内親王に必要な出会いセッティング

 事実、上皇陛下にあらせられては、ご在位中の平成28年(2016年)8月8日のお言葉で、「事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切」「皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていける」と仰せになっている。

 また今上陛下におかれても、令和元年(2019年)5月1日の即位後朝見の儀に際し、「(上皇陛下が)いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その強い御心を御自身のお姿でお示しに」なったことを心にとどめ、「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たす」とお誓いになった。

 そして、眞子内親王の父君であられる秋篠宮皇嗣殿下も、令和2年(2020年)11月8日の立皇嗣宣明の儀で、「皇嗣としての責務に深く思いを致し、務めを果たしてまいりたく存じます」と国民に約束された。

 内親王の「結婚」は一義的に、憲法の定める天皇や皇族の国民に対する義務、さらには彼らの国民に対する誓いや約束に基づいて解釈されるべきだと思われる。特に重要であるのは、将来の天皇の姉君であれば、民間人とお成りになっても皇族の品位を保持される必要があることだ。皇籍を離脱されても、内親王は事実上、皇室の一部であり続けられることには変わりない。

 強調しておくが、筆者は内親王の結婚に反対なのではない。この暗いご時世において、皇族の結婚は国民に希望と勇気を与え得る一大慶事だと思う。しかし、それはその結婚が国民統合の精神に沿うもの、つまり国民全体から祝福されれば、という条件付きだ。残念ながら、小室圭氏がお相手では望むべくもない。

婚約発表時の眞子さまと小室圭氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 とは言え、「マコとKKは破談一択だ!」と叫ぶだけでは問題が解決しない。皇室の尊厳を保ちながら内親王に幸せになっていただくことは、全国民の願いである。当面の課題として、適齢期にあられる眞子、佳子の内親王お二人それぞれのご希望を大切にしながら、厳重な身元調査をパスした複数の婿候補を提示して差し上げる「主権者から祝福されるための出会いセッティング」が早急に必要ではないだろうか。

 翻って、三浦瑠麗氏は「公の立場にある“夫”、天皇を支えることを生きがいとするのが皇室の女性たちです。われわれと同時代を生きていながら、何十年も前の価値観に即した生き方をしている」と言明し、内親王の「結婚」を誰も阻止できないとしている。それは、「時代に合わないと皇族個人が判断すれば、憲法や国民に寄り添う誓いは守らなくてもよい」ということになりかねない。