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NHK大分放送局
ワクチン接種から2週間以上経過の感染確認 3か月で240人
新型コロナウイルスのワクチン接種を終えて2週間以上して感染が分かるいわゆる「ブレイクスルー感染」が県内でも、この3か月余りの間に240人で確認されたことが県への取材で分かりました。
感染症の専門家は、接種後も感染を完全に防ぐことはできないとして、マスクの着用などの対策の継続を呼びかけています。
新型コロナウイルスのワクチンを2回接種して14日以上経過すれば十分な免疫がつくとされていますが、その後、感染が確認される事例が各地で報告され「ブレイクスルー感染」とも呼ばれています。
大分県によりますと、県内でも、このブレイクスルー感染に当たるケースがことし6月から今月6日までの3か月余りの間に240人で確認されたということです。
このうち先月末までのおよそ1か月間で見ると、新規感染者のおよそ5%がブレイクスルー感染に該当するということです。
ただ、ブレイクスルー感染の人のほとんどは、症状が軽いということで、県ではワクチン接種によって重症化を防ぐ効果は認められるとしています。
こうした状況について、ウイルス感染症が専門の大分大学医学部の西園晃教授は「抗体の量は接種後の半年間で当初の3分の1から4分の1に減るというデータもある。接種によって感染を完全に防ぐことはできないので、マスクの着用などの対策を続けてほしい」と話しています。
ウイルス感染症が専門の大分大学医学部の西園晃教授は、県内でも「ブレイクスルー感染」に当たるケースが確認されていることについて、「ワクチン接種後、時間の経過に伴って抗体量が減っていくことが一つの原因として考えられる」と話しています。
西園教授によりますと、医療関係者を対象にワクチン接種後の抗体量を調べたところ、1か月ごとに2割から3割ほどのペースで抗体量が減り、半年の間に当初の3分の1から4分の1まで減少したということです。
西園教授は、「そもそもワクチンは、感染を100パーセント防ぐ能力があるわけではなく、重症化を防ぐことがいちばんの目的だ。県内の感染状況を見ても重症化を防ぐ効果は証明されている」と話しています。
一方で、ブレイクスルー感染では、症状が軽い人が多い反面、自分が感染していることに気づかないまま周囲に感染を広げてしまうことが懸念されるとしています。
最近、アメリカで報告された論文では、ブレイクスルー感染した人も、ワクチン未接種の人と同じ程度のウイルス量が体内で確認されたということです。
このため西園教授は、感染を広げないためにも接種後もこれまでどおり、マスクの着用など感染対策を徹底することが大切だとしています。
そのうえで西園教授は「ワクチンの効果に疑問を抱く人がいるのも当然かもしれないが、この先も追加の接種を何度か繰り返すことで全体的な免疫の底上げを図り、次第に感染の広がりが抑えられていくことになるだろう」と話しています。
09/08 16:34