赤い公園 – 亀田誠治、蔦谷好位置、蓮沼執太、そしてKREVAまで! ニュー・アルバム『猛烈リトミック』について津野&佐藤にインタビュー。

赤い公園

赤い公園が秘める可能性をリアルに見せたシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」を前触れに、ついに登場した2ndフル・アルバム『猛烈リトミック』。キラキラと煌めくポップ・チューンが想定外のアレンジで彩られ、初体験のサウンド・スケープへと誘う。亀田誠治、蔦谷好位置、蓮沼執太をプロデューサーに迎え、KREVAとコラボするハイ・クオリティなラインナップに爆弾ジョニーも紛れ込み、振れ幅広く弧を描くブランコさながらに楽しませる15曲。これは光なのか闇なのか。かつて白か黒かと問うた赤い公園からの、新しいメッセージだ。

3ページ目には亀田誠治、蔦谷好位置、蓮沼執太からのコメントも掲載!

INTERVIEW & TEXT BY 今井智子


学びながら作ることで、いいものができる

──先行シングルになった「風が知ってる」「ひつじ屋さん」「絶対的な関係」は破壊力のある曲ですけど、それに負けず劣らず、でもバランスのいい並びで15曲、素晴らしいですね。

津野米咲 うれしい! ありがとうございます。

──津野さん自身がプロデュースした曲もありますけど、シングルからの亀田誠治さんのほかにもプロデューサーさんが入ってますね。蔦谷好位置さんと蓮沼執太さん。その経緯を教えてもらえますか?

津野 去年、亀田さんと、というお話をいただいて、やっていくなかで、自分じゃ気付かない細かいところに気付く人がプロデューサーさんなんだなって。なおかつ、自分が細かくなりすぎちゃったときに、大まかに音楽的に聴き手の気持ちになって考えてくれる人のことなんだって。だから自分が神経質にならずに済んだというか。自分たちの演奏も、自分たちの脳ミソで追いつかないところまで考えようとしてたところを(笑)、みんなで、まず自分の100%を出そうという現実的な部分になっていて、それがちゃんと音にも表れていて、結果すごく激しい、強烈で猛烈なシングルになったんです。「風が知ってる」とかは、ゆっくりな曲ですけど曲の持ってるテンションは高いというか、そういうシングルが続いたので。誰がプロデュースしてるとか誰が編曲してるって、聴く人には本当は関係ないところで、結果的にすごくいいものになってるな、これはまだ自分たちだけじゃできないヤツだなって思って。で、アルバムを作るってなって、“学ぼう!”と。学びながら作ることで、いいものができる。今の私たちは、学んで作っていいものができるんだっていうのをシングルで体験したので、アルバムでもやってみようかなって。それで“リトミック”とつけました。

──“リトミック”って音楽教育のひとつですけど、津野さんもやってたのかな?

津野 やってましたやってました。ヤマハに通ってたんで。

──それで“学ぶ”というテーマに?

津野 それに、学んで体現したものが、自分たちから学びたいという人たちへの提示になるかなと思って。これを聴いて、知らず知らずのうちに、“これ面白い!”っていい勉強になると思うんで。自分たちもめっちゃ勉強になりましたから。亀田さん蔦谷さん蓮沼さん、音楽の先人たちはすごいんだぞっていうのが伝わるかなと思いますね。バンドマンとか音楽やってる人たちにも。

──そうでしたか。“学ぶ”ということで、プロデューサーさんたちを“先生”と呼んでいたそうで。

津野 そうです。あとは、すでにあった3曲が、それぞれ全然違う方向にテンションが高いシングル曲だったので、ほかも1曲1曲ていねいに、その曲が行きたがってる方向にバアーッと連れていくっていうイメージで作れば、全部猛烈な曲が集まると、ちゃんといいアルバムになるだろう、と。ちょい勇気のいる考えだったんですけど。それで“猛烈リトミック”になりました。

ずっと「ファンキー釈迦ソング」って言ってて

──蔦谷好位置さんと蓮沼執太さんも、赤い公園サイドから一緒にやってみたいと?

津野 はい。「お留守番」に関しては、こういう方向だったら蓮沼さんがいいなあと話してて。もっと管(楽器)を入れて、みたいのもよかったんですけど、もともとエレクトロの感じだったので、ぜひ蓮沼さんでって。今ニューヨークに住んでいらして、打ち合わせとかは全部Skypeで。

──かっこいいですね。

津野 最後にそのSkypeをMac Book Airからモニターに出して、そこで記念撮影(笑)。
佐藤千明 みんな指でハートマーク作って(笑)。
津野 それも紹介してすぐですよ! 私が(ほかのメンバー)皆を紹介しますって呼んで、ちょっとトイレに行っている間に、もう仲良くなって撮影してた(笑)。
佐藤 チャーミングな方なんで。
津野 エンジニアさんは葛西(敏彦)さんという蓮沼さんとよく作業されている方で、レコーディングはゴンドウ(トモヒコ)さん。秋葉原のゴンドウさんのスタジオと、蓮沼さんがいるニューヨークのスタジオと、池尻を繋いだミックスだったのでいろいろ大変で、葛西さんがぼそっと、「普通にやりてえ」って(笑)。

──電脳時代ならでは(笑)。蔦谷さんはどうでした?

津野 蔦谷さんの作る曲とか大好きで、頭の中どうなってるんだろう!? と思ってたんですよ(笑)。だからいちばん明るい曲といちばん暗い曲をお願いしようと思って、「NOW ON AIR」と「ドライフラワー」を。あと「108」。

──「108」は、3月にLIQUIDROOM恵比寿でやった自主企画イベントで演奏してましたよね。

津野 そうです。あのときはまだ自分たちだけでアレンジしてたんで、すごいタイトなドラムから歌で始まるんですけど、そこがすごいゴーストノートが入ったルーズなリズムになって。どうやって思いついたんですか? って聞いたら、「お釈迦様が首を前に出してノリながら木魚をこのリズムで叩いたら面白いなって思った」って。そこからアレンジができたって。それで「108」を録ってるとき、ずっと「ファンキー釈迦ソング」って言ってて。「ドライフラワー」は自分たちでやったものとそんなに変わらないですね。「NOW ON AIR」はめちゃくちゃアレンジ詰めていったんですけど、ガラッと変わりました。でも蔦谷さん、「ドライフラワー」をやったとき、もう「NOW ON AIR」のこと忘れてたんじゃないかな、音量差、こーんなだもん(笑)。

──(笑)曲によって全然やり方も違うんですね。

津野 そうですね、私たちも、メロディできました、歌詞できました、よろしくお願いします、っていうのは格好がつかないと思ってて、今までも自分たちでやってきたし。だから自分たちがやってきたなかでの100%はこれです! ってアレンジまで持っていって。私が作ったデモの段階と、みんなでやったリハ音源を一緒に送ってお願いする、一緒にやっていくっていう作業にしたいなって、生意気ですけど、そう思っていて。

──津野さん自身がプロデュースしてる曲もあるってことは、亀田さん蔦谷さん蓮沼さんと同じ土俵に上がるわけじゃないですか。その辺で力が入ったりしませんでした?

津野 どの曲をどの人にっていうのも迷わなくて、自分に振る曲も迷わなかったんですね。これはこのままでいいや、みたいな曲を自分はやったので。今言われてめちゃ緊張してきました(笑)。何も考えてなかった。

──自分でやったのはどんなことをポイントに?

津野 「木」とかは前からあった曲で、デビュー前にバンドでプリプロしてたから。それで最後ひとりでめっちゃピアノ足すみたいな感じだったから楽でした。私がやった曲は、皆で組み立て直したという感じですね。今回はギターをひとりで弾かないで、せーので録った曲も多い。そこがいちばんガラッと変わったところかもしれない。

魂を、みたいな。「入れろ!」って。

──そういう変化は佐藤さんから見てどうですか?

佐藤 すごい、頑張ってるなあって。
津野 そうそう、大変なんだよね。絶対あたし、今うまくいったのに、お前マジで? とかありますからね(笑)。でもライブとか、ひとりがうまくいってもしょうがないもんね。
佐藤 そうだね。でもみんなで合わせるのをすごい大事にしてるプロデューサーさんもいて、その意味が、皆で音を合わせるとわかる。バンドっぽいっていうか一体感も生まれるし、流れに勢いが出るっていうか。すごいよかったなって思うし、すごく『猛烈リトミック』という盤に合ってるなと思います。

──歌に関しては、どんなアドバイスを?

佐藤 お三方それぞれ違うんですけど、亀田さんはすごく歌心を大事にされる方で、私のいいところをすごく引き出そうとしてくださるし、「もっとできるもっとできる」って。
津野 熱血だよね。
佐藤 うん、すごくわかりやすいから、燃えました(笑)。「誰かが言ってた」「いちご」とか「サイダー」とか、すごく優しい歌になったと思いますね。で、蓮沼さんの曲は、エレクトロで、今まで私が歌ったことのないニュアンスの曲だったから、これもそういう意味では歌いやすくて、好きなように歌わせてもらったって感じですね。蔦谷さんに関しては、「入れろ!」としか言わないから。「ちーちゃん、入れてこ!」って。

──何を?

佐藤 魂を、みたいな。「入れろ!」って。もう、1回歌ったあとに、「Aメロの裏声になるところ、もう少しだけ入れてみよう!」って。でもなんか、その言い方とか、蔦谷さんのお人柄とか振る舞いとか空気の作り方で、「入れろ!」っていう意味が、言葉なくても伝わって。もう入れられましたね(笑)。「ちーちゃん、入ったね!」「たぐりよせたね!」って(笑)。お三方とも個性的で楽しかったですね。

“残りの半分は本気”だよ。悪い男だなあ(笑)

──ところでKREVAさんが参加した「TOKYO HARBOR feat. KREVA」は、彼とのコラボを想定して作った曲?

津野 実はデビュー前からあった曲で、ライブでもたまーに、間奏の部分はもっと短いですけど、やってて。東京湾のあたりをドライブしてる男女の歌なんですけど、100%物語があるとしたら、女の子目線からの50%しか書けてなかった。男性目線がほしいなあ、男性の声がほしいなあと思ってKREVAさんにお願いしたら、やってもらえることになって。男性って考えてるなあって、ほんっとに素晴らしい歌詞ですよね。

──彼にお願いしたのは?

津野 私たちメンバーは高校一緒で、高校の昼休みは毎日KREVAさんが校内で流れてるぐらい、みんな大好きで。私も卒業して自分で歌詞書くようになって、さらに好きになって。なんて頭のいい人、なんてセンスのいい人ってずっと思っていて。まさかねえ、やってもらえないんじゃないかなあって感じだったんですけど。レコーディングのときも直前までお忙しいから難しいかもって言われて、でももしかしたら、って、間奏をずっと長回しして待つっていう(笑)。

──じゃあ以前と全然違う曲になったような感じ?

津野 頑張っても描ききれなかったイメージにまずなって、それをはるかに凌駕してきています。だって東京湾ひとつで、こんなこと思いつく? そこはホントに勉強になりました。
佐藤 “残りの半分は本気”だよ。悪い男だなあ(笑)。

──佐藤さん、同じ曲で歌っててどうですか?

佐藤 いやあもう、KREVAさんの独特のリズム感だとか、歌詞をこちらが読んでなくても何を言ってるかわかる感じとか、すごいなあと思って、ラップなのに。この曲はアダルトというか、大人の恋愛だなという印象があったんですけど、私は自分の歌い方のクセとかに、まだちょっとあどけなさがあって、もうちょとアダルトな声で歌ってみたいなあと思ったんで、寝起きの声で歌ってみたんですよ、仮歌で。
津野 「おはよーございまーす」って瞼がカーテン(笑)。そのまま歌ったんです。
佐藤 そしたら、寝起きって聴く人によっては色っぽくなったりするから、ハマって。これ使おうってなって。ああ良かったって思ったんですけど、KREVAさんの歌が入って、さらにアダルトになって。よかったなあ。
津野 よかったねえ、サビ一緒に歌ってるもんね。でも、いっこ言わせてもらうと、ちーちゃんが1サビ歌う前に、(ドラムの歌川)菜穂が、“Vibration”って一緒に歌ってる。
佐藤 そう! だから菜穂ちゃんにバージン取られた(笑)。KREVAさんのサビで声が重なるんですけど、めっちゃ言ったもんね。「そこ、KREVAさんの声もうちょっと上がりませんか!」って。
津野 ちーちゃん目がハートになりすぎて、“Heart Beat”のKREVAさん上げてください!」って(笑)。

──彼がスタジオに来たときは、全員目がハート?

津野 最初に打合せで会いに行って、そのときにもうみんな目がハート。
佐藤 ハートだったねえ。
津野 (KREVAの真似で)「よろしくお願いします」って言われて。
佐藤 (藤本)ひかり、いつもよりカワイイ服で来たね。
津野 菜穂は化粧ばっちりだったね。

──そういうおふたりはどうだったの?

津野 ちーちゃん緊張してて、「最高はひとつじゃない」っていうKREVAさんの舞台を観に行ってたんですけど、「あれ観に行きました、<正解はひとつじゃない>」って(笑)。私も絶対緊張すると思ったんですけど、サッと座って「あの、それで歌詞なんですけど」って、緊張しすぎていつもどおり(笑)。歌詞の意味をすごく汲んでくれる人で、一発でOKでしたね。

オネエと並んで、“楽しい!”って歌ってました

──この曲のほかにも、前からあった曲も多いんですか?

津野 曲は結構揃ってたんです。今年に入ってから作ったもののほうが少ないかな? 「NOW ON AIR」「いちご」「楽しい」だけかな?

──「楽しい」はホントに楽しそうな曲で、エンディングにはいろんな人の声が入ってる。

津野 この曲を録ってるとき、たまたま同じスタジオで爆弾ジョニーがレコーディングしてて。その日、私偏頭痛になっちゃって目がチカチカして、ちーちゃんとマネージャーが、近所のドンキホーテでヤバいサングラスいっぱい買って来て。
佐藤 縁からヤシの木が生えてるみたいな(笑)。
津野 それかけて“頭痛いなー”と思いながらやってたんですけど、そしたら爆弾ジョニーがいるらしいってなって、「面白いサングラスあるからおいで」って言ったら、「ワァーッ」て来て(笑)。
佐藤 小学生みたいだった。
津野 うるさくて、コーラスを何回も、「静かにして! もう1回やるよ!」って(笑)。あと舞台でナイーブな役をやってたはずの大東駿介くんがーー仲が良いんですけどーーマネージャーさんと来てて、私たちの友だちのオネエと並んで、「楽しい!」って歌ってました(笑)。
佐藤 オネエ、完全に狙ってたね。

──では「楽しい」のクレジットはすごいことに?

津野 なってます。

──「いちご」「サイダー」という曲があり、歌詞にはラーメンが2度も出てくる。どれも津野さんの好きなものなのかなと思いましたけど?

津野 いちご、この世でいちばん好きです。

──この曲、切なくていいですねえ。

津野 先に食べる派ですか? ショートケーキのいちご。

──あ、先に食べちゃいますね。

津野 私、後派なんです。コンビニで買って来たショートケーキを食べてたんですよ。で、このいちごは今何を思ってるのかなと思って。“え? 避けられた?  いちごのショートケーキだとわかってるよね?”とコイツ(いちご)は思ってるな、と思って。避けられた意図がわからないわけですよ。“ほかのところ食べてるなー。まだかなー”って。大切に取ってくれてるのかもしれないけど、もし食べてもらえなかったらどうしようって思ってるうちに、最後のいちごって、ちょとしゅわって乾いてる、独特の味がするんですよね。ホントに、女の子みたい。って思ったら書けました。

──そういう、大事にされてるんだろうけどスポイルされてるんじゃないかって不安は、ありがちですよね(笑)。

津野 好きな人がいて、ご飯行ったり仲良くするんだけど、“これはもう付き合ってる? でもなんで今、何もないだろう”って焦りとか。てか、“もしかして彼女とかいんの?”みたいな。……いちごのタイアップ来ないかな。

──(笑)今回は個性的なディレクターさんたちとの作業が、単調になりがちなレコーディングも空気が入れ変わって変化が出たりしたのかな?

津野 ああそうですね、あと前回は合宿だったんですけど、今回は真夏にライブをしながらだったんで、多くて2曲、少なくて1曲だったので、通って通って。スタジオも違うところで録ったり、エンジニアさんも変わったりしてたんで。なんか、本来合宿のほうが集中できるんでしょうけど、逆に、通いながらだから気を抜いちゃダメだって思ったので、全然だらけなかったですね。だらけなさすぎて、いろんなことに怒ってました。私だけじゃなくて、みんなキリッとしてた。それが、蔦谷さんの言ってる、ゾーンに入ったってことだと思うんです。あり得ない、我々4人が、誰も見たことのない集中力の顔してました。

バンドになっていく感じがすごく心地よくって

──ところで今回の15曲、選曲の基準みたいなのはあるんですか?

津野 いつも、そのときハマるというか、そのときに出せそうなものを出してる感じですね。「サイダー」なんて休止中に書いた曲で、歌詞が全然違ったんですけど。なんかやらなかったんですよ。でも、なんかやることになって。「108」はシングルにしたかったんですけど、歌詞の問題で難しかったっていう。でもこれは演奏してて、デモを上回ってるなあって。練習とかもそうだけど、バンドになっていく感じがすごく心地よくって。そうなっていくことで、戦闘力が増してる感じがしたんです。それはどの曲もそうで、だから録りながら、いつも“うわーっリード曲にしたい!”って(笑)。

──じゃあ曲順も悩んだり?

津野 曲順は1秒も悩まなかったです。ディレクターと私で“15曲になっちゃったけど、いいね”って(笑)。

──作りながら全体のビジョンができてた?

津野 というか、この曲の次にこの曲がいいなあってやってたら、全体像もいいねって。フラットに、アルバムを作る、という感じでしたね。15曲って数字を見るとメッチャ多い気がしますけど、曲順を組んでる段階で、これ以外あり得なかったんですね。最初は12曲ぐらいで組み始めたんですけど、これとこれの間にこれがあったらいいとか、これがあったほうが長く感じないだろう、みたいのをやってたら、15曲になりました。
佐藤 売らなきゃ! と思ったよね。こんなにいい曲を15曲も入れちゃって。
津野 私はレコーディングが進むほどに青ざめてった(笑)。“曲のストックがなくなっていく…作んなきゃ!”(笑)。……いえ、実はまだ残ってます。
佐藤 やるなあ。
津野 BUMP OF CHICKENが歌ってましたけど、両手が塞がっていたら手が繋げない、みたいな。両手が塞がってると新しいものが作れないから、まずは送り出して。”卒業”ですね、『猛烈リトミック』のテーマは。今作に参加した先生(プロデューサー)から赤い公園へ

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赤い公園と出会ったのは、2012年の2月の“EMI ROCKS”の時のことです。
一瞬で彼女たちの鳴らす音楽の虜になりました。東京事変解散の10日前、僕は赤い公園に、音楽のバトンを渡すのはこの子たちだと直感的に感じました。そんな赤い公園と一緒に音楽を作る日がこんなに早く来るなんて!
僕が赤い公園と猛烈にリトミックしたのは5曲です。どの曲も、僕らが力を合わせて育んだかわいい子供たちです。
そんなかわいい子供たちをひとりずつ紹介します。

「風が知ってる」
赤い公園とはじめてレコーディングした曲。
そして、僕が今までの人生で出会った中で、最も美しい曲。
この曲に出会えてよかった。棺桶まで連れて行きたい曲です。

「絶対的な関係」
ぼくの音楽人生の中で出会ったいちばん短くて、いちばん強い曲。
2分間の中に魔法が一杯つまっています。

「サイダー」
「かめださん。この曲、けいおん。女子高生、胸キュンだから。」
米咲ちゃんの言葉はいつも的確です。

「いちご」
せつなくて泣ける曲です。「このいちごって僕みたいだ!」って言ったら
「かめださんカワイイ」とメンバーみんなキャアキャア笑っていました。

「誰かが言ってた」
優しい歌です。あったかい曲です。これは、たとえば『絶対的な関係』のようなカミソリのような「刹那感」と究極の振れ幅。この振れ幅が赤い公園のカッコよさだと思います。

このかわいい子供たちが、
皆さんの毎日の中でさらに、猛烈にリトミックされることを
心から願っています。

■かめだせいじ/’64年、アメリカ、ニューヨーク生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’89年、音楽プロデューサー、ベースプレイヤーとして活動を始める。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツをはじめ、スガ シカオ、アンジェラ・アキ、JUJU、秦 基博、いきものがかり、チャットモンチー、MIYAVIなど数多くのアーティストのプロデュース、アレンジを手がける。椎名林檎らと東京事変を結成し’12年閏日に解散。’07年、第49回日本レコード大賞、編曲賞を受賞。昨年には4年ぶり2度目となる自身の主催ライブイベント「亀の恩返し」を武道館にて開催。映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の音楽監督を務めるなど、様々なかたちで作品を届けている。また、オフィシャルサイトなどで、自身の知識をフリーでシェアし、新しい才能を応援する「恩返し」プロジェクトを展開中。
亀田誠治 OFFICIAL WEBSITE / Twitter

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ある日友人と飲んでいたときに途中から米咲が合流したのが初対面。非常に興味があるバンドだったのでそのときに一緒やりたいね、なんて話していたらしばらくして本当に一緒にやることになり、とても嬉しかったのを覚えています。
僕がプロデュースした曲の中ではいちばん最初にレコーディングした「NOW ON AIR」。
米咲からのリクエストは「思いっきりやって」ということだったので、この楽曲の持つポップスとしてのポテンシャルの高さを最大限に引き出してみようと、そういうアレンジになりました。レコーディングでは技術的なことよりとにかく「(魂を)入れろ!」と、これを連発していましたが、非常にいい雰囲気でメンバー入魂の演奏が録れたと思います。

「108」は僕が参加した曲の中でもいちばん好きな曲です。最高のラブ・ソングだと思います。まさに釈迦に説法な歌詞ですが、これってまさに真理ですよね。歌録りのとき“人間なのにさ”の部分を「空き缶蹴って呆れてる感じで」って言ったら、ちーちゃんは本当に蹴り上げる仕草をしながら歌ってました。

「ドライフラワー」は津野米咲の作曲家としての才能が遺憾なく発揮されたとんでもない名曲だと思います。この曲がいちばん「入れろ」って言ったかもしれないです。オケ録りのときメンバー全員の集中力がすごかったし、米咲のピアノはなんとワンテイク、最後にちーちゃんも素晴らしい歌を歌ってくれました。ストリングスの弦一徹さんが「(作曲の)センスがうらやましい」と言っていたのが非常に記憶に残っています。

この傑作アルバムがたくさんの人に届いて、人生に彩りを与えてくれることを願います。

■つたやこういち/’76年5月19日生まれ、北海道出身。agehasprings所属。幼少よりピアノを始め小学4年生からパソコンで打ち込みを始める。クラシック、ジャズなど様々な音楽を独学で学ぶ。’00年5月に“CANNABIS”のメンバーとしてメジャー・デビューを果たす。現在は、YUKI、Superfly、ゆず、エレファントカシマシ、木村カエラ、Chara、JUJUら様々なアーティストへの楽曲提供やアレンジ、プロデュースを行う。また、中村達也、日向秀和らが参加するEORのキーボード・プレイヤーとしても活躍中。
蔦谷好位置 OFFICIAL WEBSITE

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赤い公園『猛烈リトミック』リリースおめでとうございます。「お留守番」をプロデュースした蓮沼執太です。まずアルバム・タイトルを聞いて驚いちゃいました。リトミックは、子どもたちへの教育メソッドのひとつで、音楽を使って、身体的、感覚的、そして知的の3つの要素を育むんです。それを猛烈にやるんですよね。猛烈に……。このプレッシャーのかけ方がとても赤い公園らしいなぁ、と。もっと好きになりました。
さて、実はこの曲はすべてニューヨークで制作しました。なので、彼女たちに一度も会わずして楽曲が完成したんです。東京のレコーディング・スタジオで彼女たちの生演奏をレコーディングして、その録音素材をニューヨークのアトリエに送ってもらい、僕がプロデュースをしていく。そんな21世紀的リトミックな方法で作り上げていったのです。僕が参加するからには、みんなが驚くような赤い公園の新しい側面を開拓しなくてはね。では、日本に帰って、赤い公園に会って、彼女たちのライブを観るのを楽しみにしております。

■はすぬましゅうた/’83年東京生まれ。’06年に米国のレーベル“Western Vinyl”から1stアルバム、翌年2ndアルバムを発表。その後3枚目のアルバムを日本のエレクトロニカ系レーベル“PROGRESSIVE FOrM”よりリリース。4thアルバム『POP OOGA』のリリース後は、ラップトップ・ミュージック、エレクトロニカといった今までのサウンドとは一転、バンド編成による“蓮沼執太チーム(Team Shuta Hasunuma)”を結成し、アルバムやミニ・アルバムのリリース、ライブなど精力的に活動。今年1月には、蓮沼が指揮する総勢15名のフィル・ハーモニック・ポップ・オーケストラ集団“蓮沼執太フィル”名義で『時が奏でる|Time plays – and so do we.』を発表している。現在は、アメリカ/アジア/アジア諸国間での国際文化交流を支援するアメリカの非営利財団“アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)”の招聘で活動の拠点をニューヨークに移している。

蓮沼執太 OFFICIAL WEBSITE  Twitter

DISC INFORMATION

ALBUM 2014.9.24 release
「猛烈リトミック」
Virgin Records

140924_interview_akaikouen_j_syokai

↑初回限定盤 <CD+DVD>

140924_interview_akaikouen_j_tsyjo

↑通常盤 <CD>

<収録曲>
01. NOW ON AIR
02. 絶対的な関係
03. 108
04. いちご
05. 誰かが言ってた
06. 私
07. ドライフラワー
08. TOKYO HARBOR feat. KREVA
09. ひつじ屋さん
10. サイダー
11. 楽しい
12. 牢屋
13. お留守番
14. 風が知ってる
15. 木

PROFILE

アカイコウエン/佐藤千明(vo)、津野米咲(g)、藤本ひかり(b)、歌川菜穂(ds)。高校の軽音部の先輩後輩により’10年に結成されたバンド。2012年2月と5月のミニ・アルバム『透明なのか黒なのか』『ランドリーで漂白を』でメジャー・デビューを果たす。約半年の活動休止期間を経て2013年7月3日に復帰第一弾作となるシングル「今更/交信/さよならは言わない」をリリースし、同年8月に1stフル・アルバム『公園デビュー』を発表している。今年に入ってからは、亀田誠治がプロデュースを手がけた「風が知ってる/ひつじ屋さん」「絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く」をリリースしている。

LIVE INFORMATION

<ワンマン>
赤い公園 マンマンツアー 2014
~お風呂にする?ご飯にする?それとも、リトミックにする?~

10月24日(金)福岡DRUM Be-1
10月31日(金)名古屋CLUB QUATTRO
11月3日(月)大阪umeda AKASO
11月23日(日)六本木EXシアター

<イベントほか>
スペースシャワー列伝100巻記念公演
第101巻 紅白玉入れの宴
9月30日(火)新宿LOFT
共演:People In The Box/WHITE ASH/テスラは泣かない。

広島経済大学 47th Light Music Concert
10月25日(土)広島経済大学キャンパス内 野外特設ステージ

大歌の改新 第二期
11月29日(土)仙台CLUB JUNK BOX
共演:空想委員会/Suck a Stew Dry/SUPER BEAVER

KYO-MEI対バンライブ in KUMAGAYA
12月11日(木)HEAVEN’S R

関連リンク

赤い公園OFFICIAL WEBSITE
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