2015年4月13日
熊本県選挙管理委員会委員長殿
熊本県選管作成の選挙CMに対する抗議
全国フェミニスト議員連盟
共同代表 会津素子(千葉県成田市議会議員)
共同代表 皆川りうこ(東京都国分寺市議会議員)
事務局 小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議会議員)
茅ヶ崎市鶴が台14-5-202 T/F 0467-52-6731
日頃の「明るい選挙」実現への取組みに対して敬意を表します。私たちは政策決定の場である議会にあまりにも少ない女性議員を増やしていくため、1992年に全国の市民や議員で結成された「全国フェミニスト議員連盟」です。
4月12日は、統一地方選挙の前半戦である県議会議員の選挙の投開票日ですが、熊本県選挙管理委員会は、低投票率を懸念され、様々なかたちで啓発活動を展開されていることを報道等より承知しております。低投票率への懸念は私どもも共有するところであり、ご努力を多とするものですが、その啓発のために用いられているCMについて、次に述べる理由により、男女共同参画の視点が著しく欠けているのではと、この点について強く抗議いたします。
貴県では第3次熊本県男女共同参画計画(平成23年4月~平成28年3月)を作成し、男女共同参画社会実現に向けて様々な施策を実現しています。その計画には「◆施策の基本方向1 意識改革に向けた広報・啓発の推進」として、「男女共同参画の実現を阻害するものの一つとして、未だに根強く残っている性別に基づく固定的性別役割分担意識の解消を中心に、男性にとっての男女共同参画の意義等、『男女共同参画は社会全体にとって重要な課題である』との認識を深め、定着させるための広報・啓発活動を積極的に展開します。」とあり、「また、行政機関が作成する広報・出版物等において、男女共同参画の視点に立った表現を促進するとともに、少年の健全な育成に有害な図書等の指定を行うなど、メディアにおける男女共同参画の推進を図ります。」となっています。
更に、「主要施策①:固定的性別役割分担意識の解消等男女共同参画に関する広報・啓発」の中では、「・固定的性別役割分担意識の解消や男女共同参画社会づくりの必要性について、情報誌やホームページ、情報ライブラリーなどのさまざまな媒体を通じて、分かりやすい広報・啓発に努めます。中略・県が作成する広報・出版物等の発行及びホームページ等における情報発信において、男女共同参画の視点に立った表現の促進に努めます。中略・固定的性別役割分担意識の是正及び人権尊重のため、メディアにおける女性の人権への配慮を欠く表現の改善を働きかけます。」等の表現があります。
しかし、今回のCMは上記の表現に照らし、整合性がとれず問題があると言わざるを得ません。
その上、選挙権は20歳以上の男女に等しく与えられた権利にもかかわらず、「連れてって」と言う表現は、「所詮、政治は男性のもので、女性には分からないだろうという女性蔑視」にもつながりかねません。さらに、「壁ドン」のようなDVまがいな表現を奨励することも断じて許せません。
熊本県は、かつて女性知事を輩出し、男女共同参画推進条例も策定し、男女共同参画政策については「先進県」であると思っていましたが、こうしたことが起きてしまったことを非常に残念に思うと同時に、今後、二度とこのようなことが起こらないよう職員研修及び庁内の意識啓発に努めていただくようお願いいたします。
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