昨年５月に銃撃事件が起きた暴力団の池田組事務所（岡山市北区田町）について、岡山市が岡山地裁に対し、使用禁止を求める仮処分を申し立てていたことが９日、関係者への取材で分かった。山口組分裂に伴う抗争事件の恐れがあるとして暴力団対策法に基づき組事務所の使用などを禁じた「警戒区域」の指定が、今月中にも同市で解除される見通しとなったことを踏まえた措置とみられる。

　組事務所の使用を巡る自治体による仮処分申請は岡山県内初で、全国でも数例しかないという。岡山市は、事務所周辺の市関連施設で職員や利用者が危険にさらされる恐れがあるとしている。申請は８月中旬で、仮処分が認められれば、指定解除後も、暴力団の定例会や組員同士の連絡などのために組事務所を使用することが禁じられる。

　県警などは、特定抗争指定暴力団の神戸山口組から池田組が離脱し、山口組と神戸山口組の抗争状態は解消されたとして、同市の区域指定を解除する方針を固めている。その場合は、池田組事務所が使えるようになるため、市は県警などと連携し、仮処分申請をしたとみられる。

　池田組事務所では昨年５月、駐車場で組幹部が山口組系組幹部に銃撃される事件が発生。県公安委員会が同７月、抗争を続ける山口組と神戸山口組を暴対法に基づく「特定抗争指定暴力団」に認定し、岡山市を「警戒区域」に指定していた。

　岡山市の担当者は「池田組が神戸山口組を離脱したとしても依然、山口組との抗争が続く恐れがある。周囲の住民や施設利用者の安全を適切に守りたい」としている。