« 【ライブ感想】小田和正 TOUR 2018 『ENCORE!!』さいたまスーパーアリーナ2日目 | トップページ | 【舞台感想】演劇集団キャラメルボックス『エンジェルボール』池袋サンシャイン劇場 »

2018.07.01

【本の感想+α】コバルト文庫40年カタログ/烏兎沼佳代/集英社 と、私のコバルト文庫遍歴

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4087816389/

 

コバルト文庫の歴史、読者プレゼントなどの記録や、代表作家らのコメントや対談なども掲載の一冊。
『コバルト文庫』を語る読み物としては、『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』の方が上棚というのが正直なところだけれど、日向正一郎&みずき健対談とか新規イラストというのは「あの人は今」的な感じがあって見ざるを得なかった。

 

そして何より一番の売りは、タイトルの通り『カタログ』にあるよな。

 

コバルト文庫40年間の全刊行作品を、発売年月ごとにまとめたカタログ、自分がいつから、どんな作品を読み始めたのか、その同時期にどんな作品も読んでいたのか、を振り返ることができて懐かしいことこの上なし。

 

ということで、自分のコバルト文庫遍歴をまとめてみた。

いちばん最初に買ったコバルト文庫は覚えていて、日向章一郎『天秤座の探偵ゲーム』
新刊で並んでいるところを買ったので、1991年5月からコバルト文庫を読み始めたことになる。
ほぼ同時期にティーンズハートも手をつけてるけれど、傾向としては恋愛物はティーンズハートで、ミステリ、SF、ファンタジー系はコバルト文庫でまかなっていたわけである。

 

日向章一郎作品はすぐにそろえ始めて、放課後シリーズにも手を出す。
というかみずき健イラストがツボに入ったのもあってみずき健イラスト作品はそろえたというか。
(みずき健コミックスも手を出してWingsに繋がってしまうのもほぼ同時期)

 

そして、同時期に展開していたシリーズということで若木未生『ハイスクール・オーラバスター』シリーズ(電子版あり)も手を出す。
これまた新刊で出ていた『炎獄のディアーナ』を買い、「あ、これシリーズ物で前のいる」と気付いて前作をそろえるまで寝かす事態に。
積読の始まりである。

 

小学生の小遣いと親の援助では限界があるので、買わずに読めるものは買わずに読んだ。

 

山浦弘靖『星子ひとり旅』シリーズは図書館にあったので借りて読んでいた(電子版がある…)
やはり、ミステリ(コバルトの場合は『ユーモア・ミステリ』)を多くチェックしていたのだなぁ。
藤本ひとみ作品もちょっと手を出したけど、あまり長くは続かなかった。
『銀バラ』読んでたんですが、続きでなくなっちゃったしねぇ……(再スタートは執筆者別だし)

 

基本新刊で触れたものから入っていっていたので、氷室冴子作品は『銀の海 金の大地』から。
文庫は1992年3月刊行だけれど、その前に雑誌掲載のを読んでいた記憶があるのでもう少し前から?
このあたりから選ぶ作品の傾向が(というかコバルト文庫の傾向そのものが?)ファンタジー作品に傾いていった。
同時期にホワイトハート文庫が創刊しているはずだから、ファンタジーの供給源が増えてた。

 

響野夏菜『カウス・ルー大陸史』シリーズもスタートのタイミングで手に取れたので読んだ。
このシリーズもだいぶ容赦のないお話でしたよな……(好き)。
この頃の自分は、作家全部そろえるとかはやっていなくて、わりと単一のシリーズのみ読む傾向にあった。
そんな中で、響野夏菜作品は、デビュー作から手をつけていたということもあって、新刊出るたびに手にとって、結果ほとんど読んでるということになっていた。

 

桑原水菜作品はあまり触手が動かなかったのだけれど、やはりスタート時に新刊を手に取る機会があったということで『風雲縛魔伝』は読んだ。
カラートーン使用のイラストに弱かった時期でもある(笑)

 

前田珠子作品は、新刊で買ったのは多分、破妖の『翡翠の夢』1巻なのだが、その前にシリーズ既刊が手元にあったので、1993~1994年のどこかで手をつけたはず。
この頃中学生でお小遣いも上がったから、いろいろ手を出し始めている可能性が高い。

 

1993年9月『龍と魔法使い』シリーズ開始。(電子版あり)
ここでようやく榎木洋子作品に着手。
毎度のシリーズ開始のタイミングというのもあるが、手を取るきっかけはイラストレーターだった。
小山真弓作品で後藤星イラストに触れていたので、自然と目が行った感じ。
本編ラストがなかなかに重い展開になっていったけれど、タギのあの選択は個人的に大有りだったのでごろんごろんした。
しんどいけどおいしい!みたいな。

 

この時期に樹川さとみ作品にも手を出しているが、実はコバルト文庫より先にウィングスノベルスで手を出している。
『東方幻神異聞』→『雪月の花嫁』の順。
そう考えると、ほぼデビューから読んでる作家さんその2か……?
ちなみに『雪月の花嫁』きっかけで西炯子も知る。

 

この時期にコバルト文庫から出ていた作品で、多分ドマイナーだと思うのだけれど妙に気に入っていた作品に一色みんと『ティタニアは銀の翼で』というのがある。
覚えている人いるだろうか……。
詳細覚えていないのだけれど、結構しんどい話だった印象がある。
きっちりタイトル覚えてるってことは、間違いなく何かがツボにはまっていたのだけれど、手元にないしマイナーなので電子化もされてない……。

 

ていうか、この時代の少女小説のファンタジーって、えらいしんどい話多いよな?

 

 

1995年頃になってくるのが樹川さとみ『楽園の魔女たち』(電子版あり)
この頃からコメディという選択肢が出てくる。
特にこのへっぽこのインパクトは強い。
この時期、作品自体減っていたが、少女小説系でミステリ寄りの作品に手を出すことが減る。

 

なぜなら、新本格と講談社ノベルスを覚えた頃だから……。

 

コバルトは主にファンタジー作品供給の場となった。
須賀しのぶ『キル・ゾーン』はなぜかタイミングを逃してこの時期は手をつけていなかった。
多分ミリタリーとか軍事物に興味のない時期だったんだろうな……。

 

そして1997年に朝香祥三国志が来る。
カタログ見てみると、この時期くらいから歴史物とか和風・中華風ファンタジーが増え始めているような。

 

同年、野梨原花南『ちょー美女と野獣』が来る(電子版あり)。
これはもうタイトルとイラストと冒頭で掴みはオッケーなシリーズだった。

 

この時期はほかに本沢みなみ作品とかも読んでましたが、『新世界』完結させて欲しかった
なんとなく、この時期くらいから出てきた作家さんで未完の作品ってのがちょろちょろ……?
朝香祥三国志は同人で完結したんでしたっけ?(うろおぼえ
吉田縁『聴罪師アドリアン』シリーズもコバルトでは未完で同人に行ったような。

 

この時期に新規スタートから長く続いてちゃんと完結までいった作品を見ると、ラブコメ要素が必要だったのかも。
橘香ほのか『コラリー&フェリックス』は長く続いた。
響野夏菜『S黄尾探偵団』も長かった。
S黄尾はかなり触法な主人公達だったのがある意味新鮮。
そこは少年漫画のノリだったかもしれない。

 

1999年、ようやく須賀しのぶ作品に手を出すことになる。
というわけで、『流血女神伝 帝国の娘』刊行。
多分この時期、ホワイトハートで手を出す作品が少なくなり、ラノベ方面はブギポやキノが人気な頃だしで、重めのファンタジー大河作品に飢えていた可能性がある。
デルフィニア戦記も完結したあとだしねぇ。

 

ファンタジーでもなんでもないけど、この年文庫デビューした深谷晶子作品はわりと好きだったのですけど、数作で出なくなってしまいましたね……。

 

2000年文庫デビューでは竹岡葉月『ウォーターソング』がイラスト竹岡美穂で姉妹競演となっているわけだが、2作目でいきなりぶっ飛んだというか本領発揮になってきた『東方ウィッチクラフト』(電子版あり)……(好き
あと、スーパーファンタジー文庫出身の谷瑞恵・毛利志生子がコバルトに移籍。
スーパーファンタジー文庫このあたりの時期でご臨終でしたっけ?

 

蛇巫、外法師、帝政ロシア、チベット……毛利志生子作品は選ぶ素材のニッチさが堪りません。

 

 

2000年以降は、買い続けていたシリーズ・作家の作品しか追わず、新規で手を出す作品が減っていった。
時々新人さんの作品を読んでみるけど、次が出ないんじゃどうしようもないわな。
何故私が好きなタイプの作家は次が出ない……(読者として対象じゃなくなりつつあるってことよね)

 

2002~2003年に佐藤ちあき『ワイルド・カード』が2冊出たけど、これも続かなかった……好きだったのに。
バディもので、成人男子と幼女という要素もある良きものだったのに。

 

2005年には谷瑞恵『伯爵と妖精』が始まる。
読んでたけど、デビュー作から読んでる人間としてはどちらかというと谷瑞恵作品のヒーローはヒロインに対してツンデレだったり朴念仁タイプの方がグッと来るんだけど、どうだろう。
なので、実は前のシリーズである『魔女の結婚』の方が好み。

 

この年はS黄尾ばかり書いていた響野夏菜が『ガイユの書』シリーズ(薔薇灰)を刊行。
これ好き。
ダークファンタジーで、しんどいタイプの話です。
コバルトのしんどい系のファンタジーは、物語の〆かたがしんどくてよいですよね……。

 

2006年、『姫神さま』シリーズを終え、藤原眞莉『王宮ロマンス革命』が始まる。
これ、最初は全然好みではなかったのだけれど、シリーズラスト数冊でヒロインの恋愛の向きがアレになってからがどツボで悶えるレベルだった。
結果しんどいタイプのラストになった。

 

2009年~2010年にかけて毛利志生子『夜の虹』が2冊刊行。
……未完!
……未完!!
続きだして!!!! 雑誌掲載の読み切りを取ってあるくらいに好きなので続き出して……!!

 

2011年文庫デビューの高見雛『ショコラの錬金術師』も好みなのですが、2冊で出なくなっちゃいましたねぇ。
ツンデレライバルキャラのヒロインと髭のおっさんというカップリングで物凄くどツボだったのですけど。
私が好きになる本はこんな感じで出なくなっちゃうのばっかだ……。

 

2012年は久賀理世『英国マザーグース物語』(電子版あり)に着手。
これも古き良きコバルトらしいミステリ作品。
ここでちょっと「コバルトまだまだこういう作品世に出せるんじゃん!!」などと思ったのだが、結局このあとは姫嫁系がメインになっていったか。

 

 

2013年には『風の王国』シリーズも完結してしまって、ここからぱったりとコバルト文庫を買わなくなってしまう。
一時期は毎月何かしら買っていたほどなのに、1冊も買わないことが何ヶ月も続くなんてなぁ……。
昔読んでた作家さんの読みきり作品が出たりするとポツポツ購入する感じに落ち着いている。

 

2015年文庫デビューの白洲梓『最後の王妃』(電子版あり)が昔ながらのコバルトのロマンを感じさせる作品だったので今後に期待なのだが、なんだか最新作はオレンジ文庫で現代物になってしまったようなので、さて、どうなるか……。

 

ここで言及すべき作品が途絶えるわけだが、コバルト文庫からオレンジ文庫にシフトしてきている感はある。
はぁ~未完の作品の続き電子書籍でも良いから出ないかなぁ~。

|

« 【ライブ感想】小田和正 TOUR 2018 『ENCORE!!』さいたまスーパーアリーナ2日目 | トップページ | 【舞台感想】演劇集団キャラメルボックス『エンジェルボール』池袋サンシャイン劇場 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【本の感想+α】コバルト文庫40年カタログ/烏兎沼佳代/集英社 と、私のコバルト文庫遍歴:

« 【ライブ感想】小田和正 TOUR 2018 『ENCORE!!』さいたまスーパーアリーナ2日目 | トップページ | 【舞台感想】演劇集団キャラメルボックス『エンジェルボール』池袋サンシャイン劇場 »