腰をさすりよろよろと起き上がる。

その途中、何かを不意に思いついたのだろう。
大きく片足を振り上げて……ブンッ。

振り子の要領で、全身ごと跳ね上がる。

後醍醐天皇「いーち、にー、さーん……。よっ!
      はいっ……とーーーーちゃく~~~」

ずざっ……、と地面に半円を書いて着地した少女は
好戦的な笑みを浮かべ……正宗を値踏みするみたいに見定める。

後醍醐天皇「別になんでも受けてたつけど~……」
後醍醐天皇「めっさ後悔すんゾ☆」

ぐぁっ……!

左脚。太ももから膝、そして腿に足の甲。

コギャルが自らの左の脚に付随する全てのパーツを一度に持ち上げると
……そこに湯気みたいな、オーラみたいな『気』が揺れ始める。

正宗(脚を使った武術の達人……!)

貧弱ともいえる上半身の、肉付きの悪さとは好対照に
少女の下半身。それも両脚の筋肉量は尋常のものではない。

そして卓越した足技を補強するかのように装備されたロングブーツ。
おそらくは、とてつもない重量の……鉄だ。

数キロの鉄をアクセにして、少女は自由に地を泳ぐ……!

//後醍醐天皇カットイン
//筆文字 『朝廷大幹部 後醍醐天皇(吉ヶ野美晴)』

後醍醐天皇「止められるもんなら止めてみなよ。……ほら」

トンッ、と大地を蹴ったかと思えば、コギャルの脚の両方が
するっ、するりと音もなく正宗の肩から首を絡め取る。

御幸「ご! 5メートルは離れてたのに……瞬発!?」

消えたとしか思えなかった。

消えて、また現れたと思ったら……正宗の上にいた。
それは神業としか言えない超スピード移動。

正宗「俺がっ……スピードで負ける!?」
後醍醐天皇「『ギャル・デ・ギャルソン』!」

190cm以上の背丈を持った正宗の、更にその一段上。

2m近い上空でギュルンッと身体をひねり……。
腰を回して跳ね上がる。

正宗「……!! っぐっ……うあっ!」
御幸「嘘だろっ!?」

少女は宙に舞った。
俺が想像した王マグロの襲撃みたいに。

その身をよじりきり、正宗ごと空に舞い……。
空中で大きく真下に落下する。

……ドンッという深く重い衝突音と共にキマったのは
あまりに上質なフランケンシュタイナーだ。

正宗「! プロレスっ……ルチャ使い!?」

激突の瞬間、正宗が受け身を取ったおかげで
さしたるダメージは見当たらない。だけど。

大男を、コンビニ襲撃の時には樋熊(ヒグマ)にすら見えた正宗を。
両脚2本でこの地に叩きつける少女の存在は、恐怖だった。

後醍醐天皇「はろぉ♪ あんたがSTM?」
御幸「ひっ……! あ……、あ、そ、そのっ」
正宗「……御幸様!」

俺に細い指を向けたコギャルの後ろ。

そこから正宗は大きな声で叫んだ。

正宗「エミシュンクル! 借りますよ!!」

かぶっていた革の帽子が脱げ、正宗の瞳からまた鮮血が流れ出す。

完全に戦闘モードに入った正宗は、俺がずるずる引きずってここまで
持ってきていたエミシュンクルを……二本の石の大剣を奪い取る。

そして、それをぶんっ! ぶんっ、と別々に片腕ずつで構えた。

正宗「『熊を取る鮭の動き』」
後醍醐天皇「ぷっ……♪ まーだわかんない? アテルイ」
後醍醐天皇「あたしとアンタじゃ……スピードが違うのよ」
正宗「……!!」

エミシュンクルともども、コギャルめがけて直進した正宗が
斬り飛ばしたのは……ただの空虚だった。

そんでもって。あれ……あれ? なんで?
俺っ、俺……俺の真後ろで。耳元で囁く声が聞こえる。

後醍醐天皇「はーいはい、武器離して……?」
御幸「ぎゃあっ!!」

するんっ、と正宗の首に足をかけた時と同じく
……少女は両腕で俺の首を絞め上げる。

御幸「ぐううううう!?」
後醍醐天皇「このまま、首折って引き抜くぞクソ蝦夷!」

女の子に真後ろから抱きつかれるなんて、初めてだった。
けど、これは……これはなんか違う。サバ折りですらない。

手加減無しで、首の骨を砕こうとしてくる本気のホールド……!
ミシミシミシ、と頭蓋骨までもが割れそうな音を発する。

後醍醐天皇「武器を。離して。聞こえなかった?」
御幸「イデデデデデデ死ぬっ、死ぬ、首飛ぶっ、首飛ぶうううう゛!!」
正宗「なるほど」

ぱっと正宗がエミシュンクルを手放すと……数秒遅れてガランガランと音がした。

さりげなく、俺の足元に近付けて放ってくれたらしい俺の武器。

けど……けど、俺は、自分の足に触れそうな距離のそれを
拾う事なんて到底不可能だった。

御幸「血、が……あっ。血が……せきとめられ、て……」

目の前がかすむ。真っ白に塗りつぶされていく。

いい匂いがする。これって香水?
女の子の、甘い香り……。

御幸「女の子が、こんな……怪力で……。あっ……あっ、
   ああああああああ……!!」

なんとか、腕力で首に巻きついた腕を外そうとしても
……ひっかからない。

すべすべの腕、毛穴1つないキレーなコギャルの腕には
爪を立てても……それを取り除く方法は見えなかった。

正宗(どうする……? 人質を取られた……。
   このまま御幸様を連れては逃げられない……!)
正宗「初戦から中ボスクラスですか……」

頑張ったり、アイテム使えば無事逃亡出来るクラスではない敵。

……正宗曰く中ボスってのは、そーゆーレベルの相手なのは間違いない。

後醍醐天皇「どーかな? このまま最後に目にする敵になるかも……♪」
正宗「…………」

まさに初めての絶体絶命。

その時だ。

最澄「『転生極地』! 対象、坂上御幸!
   インストール、坂上田村麻呂!!」

その時、辺り一面に最澄の琵琶の音がした。

後醍醐天皇「何? この音……!」

//最澄歌唱

最澄「今立たず 役立たず 一生汚名着てくのか?
   わかってるフリ 寝てる不利♪」
最澄「そんな自分振り切れ Yeah 全部ぶっ壊せ♪」
正宗「……最澄大師……」
御幸「…………」
御幸「………………………………ぁっ……?」

眠気とも少し違う。
”身体から、抜けちゃいけねえ力が根こそぎ抜ける”この感覚。

ガクン、と頭が垂れて俺の口元から大量に涎と泡が湧いて出た。

御幸「お゛……、ぉ、お……っ、お゛……ぁっ……」
空海「やめてっ、やめて最澄……!」
最澄「さァ、俺の手で踊り狂え! STM(坂上田村麻呂)!」
御幸「おあ゛……ぁ、あ゛……えろ゛ッ……」

手足から。胴から、脳から全てから力抜けて気を失う。

おびただしい量の吐瀉物をこぼした俺が気絶したことを
その腕で感じ取ったコギャルは、ホッと安堵の息を吐いた。

後醍醐天皇「な、なんだぁ。何が起こるかと思ったら自滅じゃん☆」
御幸「…………」
後醍醐天皇「キャハハハハ! おねーーーさまに逆らうやつはぁーーーーー!!」

ヒュパッ、という小さな切断音だった。

後醍醐天皇「あっ?」

御幸(待てよ。ここまで正宗が強く言うんなら
   ……何か意味があるのかもしんない!)

例えば……例えばこうだ。

松島の海には、王マグロと呼ばれるマグロの王がいる。
……いわゆるヌシ、海の主ってやつだな。

そいつがもうすんげ―強くて、でかくて、この海岸とか
近くの町とか漁師の舟とかを襲ってるとする。
昔話によくあるパターン。あるある。

哀しみに沈む松島の人々を救う為に、
俺は王マグロと戦う。

鋭い牙を剥き出しにして俺に襲いかかる王マグロ。
数百キロはゆうにある、ヌメった巨体が宙を舞う……!!

脳内の御幸『……来い! 松島は俺が守る!!』

そして華麗にマグロを御した俺は、最澄よりも強くなり
仙台松島の英雄となるわけだ。

王って呼ばれてるくらいなんだから、王マグロなんか
一撃で倒しちゃったら……アレでしょ。レベル……。

レベルアップとか、すごいするでしょ。経験値がすごいとかで……。
最澄が仮に30レベルとすると、50はいくでしょレベルが……。

御幸「俺を……強くするために……?」
正宗「違います」
御幸「違うの!?」
正宗「なぜならば……。昔貴方に殺されたことを!
   俺とアテルイの二人が恨んでいるからです!」
御幸「嫌がらせか!! 金はあんのか!!」
正宗「てゆーか、千年前に言われたんですよ。
   アテルイが。坂上田村麻呂に」
正宗「『蝦夷(えみし)の頭(かしら)は何に乗るんだ?』
   『ああ、そうか。きっと魚だな』、マグロだろうか……って」
御幸「さ、坂上田村麻呂!!」
正宗「なので、これでチャラにしますよ」
御幸「え?」
正宗「……これはアテルイからの、千年後のあなたへの嫌がらせです」

正宗は腕を組み、遠い目をして平安時代の思い出を語っている。

正宗「あははっ! 因果応報ですよ!」
御幸「し、しっかたねーな……。身に覚えねーケド!」

……あんま、正宗が嬉しそうだったから俺も笑ったけど。

もしかしたら、この旅。簡単に引き受けたの、失敗だったかなって思った。

御幸(暇だったんだ)

暇だったんだ、本当に俺……。
何にもなくて、からっぽで。

御幸(お前らアヤシイって、何度も何度も思ってたのに)

嬉しくて。初めて誰かに、マジに必要とされてうれしくて……。

正宗『あなたが必要なんです! 御幸様……!』

……つるんでバカやってる陽キャ。
イチャイチャしながら仙台駅でキスしてる恋人たち。

手を繋いで歩く中高生、忙しそうに働くリーマン。

俺にはそういうの、なんもなくて。1個もなくて。

//フェリー場別の場所

空海「……うん。これでいいね。最澄、バンダナ外して」
最澄「…………」

風が強くてよく聞き取れねえけど、
ちょっと離れたところで空海と最澄が何かを話している。

なんか、兄弟みたいに仲睦まじいつーか、
たぶん……あいつらにもあいつらなりの絆みたいなもんが
あるんだろう。

空海「…………栄西………連絡」
最澄「寺の………………親鸞様…………玄関……」
最澄「申し訳ありません………………空海様、手をわずらわ…………」
御幸(お!?)

//最澄立ち絵(バンダナなし)

背伸びして最澄の頭のバンダナの結び目を、
空海が甲斐甲斐しくほどいてやっている。

御幸(最澄ってバンダナ外すと、なんか……かっけーな。
   なにげ、真剣にイケメンつーか……)

理由は全然思いつかねーけど……。
無理に全力で……ふざけにふざけてチャラけまくって。

イケメンなのを隠そうとしてる感じが、しなくもない。

御幸(あれか。女関係でモメてるとかかな?)

それか、顔が良いのがバレるとまずい知り合いが松島とかにいるとか……?

空海「……?」

俺が見ているのに気づいたのか、空海がぱっと手を上げて
ひらひらこっちに指を振ってくれる。

空海「麻呂様~! 話はまとまりましたかー?」

最澄から剥ぎ取ったバンダナを、ぱぁん! と空海が
音をたてて広げてみせる。

空海「こっちは準備万端ですよ! ほらっ、見てくださいバンダナでーーす!」
御幸「っぱバンダナで飛ぶんだ!? やめとけば!?」
空海「えへへへ! いいんですよっ、僕らはこれが楽なんです~!」
御幸「へー、おっかねー……」
正宗「さて。俺達もそろそろ準備をはじめましょう」
正宗「王マグロの出現場所は、時間と日によってまちまちなようです。
   ですが、地元の方々に聞けば大体どこに出るかはわかるとのことで」
正宗「俺が、何人か松島の方に声をかけてみます。
   ですので、御幸様はゆっくりここで待っていてください」
御幸「や、俺も行く。いちお自分の地元だからね?
   ……なんつか、その……マグロとかの話は初耳だけど……」
御幸「マグロ以外のことだったら、お前に教えてやれると思うし……」
正宗「ありがとうございます」

ぺこりと頭を下げた後、正宗は気分を良くしたのだろう。

……俺達のすぐそばを歩いていた、小麦色の肌をしたコギャルに声をかけた。

正宗「あ! あのっ、すみません! このあたりに、巨大なマグロが……」
御幸「おいおい~。その人は俺らの地元の人じゃ……」
コギャル「……はーい~☆ 京都行きの、王マグロですよねェ~?」

声をかけた正宗じゃなくて、俺をコギャルが見据えた。

御幸「……?」

傷んだ茶髪に、真っ赤なでかいハイビスカスをつけたコギャル。
マスカラを何度も塗り重ねた、もーバッサバサに分厚い睫毛。

コギャルは、この暑い中……妙にゴツくてイカチいロングブーツを履いていて……。

コギャル「それには~、かなーり詳しかったり……しますゥ~~~」
正宗「御幸様!!」

びゅううううっ……!

風という風が荒れ狂い、正宗の声より早く
コギャルの片足が俺の頭部めがけて放たれる!!

御幸「うっ、ぁっ、あああああっ!?」

柔らかく、バネのある肢体から放たれる一撃。

ゴォッと耳元で凄まじい風の音が爆発し……。
コギャルが地面に片手をついて、体勢を変えるのが見える。

御幸(全力での、全体重をかけたハイキック……!!)

じゃらじゃらと重りをつけたロングブーツがうなり、
風を切って俺の首筋めがけて降り注いでくる……!

//最澄空海視点

ドンッ!!

……空気が炸裂したような音が響き、最澄と空海は同時に御幸の方を向いた。

最澄「来たか……! 後醍醐……!」
空海「に、兄ちゃん……朝廷、朝廷だ!
   牛車があるよっ、囲まれてる……!!」
モレ「…………」

陰気な少年が、チリーン……チリーンと手にした鈴を鳴らしはじめる。

そして海岸線に集う、一台の最新型牛車に……それを守護する数十匹の馬たち……。

それらがびっしりと御幸、そして正宗の周囲に円を描いて線となり
……外からの乱入を許さぬ絶対領域を展開している。

空海「それにあの光……結界……。内側から閉じられちゃったぁ!!」
空海「ど、どうしようっ、どうしよう兄ちゃん!
   僕達が離れた場所に移動なんてしたから……っ」
最澄「どうしよう!? 決まってんだろ……!」

すぅっ……。
最澄は静かに息を吸い込み、自身の背より琵琶を引き抜く。

空海「最澄!?」
最澄「近づけねぇ!? それがなんだよ、逆に好都合だっつぅのっ……!
   本人に直でかけらんねーのはもったいねえが!」
最澄「(半笑い)……『転生極地(てんせいがきょくち)』!!」

ブゥンッ……!

最澄の足元に金色の魔法陣が浮かび上がり、
その腕で、手首で数珠が鳴る。

最澄「対象……坂上御幸、フリーター!
   転生極地……坂上田村麻呂!」
空海「やめてっ……やめて最澄!」

//最澄歌唱

最澄「坂上田村麻呂が転生極地♪ 坂上御幸に下りたまふ♪
   悲しみの橋越えたもう……♪」

じゃらっ、と音を出しながら最澄の手の周辺で数珠が踊る。

どこまでも、どこまでも……その歪(いびつ)な琵琶の音は
仙台松島の海岸線に鳴り響く……!


→第三話に続く

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