ベン・ジョンソンはいまも怒っていた
あの人はいま オリンピック選手篇

カール・ルイス セルゲイ・ブブカ 大古誠司 宗兄弟 森下広一 塚田真希ほか

五輪のあの選手、あの名場面、いまもありありと思い出すことができる。だが、「その後」に起こったドラマを知る人は誰もいない。

「カール・ルイスを殴りたい」

「殴れるもんなら、彼を殴ってやりたいよ」

ベン・ジョンソン(50歳)はいまも怒っていた。

'88年ソウル五輪、陸上男子100m決勝---。オリンピックの中でも「メインイベント」とされるこのレースで、ベン・ジョンソンはライバルのカール・ルイスを大きく引き離し、右手の人差し指を突き立てながらゴールした。

9秒79。そのタイムに世界中が驚愕した。しかもベンは、勝利を確信して最後、全力疾走をやめていた。あの衝撃のゴールシーンは、いまも人々の記憶に焼き付いている。

だが彼の栄光は一瞬だった。競技後のドーピング検査で陽性反応が出て、金メダルと世界新記録はあっさりと剥奪されたのだ。

「私は狙われたんだ。私を陸上界から追放すれば、カール・ルイスが優勝する。それによって彼のスポンサーはボロ儲けができる。あの事件には、莫大なカネが絡んでいた」

猛禽類を思わせる三白眼の鋭さは現役時代と変わらない。記者をギロリと睨みつけながら、ベン・ジョンソンは続けた。

「カール・ルイスがあのオリンピックで3回薬物検査に引っかかったことは、米オリンピック委員会でディレクターをしていた医師が'03年、『スポーツ・イラストレイテッド』誌に告発している。ルイス側は『うっかり摂取した』と釈明し、米オリンピック委員会はその釈明を受け入れたとも報道されている。

あの頃、ドーピングなんて誰もがやっていたんだ。大物選手の薬物検査は不意打ちではやらない。彼らの練習スケジュールを妨げることは許されないからだ。何日にテストに行くとあらかじめ言っておき、選手は身体をクリーンにする。検査が終わるとまたジュース(薬物)を飲む。その繰り返し、ゲームと同じさ。

ではソウル五輪で、なぜルイスがセーフで私がアウトだったか。それは私のスポンサーがイタリアのシューズ会社のディアドラで、ナイキでもアディダスでもなかったからだ。
ディアドラはナイキのような、五輪のNo.1スポンサーにもなれる企業と比べるとはるかに小さい。だが、ソウルの前年('87年)の世界選手権で私がルイスを破って世界新(9秒83)を記録して以来、セールスが飛躍的に伸び、世界一になろうとしていた。

それが問題だった。私を犠牲にすることで、ディアドラを引きずり落としたかった誰かがいたというわけさ。それがすべてだ。私に起きたことはあまりに不当だが、巨額のカネが絡むとここまでやられてしまう。

関連記事

安倍総理が恐れ、小池百合子は泣きついた「永田町最後のフィクサー」
「2度目のワクチン」の効果が切れたとき、日本を襲う「ヤバすぎる事態」
会費は1200万円…政財界の大物が集う「名門ゴルフ場」の「優雅なる日常」
知らないと大損する「相続税」の新ルール、手続きするだけで「残る額」がこれだけ違う...
菅義偉はハメられたのか…?安倍晋三の“再々登板”に向けた「菅おろし」の全内幕
メディアは報じない…皇后陛下が、オリンピック開会式の欠席を決めた「意外な事情」
現役婦長が教える、医療崩壊から「自分と家族を守る」裏ワザ
自宅を売って1000万円で「美しい農村」に引っ越し、夫婦は崩壊した
「あのとき信じなければ」小林麻央さんも後悔 がんを見落とす医者
2度目のワクチン「効果が切れる」のはいつか…? 本物の「医療崩壊」がいよいよ起こ...
「韓国が嫌いな日本人」を世界はどう見ているのか
テレビ朝日『モーニングショー』の玉川さんを見ていつも思うこと
君原健二、宗茂、青木まゆみ…あのオリンピック選手は今、何してる?
「貯金が怖いくらい増えてく…」言われた通りにしてみたら金持ち
ソチ五輪スペシャル企画「普通の人」になったオリンピック選手たちに会いに行く
「宝くじを買うときに〇〇しなさい」言われた通りにしてみたら当選
東京五輪「イスラム教徒のハラル料理が無い」報道が「フェイクニュース」と叩かれた深いワケ
東京五輪、中国の国歌を「ブーイング」でかき消した、香港人の「ナショナリズム」
「恐ろしいくらい貯金が増えた…」言われた通りにしてみたら金持ち
10代アスリートが輝く東京五輪…子育ての専門家が教える「わが子を“活躍できる人”に育てる方法」
池江璃花子選手の復帰に便乗し「五輪開催」を声高に叫ぶ人たちへの強烈な違和感
「頭皮に炭酸かけて」日本人は知らない“夜の1分“だけの裏技で白髪が…
「お金が増えすぎて怖い…」占い通りにしたらお金持ち
ドラマ『いだてん』は「明治人の気持ち」を追体験できる傑作だった!
『いだてん』が描くロス五輪、青春の美しさに心を打たれる
【実話】怖いほどお金が舞い込む…女性が的中で一気にお金持ちに!?
知っていますか?「世界を救った日本の新薬」開発秘話
「全ての能力が遺伝で決まる」残酷な世界で、凡人はどう生きるか
CMでお馴染みのパーフェクトワンからお得なアンケート
【ルポ】子どもたちの貧困〜夢なんて持てない。「社会からの偏見」と「進学格差」
[障がい者スポーツ]伊藤数子「選手強化、パラリンピック選手が本当に必要としているもの」
夫と息子が勝手に使う…あるもので毛穴洗ったら大量の角栓が!
菊永英里Chrysmela社長「何千年も決め手なしだったピアスの問題を日本の技術力で解決する」
〈対談〉 田村耕太郎 × 村上憲郎グローバルの「中枢」に行くために、日本人には何が必要なのか
今すぐ結婚したい女子はやってみて!誕生日で結婚相手の名前を見抜いてしまう占い?
糸井嘉男超人伝説「ノーコンやな」「いや、これ黒です」新聞・TVは報じないWBCの真実
オリンピックに出るのと東大理Ⅲに入るのはどっちが難しい?五輪アスリート、プロ野球選手、それとも東大医師・・・「子供の将来に対する投資」として最も得する選択はなにか
鼻をつまむと角栓が出る人必見!毛穴が汚い人の9割は知らない裏技とは
[障害者スポーツ]伊藤数子「“モバチュウ”の意義を伝えてくれた一本の電話」
スケボー金の堀米雄斗選手が「やりたかったこと」をついに実現! カビゴンが大変なことに
毛穴が汚い人の9割がお風呂でしていない…2秒の習慣で顔中から角栓が…!
なぜ炎上…? 東京五輪・金メダリスト水谷選手の「とある国」に対する、違和感の正体
なぜ酷評の「オリンピック閉会式」は超高視聴率だったのか?
ずばり言います「2021年○座の人の金運が凄いです」
1964年東京五輪「選手団公式服装のデザイナー」はなぜ間違って記憶されたのか?
1964年東京五輪「選手団公式服装のデザイナー」はなぜ間違って記憶されたのか?
「宝くじを買うときに〇〇しなさい」言われた通りにしてみたら当選
ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/