赤い公園 – 約半年の活動休止を経て届く久々の新作について、来月には公園デビュー(!?)を控える4人に話を聞いた。
3月1日に、昨年10月来の活動休止からの復活を宣言、5月5日に渋谷クラブクアトロで“今更帰って来た赤い公園!! タブーを犯した女たち”と題したライブを行なった4人は、7月3日発売のシングル「今更/交信/さよならは言わない」であらたな一歩を踏み出す。このシングルで彼女たちが描くものは何なのだろう。個性豊かな4人に、今の自分たちを語ってもらおう。
INTERVIEW & TEXT BY 今井智子
「今更」は、最初はギャグみたいな曲だったんです(津野)
──復活盤「今更/交信/さよならは言わない」の完成おめでとうございます。
4人 ありがとうございます!
──この半年は活動休止ということだったんですが、曲の準備やレコーディングは、いつ頃から始まっていたんでしょう?
津野米咲 「今更」はデビュー前に出来ていた曲で、「交信」は去年の夏頃ですね。曲は元々あったんですけど、それをシングルにするって決まったのが最近という感じです。
──「今更」を今までレコーディングしなかったのは何か理由があったんですか?
津野 ないんですよね。ライブでもちょいちょいやってて。ただ自分たちの中では、そんなに強い曲という印象がなかったんですけど、これをシングルにしたらどうかってお話をいただいてから、重ね直したりとかして、シングルっぽくなったなとは思います。
──原型は違ってたんですか?
津野 いえ、バンド・アレンジしてからは、演奏はほとんど変わってないです。尺も変わってないし。歌詞の細かいニュアンスを変えたぐらいですね。
──どういう感じで?
津野 もっと抽象的だった部分があって、そこを直していった感じです。
──イントロが印象的ですよね。ギターで入って抑えた歌になって、小さな声で“せーの”と。そしてサビでバーンといく。
津野 最初からああだったんです。「今更」は、最初はギャグみたいな曲だったんですよ。
──そうなんですか?
津野 ギター・ロックっぽいものを、あえてやってなかったわけではなくて、そういう勉強をしてこなかったんで、できなかったんですけど。この「今更」のイントロの“チャラララ”ってカッティングができたときに、“お前、そんなギター弾くのか!”って言うぐらいの驚きで。
藤本ひかり ウケるー(笑)。
津野 今でも自分では、ダサカッコいいものだと思ってます。
──誰かのプレイをイメージしてたり?
津野 まったくなかったです(笑)。“ギターってこういう感じじゃね?”って。デビューして4日目に、“EMI ROCKS 2012”っていうフェスが決まってたんですよ。そこでやりたい曲を作ろうって、作った曲で。サビは”バーン!”と開けるのがよくて。で、結構最初からこういうイメージで。
──演奏する舞台から考えて作るってすごいですね。
津野 あとにも先にもこれだけですけど(笑)。
──佐藤さんは歌ってて、この起伏の大きさはどうなんでしょう?
佐藤千明 これ、サビですごい開くじゃないですか? 歌い方とか演奏も。レコーディングのときに、私は最初から開いて歌っちゃって、津野さんが「サビでやっと開いてくれる?」って(笑)。“ああ、そういう曲か”って。
津野 最初はびっくりして、何事かと思って(笑)。
佐藤 それで最初は抑えめで、サビでバーンと開くように、意識して歌いましたね。
“なんでこんなの思いつくの?”ってときどき思います(歌川)
──アレンジは津野さんが考えるんでしょうが、録音前にはそういう話し合いとかなくて?
津野 大枠は私が考えて、あとはみんなやりやすいようにやってもらいます。スタジオに入ってリハーサルしてる最中に楽器については結構言いますけど、歌まで回らないことが多いんで。歌はプリプロとかレコーディングで言うことが多いです。
──津野さんのアレンジは、かなり変わった感じですよね。
歌川 ”なんでこんなの思いつくの?”ってときどき思います、例えばドラムだと、津野さんはギターで、ドラムを基礎からやってるわけじゃないから、基礎とかそういう概念みたいのがないから、ヘンなことも普通にできちゃうんだろうなって思って。ドラムやってない人だから考えられるフレーズとか持ってきてくれるんで、すごい面白いです、でも”これちょっとできないよ”っていうのが、よくあります(笑)。たまに津野さんが知らないところで、やりやすく変えてます(笑)。
津野 できてないから、「なんでできないの?」って(笑)。
歌川 「右手がこうだから、手が足りない」って(笑)。
──実現するのが大変(笑)。
佐藤 でも私は津野さんの書く曲に、めっちゃ歌が近づきたいって思いがあるので、津野さんの言ってることがわからないと、自分で口惜しくなっちゃって、わかるまで「ちょっと考えさせて!」って(笑)。だから飲み込めるまで時間がかかるけど、自分でちゃんと飲み込んで、レコーディングでも歌えたと思います。
津野 でも、こういう感じって、結構わかりやすいんですよ。「疲れたOLみたいな感じ」とか(笑)。言うと、「そういう感じね」って。
“再スタートしました!”って感じで(津野)
──「今更」はMVが公開されてますけど、あれ面白いですね。演奏してて、ふわっとダンスに移行していく。皆さんで考えたんですか?
津野 今回は、監督さんにお任せして。振り付けは振り付け師さんにやってもらいました。
藤本 大変だったねー。
津野 何回もテイクやって。
佐藤 間に合わない! みたいなね(笑)。踊りながら下がって行くのに後ろが見えないから、ドン! ってぶつかったり(笑)。
津野 何回もマイク・スタンド倒したもん(笑)。
歌川 ダンスが下手過ぎて、ものすごい練習して。
津野 リハスタで、楽器おいてダンスの練習してました。
藤本 いつも使ってるスタジオが、カメラがあるんです。たぶん店員さん用に。どういうふうに見えてたんだろう?
津野 店員さん、そんなに興味ないと思う(笑)。
──撮影はどこだったんですか?
佐藤 九十九里ですね。
津野 牧場があって。後ろを見ると、めっちゃ馬がいるんです。
歌川 乗馬教室やってて、それも映っちゃって。
藤本 撮影してると、「馬、通りまーす!」って(笑)。
佐藤 「ヘリコプター降りてきました!」って(笑)。
──空撮ですか?
佐藤 ヘリで牧場に来てる人とかいて。
──それはセレブな(笑)。
佐藤 セレブな方たちを横目に、すごい撮影の現場だった(笑)。
津野 あのMVの最後、みんなで走ってるじゃないですか。“再スタートしました!”って感じで。
──そのあとに、小さい子が出てきてピアノを弾きますよね。
津野 ふふふ、あれは「交信」に続いてるんです。
──なるほど。その「交信」は、「今更」と対称的な曲ですね。どんなふうに生まれた曲ですか?
津野 結構切羽詰まってたんですね。“バラードを作ってください”っていう指令が出ていて。私、バラード作るのすごい苦手で。どうしようどうしようと思ってるときに、バラードのつもりで作ったんですよ。でも最初にピアノのリフレインができてから、さーっと。演奏も気付いたらできてて。自然に書けた曲です。
──歌詞の中に、“トトトツーツーツートトト”とモールス信号のSOSが出てきますね。これが入った意味は?
津野 歌詞の最後のほうにも、そういう感じのことが書いてあるんですけど、“近頃はなみだ”ってどういうことかって言うと、子供の頃は無垢で、いろんなことが信じられたけど、近頃は忙しかったりだとかで、いろんなことを忘れちゃってるのではないか。ということで、みんなで一斉にSOSを発せられる場所だったらいいなあ、という思いですね。
──解放への……
津野 大合唱みたいな。
──「交信」というタイトルに深い意味が感じられますね。ところで、「今更」「交信」と漢字2文字の曲で揃えたのも何か意味があるんでしょうか。
津野 これは、スタッフ陣が、「活動再開して、“今更”ってタイトル、ヤバくね?」みたいな。「“今更”“交信”ってヤバくね?」みたいな。大人の悪ふざけですね。
歌川 まんまと乗せられた(笑)。
津野 サラッとしたタイトルの曲が多いんで。
──詩になりそうな長いタイトルつける人もいますけど。
津野 それ考えられたら、たぶん詞にしてると思う(笑)。
佐藤 「幸せについて本気出して考えてみた」とか?
津野 柄じゃないんで、やめときます(笑)。
自分が作った曲に飽きちゃうのが嫌なんで、飽きないように作ってます(津野)
──もう1曲は小田和正さんの「さよならは言わない」ですが、これをカバーーしようと思ったのは?
津野 私、ホントに好きで、大阪までライブ観に行ったぐらい好きで、高校のときにこの曲聴いて雷に打たれて。ずっとやりたかったんです。これをちーちゃん(佐藤)が歌ったらどうなるんだろうなあって。
──小田さんのメロディは、赤い公園との落差が浮かび上がりますね。
津野 普通に、いい曲をやりたくなったんですよ(笑)。絶好のいい曲だから。落差はわかりきってますから。あとは愛を持ってどこまで自分たちらしくアレンジができるか。
──アレンジは赤い公園らしくて絶妙ですね。
津野 好きな曲ゆえに、考えましたね。普段は自分の曲だとアレンジとかなんも考えてないんですけど。メロディは殺したくないし、歌詞もちゃんと聴こえてほしいけど、これだったらほかのバンドでもできるよな、みたいなことを考えて、結構練りに練りました。
──津野さんが考える、赤い公園らしいところは?
津野 演奏もそうなんですけど、1サビでアカペラになるところが自分たちらしいかなって。楽器ないけど、そこがいちばん自分たちらしいと思う。
──佐藤さんは、この曲を赤い公園として歌うと新鮮なのでは?
佐藤 新鮮だなと思ったのは、わりと音程の起伏の差がないから。赤い公園だと、声を張らないと出ない音域とか多いんですけど、それがあんまりなかったので、“私、こんなに声低かったのか?”って(笑)。“こんな落ち着いた感じで?”って。
──(笑)赤い公園の曲はたしかに音程広いですね。歌う人のこと考えてないのではと思うぐらい(笑)。
津野 おそらく出るであろう、と(笑)。
佐藤 そこをクリアしたいですね(笑)。
──赤い公園の曲のユニークさ、演奏の面白さが、こうしたカバーだとよくわかりますね。津野さんの中では、ほかの人と同じことはしたくないと言う気持ちが渦巻いているように思えます。
津野 私、校則とかすごい守るほうだったんですよ。結構不自由主義なんですけど、飽き症なんですよ。なので、自分が作った曲に飽きちゃうのが嫌なんで、飽きないように作ってます。
──レコーディングも積み重ねていくほうですか?
津野 レコーディングはすんなりいくほうです。早いほうだと思います。
歌川 早いって、言われるよね?
津野 うん。
──じゃプリプロをしっかりやって?
津野 プリプロも、サラサラっと。
藤本 いちばん時間がかかるの、ライブのSEだよ。
津野 たしかに決めるのに時間かかる。
佐藤 今してるのは完全にレコーディングの話だから(笑)。
お客さんのこっち向いてるパワーがすごかった(津野)
──(笑)5月5日の大復活祭(渋谷クラブクアトロ)を拝見して思ったんですけど、ライブのときとレコーディングでは曲との距離感が違うんじゃないかなと。
津野 私はレコーディング大好きですね。ライブになると結構グチャグチャになってきちゃうんで。”あ〜もうどうしたらいいんや! 誰の曲やこれ!”って(笑)。ライブは演奏面だけで言ったら、確実に楽器足りないですからね。ライブはまた別の楽しさを見出していこうと思ってるんですけど。
──レコーディングでは構わず自分の思った音を作っていく。
津野 そうですね。ライブのこと考えてたら、楽器を重ねないですからね(笑)。まったく考えてないですね。
──ほかの皆さんはライブとレコーディングはどのように捉えてますか?
歌川 私はドラムなんですけど、今まではライブだとテンション上がって極端に走るんですけど、それを直そう直そうと、音源に近づけようと考えすぎてて逆にモタったり、なんかうまくいかなかったんですけど、最近やっとライブだから音源と違うテンポでもいいんだなって。音源どおりにやるのがライブではないと最近わかってきて。いい意味で力が抜けました。
佐藤 私はレコーディングで歌い方の考えがまとまったりするので、結構好きなんですけど。レコーディングのほうが歌に寄り添える。ライブだと、お客さんはここどうしたら楽しいかなっていろいろ考えることも多いから。ライブだと外に向かうけど、レコーディングだと、ここはどう歌ったらもっとよくなるかなとか、曲のことだけ考えられるから、レコーディングのほうが好きですね。ライブでも歌に集中しなきゃいけないんだけど(笑)。
藤本 私はどっちが好きとかなくて、どっちも楽しさがあるし、ライブの一瞬に込めるっていうときの……。でもライブは人に見られてるので、汗とか気になります(笑)。
津野 ひかりもベースに集中してないんだね(笑)。みんな集中してないんだ(笑)。
歌川 ヤバいねー、誰も集中してない(笑)。
津野 次のライブは頑張りまーす(笑)。
──(笑)。シングルの初回限定盤には、大復活祭のライブ映像がつくんですね。
津野 はい、4曲ですけど、初めてのDVDですね。
──あのライブを自分たちで観てどうでしたか?
津野 野蛮でしたね(笑)。
歌川 荒かったね。野性的(笑)。
佐藤 解き放たれてた(笑)。
津野 私、笑ってた記憶があるんですけど、映像見たら全然笑ってなかった(笑)。驚きの真顔でした。
──復活という意気込みは大いにあったと思いますけど。
津野 何が起こってるかわからないうちに終わりました(笑)。
歌川 みんな言ってたのが、”あんまり久しぶりって感じがしない”って。
佐藤 始まっちゃうと、なんかだんだん思い出してきて、”こんなんだったかなー”って。
──観ていて、以前より4人が外に向かって開放感のある演奏をしてると思いましたよ。
津野 お客さんのこっち向いてるパワーがすごかったんで、そっちを向かざるを得なかったですね。珍しい赤い公園のライブでしたね。前は、お客さんと勝負! みたいなライブが多かったんです。
佐藤 わりと大人しく観てる人が多くて。
津野 あそこまで手放しで、“お帰り!”って感じのライブは。”お帰りライブ”なんて、この先休止でもしないとないんで、すごい貴重でしたね(笑)。
──ところで、ジャケットで持っている赤いボールにも何か意味が?
津野 これは、今まではずっと、“黒盤”(ミニ・アルバム『透明なのか黒なのか』)だとか“白盤”(『ランドリーで漂白を』)だとかやってたんですけど、やっと“赤い公園”ということで(笑)。そのボールがどうなっていくか、今後ちょっと楽しみにしてってください。
──アルバムへの布石ですか?
津野 なってます。ちなみに、こっち(アーティスト写真)の、投げてるのは間違いです。取り扱い的には。投げちゃいけないものです。
佐藤 そうだね!
藤本 米咲は手遅れだねー。私とちーちゃんは、まだ頑張ればね。
──(笑)気になりますねー。初のフル・アルバム(『公園デビュー』)も間もなくですね。
津野 はい。アルバムはもっといろいろな曲が入ってるんですけど、その中でも伝わりやすい曲がシングルとして出せたんじゃないかなと思います。「今更」があって「交信」がある、みたいなバランスですね。そのバランスで、誤解なく届けられるんじゃないかと思います。
「今更」
「交信」
DISC INFORMATION
SINGLE 2013.7.3 release
「今更/交信/さよならは言わない」
EMI Records Japan
LIVE INFORMATION
「いざ、公園デビュー〜トトトツーツーツートトト〜」
10月26日(土)仙台LIVE HOUSE enn 2nd
11月3日(日)広島CAVE BE
11月4日(月・祝)福岡DRUM SON
11月8日(金)大阪Shangri-La
11月15日(金)名古屋APOLLO THEATER
11月23日(土)東京キネマ倶楽部
TRIGGER FES 2013 SUMMER
7月6日(土)日比谷野外大音楽堂
出演:赤い公園/OKAMOTO’S/ハルカトミユキ
GFB’13(つくばロックフェス)
7月13日(土)・14日(日)茨城 つくば市豊里ゆかりの森野外ステージ
※赤い公園の出演は14日(日)
日本工学院ミュージックカレッジpresents SOUND JACK FESTIVAL 2013
7月20日横浜BLITZ
出演:赤い公園/SEBASTIAN X/パスピエ
GLICO LIVE“NEXT”
7月25日(木)大阪Music Club JANUS
出演:赤い公園/ふくろうず/きのこ帝国
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
8月2日(金)・3日(土)・4日(日)茨城 国営ひたち海浜公園
※赤い公園の出演は3日(土)
SUMMER SONIC 2013
8月10日(土)・11日(日)東京 QVC マリンフィールド&幕張メッセ
※赤い公園の出演は10日(土)
MASH FIGHT! Vol.1.5──夏のセミファイナル!
8月15日(木)新代田FEVER
RockDaze! showcase ’13summer
8月17日(土)・18日(日)福岡DRUM LOGOS
出演:赤い公園/The SALOVERS /In 197666 /THE NAMPA BOYS/SHISHAMO/南壽あさ子/nicoten/HaKU/BLUE ENCOUNT/魅起法則 ほか
※赤い公園の出演日は後日発表
redcloth 10th Anniversary
8月28日(水)新宿レッドクロス
出演:赤い公園/ドレスコ―ズ
PROFILE
アカイコウエン/佐藤千明(vo、key)、津野米咲(g、cho)、藤本ひかり(b)、歌川菜穂(ds)。高校の軽音部の先輩後輩により’10年に結成されたバンド。昨年2月と5月のミニ盤『透明なのか黒なのか』『ランドリーで漂白を』でメジャー・デビューを果たす。今作は、約半年の活動休止期間を経て届けられる、復帰第一弾作。8月14日には1stフル・アルバム『公園デビュー』のリリースも決定している。