ベストアンサー
我が親友、周防天音へ。 この手紙を見つけたということは、残念なことに、貴女は再びこの地獄へ戻ってきてしまったということね。 そしてさらに残念なことに、ここに私はもう居ません。 上手くすれば、バラバラにされて埋められているとは思いますが、もしそうでなかった場合は、もしかすると貴女は私の死体の目の前でこれを読んでいるのかもしれない。 もし後者であった場合、しかも、私が半目を開けてだらしなく死んでいたような場合は、出来ればあまり見ないで欲しい。 そして、目の前の状況に絶望することなく、最後まで生き延びて欲しい。 その為の食糧は、すべて残しておきます。 貴女が存命中に救助が現れ、生き延びることに成功することを切に祈ります。 また、生き延びることが出来たのなら、貴女にお願いがあります。 それは私の弟のことです。 私が帰らないあの家に、弟の居場所はありません。 出来ることなら、貴女の手で弟を救ってあげて欲しい。 弟の雄二は、臆病で、泣き虫で、取り柄と言えば優しいことぐらいのダメな子です。 それでも、私にとってはたった一人の可愛い弟で、たった一つの心残りなのです。 雄二は、しっかりとした女がそばに居なければ、一人では何も出来ないような男です。 出来ることなら、私に代わり、姉として私の弟を見守ってくれることを願います。 では、上記を私の最後のお願いとして、最後の最後まで諦めない努力を期待いたします。 貴女の人生最大の親友、風見一姫拝。 追伸。 この手紙を読んだのなら、もう一通の手紙は読まずに処分してください。 (――『グリザイアの楽園』より抜粋) こちらの手紙は、雄二と天音が連れ立って事故現場を訪れた際には、クーラーボックス内に結露した水分で加水分解されていたため、既に読めなくなっていました。
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質問者からのお礼コメント
ありがとうございます!
お礼日時:2015/8/25 17:48